唇を柔らかく使って、綺麗な声になりましょう


今回は、発声にとって非常に重要なパーツである「唇」について、かなり範囲を絞って考えてみました。
唇のトレーニングってことで、声が良くなるだけでなく、キスも上手くなっちゃうかもね。



○今回のテーマを考えるきっかけになった「とある人の声」


最近、とある高貴な御方、その方面では「プリンス」的な存在のお話を聞く機会がありました。
…具体的に誰なのかは、ご容赦の程をよろしくお願い致します(笑)。

ボイストレーニングが趣味である私はどうも、初対面の人を「声で」判断しようとしてしまう癖があるのですが…
彼の声の第一印象は、「一見爽やかなんだけど、なんかいちいち嘘くせーな」というものでした。


そのように感じた理由を分析してみたところ、「唇の使い方」に問題があるんじゃないかなー、という考えに至りました。


彼の場合、おそらく「立場上、常に微笑みを絶やしてはならない」という使命感から、
「唇両端が上がりっぱなし=表情筋の一部が硬直しっぱなし」
という状態が定着してしまっていて、「発音の自然さ」と「声色の自然な変化」が失われてしまっているのでは、と。


プリンスにはプリンスの苦労があるんだなあ…と思いました。
まあ、今書いたことは勝手な分析による妄想ですが、そんなに外しているとは思ってません。



○唇が「開きすぎ」の場合


上に書いた通り、唇とそのまわりの表情筋が硬直して唇が開きっぱなしになると、以下のような状態になってしまいます。


・発音が悪くなる
「p・b・m」などの一部の子音が発音不能になり、他の子音もやや発音しにくくなります。
また、口の形がゆがみがちになるので、母音が濁ってしまったりします。


・声質の「自然な変化」が失われてしまう
人間は話している内容やそのときの感情、または発音などによって、口も含む表情を自然に変化させます。
唇(口の形)に関して言えば、縦に大きく開いたり、横に大きく開いたり、唇を前に突き出したり、口角を上げたり下げたり…
そのような自然な変化が起こらないほどに唇を硬直させてしまうと、声も「同じような声しか出せない状態」になり、あるべき変化が感じられない「硬直した声」になってしまい、なんだか不自然に聞こえてしまうんですね。
人間、言葉だけではなく、声の雰囲気やその変化と言った、いわば「声の表情」を感じ取りながらコミュニケーションします。
なので、そういう「硬直した声」で話をすれば、まず間違いなく「この人何を考えているかわからなくて気持ち悪い!」と思われます。



○唇が「開かない」場合


上の状態とは逆に、唇とそのまわりの表情筋の動きが悪く、あんまり唇が動かない、開かない、という場合もありますね。
むしろ、こっちの状態になっちゃっている人の方が多いかも。
内気な人、人前で意見をあまり言えない人、他人の様子を常にうかがってしまう人、人付き合いが苦手な人…は、だいたいこの症状を持っているのでは(統計とったわけじゃないけど)。


上の「開きすぎ」の状態と同じく、発音が悪くなり、声質の「自然な変化」が失われてしまいます。


さらに、こちらの場合は、「声がこもってしまう」という問題も生じますね。
ただでさえ「発音が悪い状態」なのに声がこもってしまっては、相手に情報が全然伝わりません。
情報が伝えにくく、声の印象も暗く弱くなってしまうので、とにかく相手にネガティブな印象を与えてしまいがちです。



○唇を柔らかく使うために


唇を柔らかく使うためのエクササイズを2つ紹介。
今回のは声をまともに出さないけれど、これはこれで立派なボイトレです。


・リップロール
リップロールについては過去に何度か紹介していますが、唇を「ぷるぷる」させることですね。
リップロールをすることで、唇をリラックス・ストレッチすることができる上に、唇の「力の加減の仕方」を身につけることができます。
遊び感覚で出来るだけ長くリップロールができる力加減を探ってみたり、声の準備運動や整理体操として意識的にやってみたり、とりあえず色んな機会にやってみてください。


・表情筋トレーニン
「顎、歯は閉じたまま、上唇を限界まで引き上げる/下唇を引き下げる→可能な限り強く閉じる→限界まで前に突き出す」
「歯茎が全部露出するくらいに上下の唇をめくり、数秒キープ→力を急に抜いて戻す」
「思い切り口角を引き上げ数秒キープ→力を急に抜いて戻す」
「指2本分くらい口を開け、唇の形を縦長(「う」の口)⇔横長(「い」の口)というように、すばやく動かし続ける」
…など、「表情筋の筋トレ」をやってみるのもいいかもしれません。
とりあえず、一日1〜3分も行えば、唇の動きが見違えてよくなってくるはず。


そして、普段から気をつけるべきは、
「常に表情に気をつけること(自分がどんな表情をしているのか把握すること)」
「表情の自然な変化を大切にすること(あまり表情をつくりすぎないこと)」
です。
できるだけ表情豊かに、かつ自然な表情で、声を出せるのが理想ですね。