「音痴」について本気出して考えてみた


さて、今までは「歌唱力」系のボイトレについてはあまり書いてこなかったのですが、そちらについても興味がある人は多いと思いますので、今日から、
不定期連載「音痴について考える」
なるものを書いていきたいと思います。



○「音痴」のおおまかな分類


一口に「音痴」と言っても、その症状や原因は様々です。
とりあえず、「音痴」というものを原因別に大きく3分すると、以下のようになります。


・イメージ系音痴
→正しい音が頭に無いので、正しい音が出ない状態。
音感の不足によって正確に「音の流れ」をイメージできない状態や、単なるイメージ不足・準備不足によって「次に出すべき音」がわからない状態など。
一般に狭い意味で言われる「音痴」=「音感が無い」は、この状態を指します。
絶対音感」などの特殊技能は大人になってからの訓練ではそうそう身につきませんが、もっと広い意味で言うところの「音感」は要するに音に対する「記憶力」なので、訓練によって確実に向上します。


・フィジカル系音痴
→身体能力が歌・出したい音に対して足りない状態。
音域の限界を超えた音は出せませんし、無理に出そうとしても「外れた音」が出ます。
また、歌っているとどうしても疲労や力みなどの様々な身体的要因によって「ねらった音を出せない」状態になってくるものです。
音域を広げたり、長時間変わらない声で歌い続けるには、基本的な「筋力」や「筋肉の柔軟性」が必要になります。
ただ、「筋トレをしてマッチョになれ」とか「肺活量向上のために有酸素運動を…」とまでは言いませんよ。
ボイストレーニングによって「歌うための筋肉」を正しく使えるようになることで、「歌い手としての体力」を鍛えましょう。


・テクニック系音痴
→身体を使いこなせないことによって、音を外してしまう状態。
身体、その中でも特に声帯を使いこなす「技術」というか「器用さ」が無いと、「正しい音がイメージできている上に身体的にも楽に出せる音域であるはずなのに音を外してしまう」という、非常に残念な状態になってしまいますね。
「歌が上手い」=「声のコントロールが上手い」というものの対義語としての「音痴」がこれです。



○どれが「ボトルネック」なのか


基本的に「音痴かどうか」というのは、これら3つ(イメージ・フィジカル・テクニック)の能力の総合で決まりますが、どれか一つでも大きく欠けていると、他がどんなに良くても「音痴」になってしまいますね。
今まで合唱をやってきて、色々な人と歌ってきましたが、
・音感は優れているのに、声帯まわりの使い方が「不器用」なせいでちょっと…
・音域も広くて声もそこそこ器用なのに、「イメージ不足」なせいで、カラオケのようなガイドメロディーが無いとちょっと…
・短時間だとものすごく歌が上手いのに、「歌い手としての体力」が不足していて、長く歌うとちょっと…
とかいう感じの人達を、たくさん見てきました。


しかも、教える側も素人だと、発声技術の問題で正しい音が出ていないのに(正しい音はイメージできているのに)「高めの音をイメージして!」という指示を出してみたり、逆に、頭の中で正しい音がイメージできていないから外している人に「特別マンツーマン基礎的発声練習」とか意味があんまり無い上に辛いことをやってしまうわけです。
…これでは何も解決しません。


「音痴を直したい!」「歌が上手くなりたい!」と思うなら、自分の強いところ、弱いところを徹底的にチェックする必要があります。
そして、弱い部分を鍛えることが必要です。
できればやってみて欲しいことは、
「録音機器やアドバイスしてくれる人をとことん活用し、自分の声と徹底的に向き合う」
ことですね。
それをする際に、正確な音程を実現するための3要素である「イメージ・フィジカル・テクニック」を頭においてもらえれば、かなり詳細に自分の状態がわかるかと思います。


まあ、もちろん、だいたいの場合、原因は上の3つが複雑に絡み合っていて、一つの原因を特定するのは非常に難しいのですが…
それなりに原因というものついて「仮説」を持ってトライしないと、効率良く練習するのが難しいですからね。