声と環境について、その1。


今回から、声を出す場所・環境によって全然「響き」って違うよねー、という話を数回していこうかと。
たぶん全2回の予定だけれど、なんか思いついたらもっと増えるかも。


その1は、「声を出す場所が変わると、自分が感じる響きが大きく変わることもあり、それによって発声の感覚が狂ってしまうこともあるので注意!」という、わかっている人にとっては当たり前の話。



○声を出す空間とフィードバック


過去にも何度か書きましたが、「自分に聞こえている声」と「他人に聞こえている声」は全然違うものです。
自分に聞こえる声というのは、
・自分にしか聞こえない、声帯や調音器官などから骨などを伝わって鼓膜に届く振動である「骨導音」
・実際に空気を伝わり、まわりの人にも届く「気導音」
の2つが混ざったものです。
ボイスレコーダーなどで自分の声を聞くと、「なんかショボい!?」とか「気持ち悪い…」とか「これ本当に俺の声か!?」とか思ったりしますが、それが「気導音」100%の声であり、実際に他人が聞いている声なんですな。


…で、話を戻しますと、声を使う場所が変わり、声の響き方が変わると、この「気導音」と「骨導音」のバランスが崩れたり、「気導音」の質が変わってしまったりして、「声が急に変わってしまった!」と認識してしまうことがあります。


例えば、声があまり響かない部屋(やわらかい木造や厚い絨毯など壁面や床・天井が「音を吸いやすい材質」だったり、空間内に人や紙、布など柔らかいものが多かったり)。
このような空間では、「気導音」があまり反響してこないため、自分の声が急に「こもっている」「小さくなった」ように感じてしまいがちです。
まあ、響かない部屋では実際に音がこもったり小さくなったりするものですが、その影響を実態以上に感じ取ってしまいやすいのです。
その感覚に慣れることができずに焦って、無理やり大声を張り上げて喉に負担がかかってしまったり…ということがよくあります。


また、このような響かない環境で練習を積み重ねてしまうと、とにかく自分の身体の中で響きを大きくすることが最優先となってしまい、いわゆる「そば鳴りの声」とか「距離感の無い声」とかになってしまいがちです。


逆に、よく響く部屋などでは、反響によって音量も大きくなり声質も整えられた「気導音」が自分の耳にたくさん入ってくるので、「なんだか急に上手くなったような錯覚」を覚えてしまいがち。
自信を持つのは良いことだと思いますが、「実態が見えていない状態」ってのは危険でもあります。
反響がたくさん耳に入ってくると、その分だけ細かいところを見落としがち・聞きそびれがちになる、という問題点もありますし。
また、響きに任せきって「芯の無い声」「響きだけの、ふわっとした声」を出し慣れてしまうと、発音が不明瞭になってしまったり、響きの無い環境でどうしたらいいかわからなくなってしまったりする危険が。


あと、音楽だと、反響を聞きすぎるとリズムがずれてきます。
反響は、当然ながら「ほんの少し遅れて」自分の耳に届きますので、反響を聞きながら歌うと、確実にリズムに間に合わなくなってきます。


一番怖いのが、音楽用ホールや広くて天井も高い会議室・体育館など、「よく響く空間なんだけど壁が遠すぎてor響きが全部客席に回るようになってて、自分のところには反響が直接あんまり聞こえない」場所。
「聞かせたい人には十分良い感じで届いているのに、全然自分には自分の声が聞こえないもんだから怖くなって怒鳴ってしまって色々と台無し」ってのを合唱やってて何度も経験してきたし、これからも経験することになるんだろうなあ…orz



○まとめ


…とまあ、色々書いてきましたが、結論としては、


・声を出す場所が変わると、自分が感じる響きが大きく変わることもあり、それによって発声の感覚が狂ってしまうこともあるので注意!


→部屋の響き具合から、自分の声が「自分にはどう聞こえるか」「他人にはどう聞こえるか」を予想し、心の準備をしておこう!
→できれば、色々な響きの場所で声を出してみたり、大事な本番のある場所で声をしっかり出して、その環境に慣れておこう!
→実際にどう聞こえているか、というのは本人にはわからないものなので、信頼できる指導者や評価者を持って適宜アドバイスを貰うことや、録音機器などを使ってチェックすることも大切。


という感じで。