会話はパス交換・・・声の「方向」と「距離感」

・あなたは居酒屋で店員を「一声」で呼べるか・・・声の「方向」と「距離感」
という記事を前回は書きましたが、今回はそれの応用編です。


前回をざっとまとめると、
・声には「方向」と「距離」がある
・それを意識することで、相手に声を届けやすくなる
・声の軌跡をビジュアル化することで、声の「方向」と「距離」を操れる
という感じでした。



○「直線的なパス」と「浮き球パス」


「声の描く軌跡」のイメージですが、大きく分けて

・声が直線的に相手に向かってゆく「当てる声」
・声が相手の頭の上を放物線状に飛んでゆく「越える声」

の2種類に分かれます。


前回も紹介したAll Aboutのボイトレ関連の記事によれば、

当てる声は、聞き手からすると自分に向かってまっすぐにぶつかってくるような印象になるため、しっかりと集中して聞いて欲しい情報を伝えるのに適しています。一方越える方は、自分に向かってくる声ではありますが、直接的ではなく頭の上での広がりを感じさせる声なので、感情やイメージを伝えるのに向いています。
http://allabout.co.jp/gs/voicetraining/closeup/CU20070927A/index.htm?FM=rss


話している内容以上に、声の印象が相手の心情を左右してしまうということがあります。
「当てる声」は、非常に具体的な内容が聞き取りやすいのですが、あまり多用し過ぎると「お堅い印象」「きつい印象」「高圧的な印象」を与えてしまうこともあります。
「越える声」は、相手にソフトな印象を与えますが、あまり多用し過ぎると「無責任な印象」「弱腰な印象」「自信の無い印象」を与えてしまうこともあります。


声の軌跡をイメージする上で、
・最短距離を強い力で進む「直線的なパス」→「当てる声」
・ふんわりと柔らかく受け取りやすい「浮き球パス」→「越える声」
の、どちらのイメージを選択するかは非常に大切です。


イメージによって「出し分け」は十分できると思いますが、体の「重心」を移動することでも「出し分け」をすることができます。
・前に重心をかけて声を出すと、声の印象は強く、「当てる声」になりやすい
・後ろに重心をかけて声をだすと、声の印象は柔らかく、「越える声」になりやすい
という関係になっているので、憶えておくと役に立つかもしれません。



○「人へのパス」と「スペースへのパス」


相手をしっかり見て、その相手の方向・距離にぴったり合わせて声を出すというのが基本です。
例えて言えば「人へのパス」が基本。


ただ、「スペースへのパス」とでも言うべき、焦点を「相手」以外に合わせた声の出し方もできると、声で相手に与えられる印象は大きく違ってきますね。


例を挙げると、


・相手にもっと「注意して」「前のめりになって」聴いてほしいとき
→あえて弱めのパス(相手より手前を焦点にした声)を出す。
 「北風と太陽」理論。


・相手に「こちらの言葉をイメージしてほしい」とき
→「真上」とか「はるか遠く」を目指した声で語りかける。
 相手に「遠い目」をさせれば成功。


・何かに注目してほしいとき
→「注目してほしい対象」を声の焦点に置く。
 「あれを見て!」とか「彼の今回の活躍は〜」とか言うときに、声の焦点が「そこ」にあるとないとでは大違い。


このように、声を「スペース」に出してやることで、色々な効果を生むことができます。


それと、「人へのパス」はコミュニケーションの基本だと前回書きましたが、ずっと「同じところばかり」にパスを出し続けると、安心や油断をしてしまって、逆に話している人への注意が薄れてしまったりします。
なので、たまに「スペースへのパス」を交えて、相手の意識を揺さぶってやるのもコミュニケーションでは大切なことです。
これができると、「声の感じ」だけで相手の注意を引き続けることができるかもしれません。


ただ、「スぺース」を狙いすぎるあまりに相手を「置き去り」にしてしまうとコミュニケーションが成立しなくなりますので、それには注意が必要です。