倍音と声質の関係


以前書いた
・「良い声」の正体…倍音とは‐烏は歌う
http://d.hatena.ne.jp/wander1985/20090920/1253424521
という記事がなかなか好評だったようなので、今回はその補足的な内容を。


前回の記事をまとめると、
倍音とは何か
倍音が豊かな声は「良い声」
倍音の「バランス」が大事
という感じでした。
今回は、「倍音(共鳴腔)のバランス」というものについて、マトリックス図的な何かを使いつつ説明したいと思います。
…相変わらず低クオリティな図でごめんなさい(笑)。


○高め倍音弱、低め倍音弱(灰色)
→「弱い声」
高音低音ともに倍音が少ないので、音叉などのような
・輪郭のぼけた響き
・暗い印象の響き
・丸い響き
になります。


輪郭のはっきりしない声なので、全然遠くまで通らないし、言葉もやや聞き取りにくくなります。
ただ、「優しい印象」を与える場合もあるので、相手を威圧したくない場合とか、静かに語りかける場合、内緒話をする場合には、自然とこういう声になりますし、それがベストでしょう。
「大声を出してもこんな感じな人」とか、「こういう声しか出せない人」とか、「緊張するとこんな感じの声になる人」とか、そういう場合は以前紹介した「豊かな倍音のある声になるトレーニング」をおすすめします。



○高め倍音弱、低め倍音強(青)
→「太い声」
手っ取り早く実感したければ、「低めの音程で、鼻つまんで、胸に思い切り響かせた声」を出してみましょう。
なんというか、アニメの魔王っぽい声になるはず。


輪郭のはっきりした、「大人っぽさ」や「落ち着き」、「自信」などを感じさせる声であると言えるでしょう。
ただし、高音の抜けが悪くなり音域が狭まりますし、声の印象についても「高圧的」と感じられてしまう場合が多いです。
さらに言えば、普段からこういう響きの声を持っている人は、「喉声」「鼻声」というような悪い癖を持っている場合が多いので、注意が必要です。


このような場合、声がしっかり鼻にも抜けるようにしたり、笑顔で(口角や上唇全体をつり上げて)声を出すようにすると、印象が「柔らかく」なったり「軽く」なったりするので、試してみてください。



○高め倍音強、低め倍音弱(赤)
→「明るい声」
よく言えば明るい声ですが、悪く言えば子どもっぽい、キンキン声です。
木製楽器より金属楽器に近い響き。


明るくて良く響く、聞いていて気持ちの良くなる声です…程度によっては。
あんまり響きすぎると、いわゆる「キンキン声」になってしまい、あまり良い印象を持たれません。
「落ち着きが無い」「小五月蝿い」「底が浅い」などという印象を与えてしまい、凄く「小物感」が漂ってしまいます。
この場合、しっかり胸に響く声が出せるようにトレーニングをしてみると、声の印象が大きく変わります。



○高め倍音強、低め倍音強(紫)
→「強い声」
バランス良く高低の倍音が鳴り、非常に印象や声の輪郭が「強い」状態。
豊かな倍音によって、声の印象がとても力強くなり、簡単に広く遠く強く声を届けることができます。


ただ、倍音が強すぎて
「同時に色々な音が鳴っているような状態になり、何が何だかわからなくなる」
という場合もありますね。
例えば鐘とかシンバルとか、あんな感じの音って、物凄く強い倍音が鳴るせいで「基音」がわかりにくいと思います。
倍音の強すぎる声もそんな感じで、
「何だか色んな音が混ざってしまって、何言っているのか、大声になればなるほど逆に聞こえにくい」
という状態になってしまうこともあります。


他にも、声の印象が強すぎるせいで、会議とか友達との会話で「出たがり」とか「天然仕切り屋」とか「空気デストロイヤー」とかいう印象をうっかり持たれてしまったり。
…これは私のことですが(笑)。
うっかり本気で声を出してしまうと、会話の主導権を強奪してしまうんですよねー…「声が大きい人が発言権を得る」っていうのは、けっこう真理っぽい。
昔からもともとそういう傾向はあったんですが、合唱やってからはもう大きな悩みですよ、これ。


そういう場合は、まあ音量を抑えるのが一番手っ取り早いのですが、
・軽く唇で「ミュート」をかける(唇をいつもより軽くすぼめ、ほんの少しだけ音をこもらせて倍音を弱める)
・喉の力を抜いて「声立て」を弱くしてみる
というのもいいでしょう。