声を大きくするために知っておきたいこと…その1、「息」と「声帯」について


○「息」について大切なのは「量」ではなく「圧力」


声が小さいのが悩みの人で、「肺活量がないから声が小さくて…」という感じのことを言う人がいます。
しかし、それは大きな間違いです。
もちろんオペラ歌手とかはすごい肺活量を持っている人もいますが、日常レベルで言えば「肺活量と声量はほぼ関係なし」と言っていいでしょう。


改めて書くまでもないかと思いますが、声というものは、声帯の2枚のひだがその間を通り抜ける息によって振動させられることによって生じます。
なので、流れる息の「勢い」が強ければ強いほど、声帯は強く振動します。


息の量が多ければ、少ないよりは息の勢いは増します。
が、例えば同じ息の量でも、声帯の間の隙間が狭ければ狭いほど、声帯の閉じ方が強ければ通り抜ける息の圧力は高くなり、声帯は強く振動することとなります。
それで、「吐く息の量を増やす」のと「声帯をコントロールして息の圧力を高める」のでは、圧倒的に後者の方が楽です。
吐く息の量を「適量」より増やそうとした場合、呼吸に関わる筋肉を総動員させなければなりませんが、これが身体的に無茶苦茶きついので。
なので、「息」について大切なのは「量」ではなく「圧力」を高めることだと覚えておいてください。


ただ、もちろん、吐く息の量自体が「適量」よりも少なすぎる…という場合ももちろんありますので一応注意は必要ですが。


あと、腹式呼吸が推奨されるのも、この「圧力」をかけやすく、キープしやすいからですね。
というか、胸式呼吸だと、圧力をキープすることはできません。



○「声帯」は「きっちり締め」つつ「余計な力は抜く」


で、声帯についてですが、上に書いた通り締まっていた方が大きな声は出やすいです。
ただし、かなり理想的な声帯の締め方でなければ、力を入れれば入れるほどに「声帯の振動を妨げる力」も入ってしまってしまって、結局どれだけ力んでも声量が大きくならない…となってしまうこともよくあるので注意しましょう。
「声帯」は「きっちり締め」つつ「余計な力は抜く」と考えながら、「ベストな力の入れ具合」を探っていくことが大切です。



○声を大きくするボイストレーニング、実践例


・息の量が足りない場合のトレーニン


息の量が足りない理由については、「筋力的な問題」より「身体の使い方の問題」や「精神的な問題」の方が多いかな、と思います。
普通に生活して普通に呼吸できる筋力があれば、まあ普通程度の声量は出せるはずなので。


息の量に問題を抱えている場合、まずはとりあえず「腹式呼吸」をためしてみましょう。


参考・腹から声を出す!その2‐烏は歌う
http://d.hatena.ne.jp/wander1985/20100124/1264317463


それと、「少ない量の息で声を出すことが習慣化してしまっている」という症状を治すために、例えば「思い切りため息をついてみて、そのため息を声にしてみる」という方法もあります。
ため息って、けっこうな量の息が出るんですよね。
かすれ声でも構わないので、ため息の「はー」を「あー」に換えてみるとけっこうな声量になるかと思います。
そのくらい息を吐きながら声を出すことに慣れてみましょう。


で、何故「少ない量の息で声を出すことが習慣化」してしまうかというと、精神的に声を出すことに対する「遠慮」とか「恐怖」とか…そういうのが原因な場合も多いかも。
だいたい、子どものころから言いたいこと言ってきた人って大人になっても声が大きいですし、逆もしかりですよね(笑)。
精神面の問題の場合は、普通は根深いのでなかなか声を大きくできないんですが、以下のような「スピーチの心得」みたいなのを、日常生活から実践すると良いかも。


参考・あなたの声の魅力を引き出し、会話やスピーチを成功させるための「第一声」の出し方‐烏は歌う
http://d.hatena.ne.jp/wander1985/20090325/1237981782


・声帯をコントロールするためのトレーニン


とりあえず自分の声について、どのくらいの効率で息が声になっているのか、どのくらいの息が声にならずに「抜けて」いるのかを確認してみましょう。


参考・「息」と「声立て」‐烏は歌う
http://d.hatena.ne.jp/wander1985/20090503/1241327409


で、声帯をきっちり締めるためのトレーニングとしては…例えばこんなの↓


禁断のボイストレーニングを紹介します - 烏は歌う


それをしばらくやったあとに不意に(力を入れてやる!って意識を忘れて)伸ばしてみると、いつもよりしっかり「芯のある」声が出るかと思います。


声帯の余計な力を抜くトレーニングとしては、「喉を開く」系のトレーニングが有効です。
喉を「横」に開くという場合は声帯を締める力を緩めるということですし、「縦」に開くトレーニングを積むと無理な力を入れずとも声帯を締められるようになりますので。


参考・「喉を開く」について、再度まとめ‐烏は歌う
http://d.hatena.ne.jp/wander1985/20090818/1250526924


それと、この「締める」と「力を抜く」の両立というのは、過去に紹介した「Speech level singing」のテーマそのものですので、是非参考にしてみてください。


参考・Speech Level SingingのPodcastを聞いてみた‐烏は歌う
http://d.hatena.ne.jp/wander1985/20090301/1235834307



○次回に続く


で、この息と声帯のバランスで声量を上げるという方法、けっこうすぐに限界が来ます。
というのも、声帯で受け止められる息の圧力には、限界がありますので。
例えるならこの方法は、しっかり張った楽器の弦(声帯)を強いタッチ(息)で鳴らして音量を上げようという方法ですので、あんまりタッチを強くしすぎると良い音が鳴らなくなってくるし、楽器を壊してしまう可能性もあるわけですね。
で、アコースティックの楽器の場合は「もっと良く響く楽器に換えよう」となるわけですが、声の場合それは無理ですので(笑)身体の声帯以外の部分に目を向け、「より響く声の出し方」というものを考えていく必要があるわけですね。


という訳で、次回はそれについて書きます。
…ちょっと次の更新がいつになるかわからないのですが、お楽しみに!(?)



○第二回


声を大きくするために知っておきたいこと…その2、声の「響き」を大きくする方法について - 烏は歌う