Coccoに学ぶ「体の使い方」。

ボイストレーニングをやっていく上で、教科書的なメソッドに従うという方法も大事ですが、それと同じくらい大事な方法があります。
それは、「好きな歌い手の技を盗む」という方法です。
メソッドにそってメニューをこなしていくだけだと、どうも「トレーニングのためのトレーニング」という感じになってしまい、やる気がなくなってきたりするんですよねー・・・。
その点、後者の方法は、やってて非常に楽しく、発声法をどう実践で生かすのかってのも考えられて、とてもお得です。

そんな訳で、これからたまに、私の好きなアーティストの動画を紹介しつつ、そのアーティストが「ボイトレ」的な観点から見てどんないいところがあるのか、というところを紹介していきたいと思います。


第1弾は「Cocco」。
その強く儚い声、語りかけるような歌い方から聞き手に感情の塊を叩きつけるような歌い方までこなす表現力・・・
中学校の頃にラジオでその歌を聞いてから今まで、その歌声に何度、切なくなったり勇気を貰ったり涙を流したりしたことか。
その声の強さの秘密に迫ります。



とりあえずライブ映像を3つ紹介。
Coccoって、歌うときに独特の体の使い方をするんですよね。



両足を前後左右に大きく開き、中腰になって、ゆらゆら揺れながら歌うスタイル。
また、手が非常によく動く。



この体の使い方って、実は凄く、力強い声を出すのに適したスタイルなんですよ。
なぜなら、力強い声を出すためには背筋の力を上手く使うことが特に重要なのですが、このスタイルで歌うと背筋が非常に働きやすくなるからです。


ボイトレというと腹筋ばかり取り上げられる気がしますが、背筋が上手く働かないと腹筋の力を最大限発揮することはできないんです。
よく「下腹部の支え」とか言われますが、背筋がまともに働いていない限り、下腹部で声を支えることはできません。
逆に、背筋がまともに働きさえすれば、腹筋を意識しなくても「下腹部の支え」がある程度できてしまう、という人は多いです。

そして、背筋は腹筋だけでなく、体中の様々な筋肉と繋がっています。
よって背筋は呼吸、声質、声量、音程・・・など、あらゆる要素に影響します。
だから、背筋を積極的に使うと、強い声が出せるようになります。



で、話を体の使い方に戻すと。

Coccoの、
1.重心落として体を揺らす
2.伸ばしながら体を後ろに引く
3.手を動かす
という動きは、非常に強力に背筋の動きをサポートします。

1.重心落として体を揺らす
直立不動でいるより、重心落として体を揺らしている状態の方が、背筋が使いやすい状態と言えます。
歌に合わせて適当にぐりんぐりん動けばいいだけなんだけれど、あなたがもし「声と体が素直に対応している状態」なら、たぶん勝手に歌に合わせて最適な動きになるはず。

2.伸ばしながら体を後ろに引く
歌の中で音を伸ばすところは特に「支え」が欲しくなりますが、そこで体を後ろに引くことで、強い「支え」を作ってやりましょう。

3.手を動かす
手を動かすと、リンクして背筋が働きます。
これを利用して、積極的に手を動かし、背筋を働かせましょう。
音の動きや感情の変化に合わせて手を使えば、よりドラマチックな表現が可能になるかも。



去年のNコン(『合唱の甲子園』的なコンクール)で金賞をとった「宮崎学園」の演奏を下に紹介します。
その力強く豊かな響きが評価されたとのことですが、歌うときにどう動いているかを見てみましょう。

ただ動きの大きさが違うだけで、やっていることは似た感じだってこと、わかりますかね?

クラシックのステージなので1,3は微妙にしか見えません(見せません)が、2は本当にわかりやすくやっていると思います。

まあ、合唱の常識だと、中腰で歌うのは格好悪いですからねー。
想像してみて下さい、ステージ上の数十人が全員Coccoみたいに動いたら・・・激しく気持ち悪いです。

手の動きについても、格好悪いから本当はやりたくないんだけど、でもたまに動いちゃう、って感じが見られるね。
くやしい・・・でも動いちゃう!(ビクッ ビクッ)みたいな。特に男子。

後ろに体を引くのもあんまり格好良くないんだけど、これはもう諦めたのかも。
飛型点捨てて飛距離伸ばそうぜ、みたいな。ある意味潔い思想。



○今日のまとめ
力強い声で聞き手を感動させたかったら・・・

1.重心落として体を揺らせ!
2.伸ばしながら体を後ろに引け!
3.手を動かせ!

この3点を頭に入れておくといいと思います。