「とっさの対応」に必要なこと


今回は、とある「指導」を専門としている知り合いの話から、ボイトレにも使えそうな話を紹介します。



○「とっさの対応」をするために…


とある知り合いから、
「例えば、
1.あなたの前方に友人がいて、こちらに向かって歩いてきます
2.その友人の背後から、自転車がかなりの勢いで向かってきていて、友人にぶつかりそうです
こんな状況のときに、友人に何と声をかけますか?」
と、聞かれました。


で、私は、
「とりあえず『危ない!』と声をかけるだろうね。」
と答えましたが、知り合いによれば、それはあまり良い方法ではないそうです。



○「とっさの状態」には、シンプルな対応を


それがなぜあまり良くないのかと言うと、
「危ない!」
などと声をかけられると、急に緊張して身体が硬直してしまったり、焦りによって状況を確認するのにいつも以上の時間がかかったり見落としが多くなってしまったりして、かえって危険が増してしまうことが多いからだそうです。


なので、「後ろを見て!」「右に避けて!」など、具体的でシンプルな動作を指示してやるのが、良い方法だと教えられました。


で、これは、日常動作でもスポーツでもボイストレーニングでも同じことなんですね。
例えば、知り合いはサッカーの練習の話をしてくれましたが、サッカーでパスをもらった後に少しもたついてしまう選手に、
「ボールを持ちすぎるな!」
と要所要所で声をかけていったところ、緊張や焦りから、余計もたもたしてしまったり、ミスが多くなってしまったそうです。そこで指導の方針を考え直し、
「ボールを貰う前からパスコースを探せ!」
「顔を上げて!」
など、具体的な動作を指示するように心がけたところ、判断が早くなり、ミスが少なくなったそうです。
また、「この状況ならこうする」という「約束事」が次第に身についていき、スムーズな動きができるようになり、逆にプレイの幅が広がったそうです。


今までは「他人に指示をする場合」の話でしたが、「自分がとっさの状態に陥ったとき」にも同様に、とっさに「具体的でシンプルな動作」が頭にうかんでくるように習慣づけておくと、とても便利です。


ボイトレで言うなら…


・声が力みやすい人の場合、
「力んじゃだめだ!」
と考えてしまうと、逆に力んでしまったり、急に力を抜きすぎてバランスが崩れてしまったりします。
なので、少し声に力みを感じたときに
「息を吸いながらのどを開いて!」
「首を軽く左右に振って!」
などの、具体的な動作が「とっさに」出てくるように習慣づけることで、声の力みに対処できます。


・胸式呼吸になってしまいやすい人の場合、
「胸式呼吸はダメ!」
と思ってしまうと、緊張によって余計胸式呼吸になってしまいます。
腹式呼吸しなきゃ!」
というのも、ある程度レベルの高い人なら別ですが、「どうやったら腹式呼吸できるの?」ということを考えているうちにますます胸式呼吸になってしまうのが普通だろうと思います。
なので、胸式呼吸になっていると思ったときに、
「鼻から大きく息を吸って!」
「とりあえず息を吐ききろう!」
「下腹をへこませながら、息を搾り出そう!」
というような動作がとっさに頭に思い浮かぶように習慣づけるといいと思います。


などなど、他にも色々考えられると思いますが、今日はこの程度で。


大切なのは、とにかく、
「こういう状況になったらこうする!」という約束事をつくること、
その約束はシンプルで、すぐに実行可能なものであること、
そして、「そのような状態になったら必ずこうする」という状態になるまでしっかり習慣づけること、
の3点です。


習慣づけには反復練習が必要なので、少し時間がかかってしまうかもしれませんが、最終的にはこの方法が近道になります。
「『悪い癖』が直らない…」
「毎回同じようなミスをしてしまう…」
「わかっているんだけど、とっさの判断や行動に問題がある…」
「『急に』動くとミスをしてしまう…」
というような問題を抱えている人は、是非、
「こういう状況になったらこうする!」という約束事を作ってみてください。