リズム感が良いように聞こえる、歌い方のコツ色々、その2

今回は予告通り、
・その2 リズムを保つには、「声を出す前の準備」が重要です
という内容で。
…前回書いた予定ですが、今後ちょっと予定が変わることもあるかも。


さて、今日は何故このテーマかと言うと、
「頭の中で刻んでいるリズムはある程度あっているのに、声が実際に出るタイミングはリズムから外れてしまう」という状態になってしまう原因として多いのは、
リズムから遅れる→「声を出す準備ができていないので、正しいタイミングで声を出せない」
リズムより早まる→「声を出す前の『溜め』がないので、正しいタイミングまで待てない」
という状態だからです。


なので、今回は、「声を出す前の準備の仕方」「声を出す前に『溜める』必要性」について書いていきます。



○あらかじめ息を吸っておき、息を止めた状態で待つ


人間の身体の構造上、「さあ声を出すぞ!」と思ったら何をするか?
…息を吸います。ほぼ確実に。
また、人間の身体の構造上、「一番息を吐き出しにくいタイミング」は何時か?
…息を吸った「直後」です。
人間の呼吸のサイクルは、「吸う」⇔「吐く」ではなく、「吐く」→「止まる」→「吸う」→「止まる」の変則4拍子です。


なので、拍に合わせて「さあ出すぞ!」とやってしまうようでは、絶対に拍には間に合いません。
拍に合わせて息を吐かないといけないので、拍に至る前に既に「吸う」→「止まる」までは準備が整っていないといけないわけです。


フレーズの入りが遅れるとすごくリズム感が無いように聞こえてしまいますし、その後つじつまを合わせなければならないのでさらにリズムが崩れます。


そういうわけで、声を出し始める前に軽く息を止めて待つ、そうやって身体に「溜め」をつくってやることで、リズムに乗って歌いやすくなります。
息を止めると言っても、ほんの一瞬、ごくごく軽くで良いのですが、「息を吐き、声が出始める」前に「息を吸ってもいないし吐いてもいない一瞬」があるかどうかで声の出しやすさ・立ち上がりの良さが大きく変わってきて、リズムに乗れるかどうかにも大きく影響します。
なので、慣れないうちは大げさに溜めてやってもいいかもしれませんね。
息を止めようと頑張りすぎて、喉に力が入らないように注意。


この「あらかじめ息を吸っておき、息を止めた状態で待つ」というテクニック、本当にちょっとした一手間なんですが、意外とできないものなんですね。
特にやりにくいのが、フレーズとフレーズの合間。
前のフレーズを歌いきったあと、そこで意識が途切れてしまい、次のフレーズの用意ができて無くて…ということはよくあります。
これをやってしまうと、歌の流れ・勢いがブチ切れてしまって、非常に残念な事態になってしまいます。
特にこれをサビ頭でやってしまうと悲惨です。
リズム通り歌っているはずなのに、気がついたらリズムから外れている…という人は、フレーズの頭の拍でしっかり準備できているのか、しっかり「タメ」をつくれているのか、確認してみて下さい。


それと、前回紹介した小さい「つ」をつけるというテクニックですが、それをすることで瞬時に身体に小さな「溜め」をつくることができるんですね。
アクセントをつける…という効果以外にも、身体に「溜め」を作りやすい状態にして拍を流してしまわない…という効果が、小さい「つ」にはあるんです。



○文字の「母音」に拍を合わせる


例えば、「さあ」という歌詞があったとしますね。
「さあ」と発音してみると、意外とS子音が長いんです。
で、この場合、最初の「SA」のどこに拍が来ないといけないかと言うと…
「・」を拍とすると、
拍に合わせて子音を出し始める、「・SA」というタイミングではリズムに遅れて聞こえてしまいます。
なので、子音はもう拍の前に出しておいて、母音が鳴り始めるタイミング・子音と母音が結合するタイミングに拍を置く、つまり「S・A」となるのが基本です。


日本語は子音と母音が独立していない(という建前の)言語なので、なかなか意識しにくいんですが、これができるとできないでは全然歌の印象が変わってきます。
それと、英語を歌うときにこれができていないと非常に格好悪いです。


上に書いたポイントでは「息を止めること」で「溜め」を作る感じですが、こちらのポイントでは「子音」で「溜め」を作る感じです。
両方できるタイミングも片方しかできないタイミングもあるのですが、常にどちらかの身体の「溜め」というものを意識すると、リズムに乗って歌うことができるようになるのでは、と思います。


あとは、いわゆる「最初の音を掘る」「下からずり上げて入る」とか、フレーズの頭に装飾音をつける場合もありますが、そういう場合も装飾音は「拍の前に流し」、本来出すべきメインの音の母音を「拍に合わせて出す」というのが基本。


つまり、「装飾音」で「溜め」を作り、「メインの音」をリズムに合わせているわけです。


「拍に合わせて装飾音→拍から遅れてメインの音」…というのも無くはないですが、ただ「もたっているだけ」に聞こえやすいので注意です。
一部のプロがそういう風に歌っているように聞こえても、分析してみると「表拍・裏拍のどちらかで装飾音を入れ、次の裏拍・表拍に合わせてメインの音を出す」というテクニックを使っている場合がほとんど。
…あ、演歌とかはちょっと特別で、これに当てはまらない場合も多いですからね!



○今日のまとめ


2つのポイントをまとめると、
「呼吸や子音、装飾音などで『溜め』を作り、」
「『母音』を拍に合わせていく」
という声の出し方を心がけると、リズムに乗って歌うことができます。


センスが良い人って、何の練習もしなくてもこれができてたりするので非常に羨ましいです。
が、特別センスに恵まれていない人でも、反復練習で「無意識にやれる」レベルまで身につけられるであろうテクニックなので、気になった人は練習してみてください。