上手く行かない「原因」を正しく見ることができているか?


今日は、こんな記事を読みつつ少々考え事を。


喉ニュース  【喉と声の事典】  ◆喉の運動能力の観点から声を解く◆ : 歌のリズム感が悪い人の90%が過緊張性発声と判明!

思い描いてください。
強く力んだ(りきんだ)状態で運動ができると思いますか?
体が硬くてガチガチのダンサーがいるでしょうか?
リズムを刻むには、軽快な筋運動が必要です。
喉頭の筋肉が過緊張に陥ると、弛緩のタイミングが上手くいかず、音声の拍子取りが乱れがちになります。
歌うとき、「自分はリズム感が悪い」と感じている人の喉状態を調べた結果、9割以上の方々が過緊張性発声となっていたのです!
そして、この過緊張性発声が改善されると、かなりの確率で歌唱時のリズム感が良くなります。


…友人のドラマー(セミプロ級の腕前)が、歌になると、音痴なだけでなくリズムまで極端にgdgdになるのは、たぶん間違いなくこれだなー。
「リズム感が無いはずは無い」のに、歌声としては半拍くらい余裕でずれてるの。


「歌のリズムを改善する!」という方法を考えると、なんだか「いかに正しく脳内でリズムを刻めるか」「いかに身体にリズムを叩き込めるか」…みたいな感じの方法を、普通思い浮かべますよね。
言うなれば、リズムをいかに「インプット」して「脳内でキープ」するか。
しかしこの記事を読めば、リズムの「アウトプット」は上手く行っているか?邪魔しているものは無いか?という視点も大切だということに、改めて気づかされますね。



○それは「設計図が間違っている」の?それとも「技術が足りない」の?


「リズム感が悪い」とか「音痴」だとか、そういうものに対してのアプローチは2通りありますね。


・「感覚」(リズム感・音感)を鍛える
・「感覚」通りに「運動」(発声)できるように鍛える


この2つのどちらかにこだわりすぎてしまったり、どちらかが見えないような状態でいると、上手くいかないような気がしています。


例えると、前者は「設計図をいかに精密に書けるか」みたいな能力で、後者は「職人の仕事の精度」みたいなものです。
どんなに精密な設計図をもとにしたって、職人の腕が悪ければできた建物はガタガタになってしまいます。
逆に、どんなに職人の腕が良くても、設計図の時点で問題があれば、やっぱりできた建物はガタガタです。


「思い通りにならなかったモノ」を生み出してしまったときに、


・イメージの精度に問題があるのか
・技術や過程に問題があるのか


ということを考えなければならないというのは、たぶん何にでも通じることなのかもな…と思っています。



○はまりやすい落とし穴について


で、「この2つのバランスが大事」というか「常に両方の視点から見ないといけない」というのは、たぶん誰でも何となくは気づいていることなんですが、なかなか実行できないことでもあります。


私が過去に居た合唱団だと、「音感はあるし、自分は正確な音程で歌えるだけの発声能力はあるんだけど、発声のメカニズムとかあんまりわかってないし発声指導もそんなにできてない(orする気がない)」という感じの人が指揮者とかやることが多くて。

そうなるとどうなるかと言うと…まあ私から見て「明らかに発声技術が足りなくて音を外している・音が安定していない」っていう状態の人に対しても、「ちゃんとこの音を出して!この音だから!」と鍵盤を鳴らすくらいしかできない、とか、そんな感じになります。
…もちろん、そういう指導をされた人は、次も同じように音を外します。
だって、原因が解消されてねえんだもの。

「設計図通りに職人が仕事できていない」ときに、「職人の仕事の仕方をチェックする」のでは無く、「設計図の書き直しを命じている」という状態なんですね、これじゃ。


逆に私のようなボイストレーニングマニアがはまりやすい落とし穴は、なんでもかんでも「発声」のせいにしちゃって、音感トレーニングとか譜読みとか音取りとかリズム読みとか、そういうのをおろそかにしてしまいがちなこと。

「職人としての手先の技術向上」には励んでも、「さぼって書いた精度の曖昧な設計図で作業をしてしまう」ような感じ。

…このような状態で、「音感じゃなく発声が問題だと思います!」と私が言ってみたところで、「いや、それはお前の音感が足りないだけだから…」と言われたら悔しいけど返す言葉が無い。


…以上のような感じで、


・人間、どうしても「自分が既に持っている視点」「自分の経験したことのある視点」「自分の得意な側の視点」ばっかりから物事を見てしまいやすい


という傾向があるので、


・極力「大本となるイメージの精度」と「それを実現するための技術」の両面から物事を見て、評価していく


という努力が必要なのではないでしょうかね。



○関連エントリ


「音痴」について本気出して考えてみた−烏は歌う