ハスキーボイスについて考える〜その3「ハスキーボイスを出したい人向け」

さてさて、最近はハスキーボイスについての記事を連続で書いてきたわけですが、それも今回でお終いです。
今回は「ハスキーボイスを出したい人向け」。


前回までのおさらいをすると、ハスキーボイスになる原因として、

1.声帯の形質や状態のせいで、声帯が閉じたときに隙間が生じる
2.息の強さに対して声帯が締まる力が弱く、声帯が閉じきらない
3.声帯まわりの筋肉に変な力が入っているせいで、きれいに声帯が閉じない

という3点を挙げました。



○とりあえず、無茶はしないこと


で、そのような状況をわざと作り出してやればハスキーボイスになるわけですが…。


まず、ボイストレーナー的に絶対にお勧めできないのが、1です。
よく「味のある声になりたくて、ウヰスキーでうがいをしたり、大声で怒鳴り続けたり、タバコを吸いまくったり…」みたいな武勇伝を聞きますが、止めといた方がいいと思います。
最悪「声が出なくなる」レベルの損傷を受けることもあるだろうし、「ちょうど良い感じで止める」みたいにコントロールすることは不可能でしょう。
もし万が一「ちょうど良い」状態になったとしても、声量とか表現力とかコントロール力とかが絶対に落ち込みますし、元に戻すことが不可能です。
あと、歳をとってくると声帯が傷ついたり神経が上手く働かなくなってきたりするので徐々にハスキーボイスになってくるものなので、若い頃に「若気のいたり」で喉を潰しちゃった場合、年取ってから完全に声を出せなくなるかも…。



○息を多く、声帯をゆるく


そうなると、2の状態をわざと作りだして、「声帯を閉じる力」と「呼気の勢い」の釣り合いを、やや呼気が強い状態にするという方法が妥当かな、と。
3については喉へのダメージが少なくないので、あまりお勧めはできないので。


具体的には…
・「ささやき声」をそれなりの音量で出す
・いつも通りの声の出し方で、息を1割〜3割増しくらいにする
・常に喉から息を漏らし続ける
という感じが無難かと。
その上で、「声帯の閉じる力」が強くならないようにしていく必要があります。
クラシック的な「引いて出す発声」とかとハスキーボイスの両立は無理かなー…まあ、そんな需要無いか。


地道に、「無理なく出せるバランス」を探していくことが大切ですね。
やってみて、喉の準備がしっかりできている状態なのに頻繁に「むせる」ようだと、息が強すぎ。



○それっぽい「装飾」のやり方


で、そういう声の出し方をやっていくと、
「これじゃただのウィスパーボイスじゃないか!もっとブルース歌手のようなパワフルなのが出したいんだ!」
という要望を持つ人もいるかな?と思います。


そういう場合、「エッジボイス」を音の出し始めに入れてやると、一見パワフルな声に聞こえます。
エッジボイスとは、閉じた声帯のひだ自体がぶつかる音です。
「古いドアをギギギ…と開ける時のような音」とか「ゾンビっぽい声」とかいう感じで形容されます。
わざと喉で音を濁らせ、「あ゛ー」という感じで、のどをガラガラと鳴らす感じの声です。
平井堅とか、倖田來未とかが歌い出しによく使っています。
(というか、一時期のR&Bブーム以降、「発声のはじめを引きずるような感じ」で出す人がとても増えたのですが、それがエッジボイス。演歌にも多いかも。)
エッジボイスを声の立ち上がりに入れることでアタックを入れることができますし、その後声帯の閉じ方をゆるめて息混じりの声を出すと、後のハスキーさがより引き立てられます。


あとは、普通に声を出している状態でも、「子音」や「無声音」を思いっきり強調するとハスキーっぽく聞こえるというテクニックもあります。
子音を強調するときは、「子音を強く出す」方法だと事故を起こしやすいので、「子音を長く出す」イメージがお勧めです。
また、語尾とか言葉と言葉の間に、「声は出ていないけれど息は流れている時間」を多くとってやることによっても、若干ハスキーっぽい声に近づきます。
方法を具体的に説明するのが難しいのですが、例えば「語尾で、『余った息』を『吐き捨てる』ような発声」を試してみましょう。
こういった小技を併用するのも、声の演出に役立つかもしれません。