「滑舌を良くする」ためのボイストレーニング


さて、前回は
「明瞭な発音」を手に入れるためのボイストレーニング
http://d.hatena.ne.jp/wander1985/20090806/1249548124
と称して、「一文字一文字」を明瞭に発音するためのボイトレを紹介しました。
今回は「一文字一文字」ではなく、ある程度まとまった量の文章を、「滑舌良く」発声するためにはどうすればいいかを考えてみます。



○ボイトレ以前の問題と滑舌以前の問題


さて、これから紹介するボイトレをする前に考えてみて欲しいのが、
「書いてある文章を読むときと、書いていない言葉を喋るときに、滑舌の良さに違いは無いか?」
ということです。


と、いうのも、
・読み上げるときには問題が無いが、予め書かれていない文章だと噛みやすい
→「喋るスピード」が「思考のスピード」を追い越してしまっている?
・書いてある文章を読むときに限って噛みやすくなる
→「音読」が苦手なだけ?
という可能性があり、そうだとすればいくらボイトレしても無駄かもしれない、となってしまうわけです。
このような場合、また別の訓練が必要ですね。


また、自分では「滑舌が悪い」=「あご・唇・舌などの『動き』が悪い」と思いこんでいても、
・ただ声が小さいだけ
・ただ声がこもっているだけ
・ただ「声を出す準備」ができていないだけ
・ただ「声を出す方向のイメージ」が悪いだけ
・ただ声を出す際に「緊張している」だけ
なんて場合も多いですが、こういう状態でも、また別の訓練が必要だと思います。
まあ、これらに関しては「滑舌トレーニング」が無駄になる、ということは無いですが。



○まず心がけること


まず大切なのは、「ゆっくりでいいから正確に読むこと」が重要だということです。
とにかく、自分の限界スピードを知っておくことが大切です。
その限界スピードを上げたい、となると、早口言葉の練習や、このブログで紹介するボイトレのような練習が必要になりますが。



○「滑舌が悪い」の2パターン


前回の日記で、「正しい母音・子音の出し方」を、下記のサイトを参考に考えました。
「OCM式日本語50音」発音
http://www.collegium.or.jp/~sagitta/ocm_homepage/html/kouza_backnumber/kbn45.html


ある程度まとまった量の文章を、「滑舌良く」読んだり喋ったりできないということは、
唇や舌やあごが、一文字一文字だと正確な動きができるのに、一連の動きの中では正確な動きができない
という状態になっていると言えます。


この状態をいつも通り2パターンに分けると、
1.必要な力が入れられなくなる
2.力みすぎてしまって動きが硬くなる
の2通りが考えられます。



○1.必要な力が入れられなくなる


このような場合は、適切な力がコンスタントに入れられるよう、「調音器官と表情筋の筋トレ」が必要になります。
「早口言葉」や「はっきり大きく口を動かして!」みたいな諸練習は、主にこの「調音器官と表情筋の筋トレ」と言えるでしょうか。
早口言葉の類は、「早口言葉」だとか「ういろう売り」だとかで検索していただければいくらでも出てくると思います。
あとは、前回のエントリで紹介した、正しい子音・母音の出し方を意識した発声をしていただければ十分だと思います。
この問題に関しては、とにかく声を実際に出さないことには解決しないので、本当に「筋トレ」をするつもりで、地道に声を出していきましょう。


あと、ブレスが足りなくなると、子音は特にクリアに発音できなくなるので、ブレス練習も効果的ですね。
特に、緊張すると顕著に滑舌が悪くなるという人は、ブレス練習をしておくと特に効果があります。



○2.力みすぎてしまって動きが硬くなる


よく見る「口をはっきり動かしましょう」みたいなものでは、何故か「母音」に対してばかり大きく口を動かすことが推奨されている場合が多いですが、それは大きな間違いです。
母音っていうのは前回説明したように、

口の中の空間の形や容積が変化することによって響き方が変わり、声帯で鳴った音が「あ」になったり「い」になったりします。

ということなんですが、必要以上に「母音」に対応して口を大きく動かすと、
・声質や音量が母音ごとに変わってしまうので、不自然な響きになってしまい、逆に聞き取りにくい
・母音ごとの変化が大きすぎるため、単語や文節の「フレージング」がおかしくなる
・母音に対応してあごや唇や舌(の前の方)を必要以上に動かすと、子音の形成がやりにくくなる
・大きく口の形を変えるには時間がかかるので、速く滑らかに喋ることが不可能になる
という問題が起こりますので、注意が必要です。
なので、逆に、母音についてはあんまり口の形が変わらなくても出し分けられるような状態を目指した方が、滑舌は良くなります。


また、あんまりいないと思いますが、
「子音を強く出しすぎているせいで滑舌が悪く聞こえる」
「子音を出すときに力み過ぎている」
という場合には、
・ゆっくり、一文字一文字の「子音と母音のバランス」を考えてみる
・「強く鋭い」子音の出し方ではなく、「優しく長い」子音の出し方を心がける
という方法が有効です。