「息」と「声立て」


○「声立て」という概念


「声立て」というのは、
「『息』を『声』にすること」
であり、
「声立てが強い」「弱い」
といった使い方をされた場合は、
「肺から押し出されてくる息を、どのくらいの強さ・効率で声帯で声にしているか」
ということです。


声は、声帯の2枚のひだの隙間を息が通り抜け、声帯が振動することで出ます。
その時、2枚が離れていれば、例え息が強くても、あまり圧力がかからないので声帯はそれほど振動しませんね。
逆に、2枚がぴったりとくっついていれば、それほど息が強くなくてもしっかり圧力がかかり、声帯は大きく振動します。
前者のような状態を「声立てが弱い」、後者のような状態を「声立てが強い」と言ったりします。
まあ、あんまりメジャーな言葉では無いのですが。



○息と声立てのバランスが必要


声立ては「強ければいい」というようなものではありません。


息の強さに対して声立てが弱いと「息まじり」の声になり、声立てが強いと良く言えば「芯のある声」、悪く言えば「詰まった声」「かたい声」になりやすいです。
下に図なんぞを書いてみましたが、あまりわかりやすくならなかったかも。



状況によって最適な声立ての強さがあると言えますが、基本的には「息の強さに応じた声立ての強さ」というのを心がけるといいと思います。
とにかく、「息が弱いなら声立ても弱く!」「息が強いなら声立ても強く!」ってのを意識するといいかと。
息に対して声立ての強さが極端につりあっていない場合、ただ聞き苦しいだけでなく、声帯へのダメージがかなり大きいので注意が必要です。


状況によって、というのは、
・息弱+声立て弱
・息強+声立て弱
・息弱+声立て強
・息強+声立て強
という4パターンの声の「相手に与える印象」や「使い勝手」(出しやすさ、疲れやすさ、聞き取りやすさなど)を、それぞれ考えてみればわかるかと思います。
以前紹介した「当てる声・超える声」というのを思い出してみれば、やや声立てが強い声のほうが「当てる声」には適していますし、ややハスキーな声の方が「超える声」に適しているかもしれません。


あとは、「ハスキーボイスがセクシーで好き」「しっかりした芯のある声が、誠実さを感じさせるので好き」など、好みもありますしね…
その辺は、身体に負担のかからない範囲内でなら好きにやればいいと思います。



○息と声立てのバランスを取るために


「ほぼ息だけの声」から「可能な限り息を声に変換した声」まで、狙った通りの声がすぐ出せるように、色々な声の出し分けを練習しましょう。
または、上にも書いた
・息弱+声立て弱
・息強+声立て弱
・息弱+声立て強
・息強+声立て強
という4パターンの声の使い分けの練習をしましょう。


そしてそれを録音して聞いたり他人に聞いてもらったりして、よくバランスの取れている状態を探りましょう。


「可能な限り息を声に変換した声」があまり上手くできない(どうしても息まじり、ハスキーになってしまう)場合、エッジボイスの練習や、以前紹介した「コネクション」の練習が有効です。


たまに「息まじりなんだけど詰まっている声」という、一見矛盾した人がいますが…
おそらく、声帯の力の入れ方に問題があり、閉じ方が不均一なので、一部では声帯が強く接触、一部では声帯が十分に閉じていないという状態になっているのでしょう。
もしくは、声帯の形に異常があり、全体が閉じることのない形になってしまっているか。


後者はボイストレーニングではなんともできませんが、前者は改善が可能です。
余計な力を抜くボイトレと、声帯をしっかり閉じるボイトレの両方を気長にやっていくのが唯一の解決策です。
以前紹介した「リリース&コネクション」はミドルボイスの習得だけでなく、こういった問題の解決にも役立つのではないか、と私は考えています。