「全身を使った発声」になるためのトレーニング(逆転の発想編)


ボイストレーニングの基本的な方向性は、
1.必要な力を入れられるようにする
2.余計な力を抜けるようにする
の2つです。
ほぼ全ての発声練習は、このどちらかに属していると言えます。


前の日記は
「全身を使った発声」になるためのトレーニング
ということでしたので、今回は、2寄りのボイトレ方法を紹介します。



○「良い姿勢」という考えを、一度捨ててみる


「良い姿勢」を保つためには、背筋をはじめとした様々な筋肉が無意識に総動員されています。
それによって、発声に必要な筋肉が姿勢維持のために使われてしまったり、発声に必要のない筋肉が力んで固まってしまったりして、発声のための動きを阻害してしまうことがあります。


「良い発声」をするための「良い姿勢」が発声を阻害してしまっては、非常に残念なことになってしまいますね。
しかし、「良い姿勢を保とう!」として無駄に力んでしまい、逆に声に悪影響を及ぼしてしまっている…という人って、経験談で言えばかなり多かったです。


なので、一度「ほとんど余計な力が入っていない状態での発声」というものを体験してみて、「楽な感じ」を体験してみて下さい。
そして、「良い姿勢」になったときにも、その「楽な感じ」をある程度維持できるように気をつけてみてください。



○だらしなく座って声をだしてみよう


適当にソファーにでも腰掛けて、リラックスして、歌でも歌ってみましょう。
猫背になったって構いませんので、背もたれに全体重を預けてしまいましょう。
足は適当に開いて適当に前に放り出し、前に机があるならその上に投げ出すのもいいでしょう。


注意点は、
1.首を前に出し、あごを前に突き出した姿勢にはならないこと
2.腕や肩の力もしっかり抜くこと
くらいです。


とにかく楽に声が出せるばかりか、普段から余計な力が入りやすい人の場合、音域が広くなったり、声量が増したり、声質が「深く」「やわらかく」「甘く」なったりします。


この練習で、普段いかに余計な力が体に入っているか、ということを実感し、「脱力状態」の発声の感覚をつかんでみて下さい。


…ちなみに、私がカラオケで歌うときは、だいたいこの姿勢です。
よく画面にかぶりつきで歌っている人もいるんですが、それはあんまり発声に良くないんですよねー。
体重を背もたれに預け切って、力を入れたい時はさらに「後ろに」体重移動してやればいいです。
疲れにくい上に声量・音域も広がり、音程もとりやすく、いいことづくめです。



○一歩上を目指す人のために


私が尊敬するボイストレーナー、チャトラ猫氏のブログでは、こんな練習が紹介されています。

http://blogs.yahoo.co.jp/nishikaze4302/47955320.html

◎ヘソを見てボートを漕げ
ボートを漕ぐつもりで床に座ってみましょう。膝は立て脚は開いて安定を保ちます。そのまま後ろに倒れながら「フンッ」と鼻で笑います。それを数回繰り返してみましょう。元の位置に戻ったとき、自然に息が吸えていることが確認できましたか?きちんと息を吐ければ吸うことは自然にできるのです。それ以上に息を吸うことは胸が硬くなってしまい、結果的に声を疲れさせます。倒れたときに上を向くのもいけません。アゴが出た状態になって首筋を固め響きが扁平になるからです。だから自分自身のオヘソを見ていてください。次に、「フンッ」の代わりに「フ〜ウン〜」にしてみます。適当な高さの音で「フ〜」を伸ばし、「ウ」で4度上の音にしましょう。「ン〜」で元の高さに戻ります。姿勢も同様に「フ〜」で倒れ始め「ウ」のときに一番後ろに行きます。実際のボート漕ぎでも、最も力が出る瞬間でしょう。「ン〜」は「フ〜」よりも短くて良いのです。その分が息継ぎの時間になるからです。これも何度か繰り返してください。そして半音ずつ上げていきます…


狙いは、上と同じく余計な力を抜くことです。
解説が非常にわかりやすかったので、それも紹介しておきます。

ほとんどのアマチュア声楽家は、立つことで硬直する部位が観察されます。その多くは、腰を締めてしまうのです。
(略)
尻を締めれば腰は解放されますが、立ち姿勢で腰を締めれば尻はたるみ上胸部が加圧され、結果的に声は籠もるかハスキーになるのです。背中を反らせてしまったらボートは漕げないことを確かめてください。
「ヘソを見ろ」という指示は、文字通り下を向くことです。せっかく座ることで腰をゆるめたのに、上を向いてしまっては首筋を固めてしまいます。首を固めれば頭頂部が動かなくなって高音は抜けません。


ボイトレでは、「力を抜け!」という指示が非常に頻繁に出されますが、
「どこの力を抜くのか?」
「力を抜いたらどうなるのか?」
というところを知っておかないと、言われて急に力を抜く、なんてできないと思います。
上のようなところに気をつけて、「発声のための脱力状態」を身に着けましょう。