「飴と鞭」による学習や「スパルタ式教育法」が、よく効くとき・効かないとき…「ヤーキーズ・ドットソンの法則」


レーニング時に覚えておきたい心理学用語、その4。
今回は、「ヤーキーズ・ドットソンの法則」について紹介。
なんか「カタカナ語+〜の法則」と書くと、急に胡散臭く感じてしまうのは私だけ…?



○「ヤーキーズ・ドットソンの法則」とは


簡単に書くと、
「学習活動に対する動機づけは適切なレベルにあることが重要である」
という理論です。
または、言い換えると、
「最高のパフォーマンスをするためには、ある程度の緊張感が必要であるが、一定以上の緊張感は逆効果である」
とも言えるかな。

学習活動に対する「動機づけ」の強さは、ある程度までは「成果」と正比例します。
しかし、「動機づけ」が「強すぎる」場合、「成果」はむしろ低下してしまいます。


「動機づけ」という言葉についてですが、「ご褒美」も「罰」も両方とも「動機づけ」となります。
と言うか、この両者はコインの裏表で、原理的に切り離すことはできないんですが。
で、この動機づけというものは、「ご褒美」も「罰」も一種のストレスであり、良く言えば「集中力」/悪く言えば「緊張感」をもたらすわけです。



○適切な「動機づけ」の強さ?


まあ、適当に例を出すと、
1.「10本連続でフリースローをする。特にご褒美無し。」
2.「10本連続でフリースローをして、全部入ったら1000円貰える。」
3.「10本連続でフリースローをして、全部入ったら1000万円貰えるが、一本でも外したら罰金1000万円。」
という状況では…
たぶん2番の状況が一番上手く行きそうな気がしますよね?
1番の状況では特にやる気が出そうにありませんし、3番の状況なんて有り得なさすぎて、もしこんな状態になったら、たぶん手が震えてボールなんて持てそうにありません。


ある程度までの強さの「動機づけ」は「集中力の向上」という形で良い影響をもたらしますが、限度を超えた「動機づけ」は「過度の緊張」という形で、パフォーマンスを大きく悪化させます。



○課題の難易度と、最適水準


で、最適な「動機づけ」の強さ、緊張レベルについてですが…
・簡単な課題の場合、強い「動機づけ」で取り組むほど成果が出やすい
・難しい課題の場合、逆に、強い「動機づけ」で取り組むと失敗しやすい
ということがわかっています。


簡単な課題の場合、例え緊張で思考や動作が多少ギクシャクしようが何とかなってしまうものです。
むしろ、簡単な課題を失敗してしまう原因はいわゆる「うっかりミス」や「やる気の欠如」の場合が多いので、こういう場合は思い切り「動機づけ」を強くして、緊張レベルを高めないと成果を高めることはできません。


逆に、難しい課題の場合、課題の難しさ自体が多大なストレスとなるので、ちょっとでも緊張すると即、精神的にキャパを超えて俗に言う「テンパった」状態になってしまいます。
なので、難しい課題に対するときには、肩の力を抜いてリラックスして、緊張レベルを下げる必要があります。
また、
「失敗しても大丈夫!負けてもまあ大丈夫!」
「できたらもうけものだよなー」
「今回失敗しても、それは次回の教訓にするから、今は失敗覚悟でやろう!」
「全部やろうと思わず、まずは5割くらいを確実に…」
…という感じで、「動機づけ」を弱めることも非常に効果的です。



○まとめ


「ヤーキーズ・ドットソンの法則」
→「学習活動に対する動機づけは適切なレベルにあることが必要である」


「飴と鞭」方式や「スパルタ式教育法」みたいな「動機づけ」が非常に強いやり方は、「簡単な課題」には向いているが、「難しい課題」をやるのには向かない。


ある程度以上の難易度の課題をこなす/やらせる場合は、「動機づけの強さによるストレス」は逆に成果を低下させるので、リラックスした状態で課題を行うことが重要。


…という感じなので、是非気をつけてみてください!
こんな記事を書いている私でさえ、
「簡単な課題をロクな動機づけ無しで低モチベーションでやってしまう」
「難しい課題に対して無理に自分を追い込んで『背水の陣』で臨む」
という感じで、ヤーキーズ・ドットソンの法則的にダメな態度で課題に臨んでしまって失敗…ということがよくあるのでね。