「ピアノ」を制するものは…


久しぶりの歌唱力ネタ。
「ピアノ」と言っても、楽器のほうじゃなくて、音量の強弱の「ピアノ」です!


今回ご紹介するボイトレは、
・適当な歌を可能な限り「ピアニッシモ(とても弱く)」で丁寧に歌いきる
というものです。


ピアニッシモ」と言っても、声にならない「ささやき声」とかではダメです。
普段の声を、そのまま音量だけ限界まで小さくするイメージで、声質を極端に変えてしまわないように注意しましょう。
細くとも芯のある声で。
芯があるけど、同じ部屋にいる人が「気づくか気づかないか」くらいの音量を目指します。


そのくらいの声で、とことん丁寧に一曲を歌いきってみましょう。
「絶対に一音も外さないぞ!」くらいのつもりで、普段音量を出すために使っている意識・力を全て「声のコントロール」に回しましょう。
基本的には「シンプルな歌い方」を心がけて、余計な装飾は全部省きましょう。
その上で、音の「入り方・伸ばし方・終え方」の全てが自分の思い通りになることを目指します。
「入り方・伸ばし方・終え方」が思っていたより早くなったり遅くなったり、音程が外れたりぶれたり、つけるつもりのない装飾(「ゆれ」とか「強弱」とか「しゃくり上げ」とか「ずり下げ」とか…)が入ったり、逆につけるつもりだった装飾がつかなかったり…とか、そういうことが無いように気をつけましょう。
それくらい神経質に。



○どんな効果があるの?


とりあえず、このボイトレをやってみて、
・普通に大声で歌うより疲れる!?
・小声のコントロールって意外と難しい…
というところに気づいてもらえれば、かなり成功。


まず、小声だと「ブレスコントロール」や「声帯の微妙な緊張感の維持」とかがかなり上手くできていないと、声のコントロールができません。
うっかり息を弱めてしまえば「まったく声が出せない」状態になってしまいますし、逆にちょっとでも息が強くなれば、音量がいつのまにか大きくなってしまったり、過容量の息に喉がつまるような感触がして声が止まってしまったり…。
そして、ほんの些細な息のコントロールミスがダイレクトに「音が外れる」「音がぶれる」という結果につながってくるのも、小声の怖いところ。
さらに、息のコントロールだけではなく「声帯の緊張感・喉の力の入り具合」も絡んできて、これも強かったり弱かったりすると、小声では声が変になってしまったり出なくなったりしますね。
さらにさらに、「声の入り方・伸ばし方・終え方」や「音程」だけでなく、「発音」も小声だとコントロールが難しくなってしまいます。
出すべき子音が出なくなったり、逆に「あいうえお」が「はひふへほ」になってしまったり、母音の響きがおかしくなったり…とね。


そういう事情があるので、小声で真剣に一曲歌ってみると、慣れないうちは「声がぶれる」「どうしても入りが遅れてしまう」「ところどころで芯の無いささやき声になったり、声が出なかったりする」「ロングトーンが維持できない」などのトラブルが続出すると思います。
それを乗り越えられるように練習を続ければ、ブレスや喉の繊細なコントロールが身につく!…かも。


また、小声で歌うと、普段「音量」とか「声質・音色」とか「勢い」とか「雰囲気」とかで誤魔化していたものが、全て明らかになってしまいます。
特に「高音域の音程の正確さ」とか「音域ごとの声質の充実」とか「ロングトーンの安定感」とか「発音の明瞭さ・滑舌の良さ」とか「リズム感」とか…そういった色んなものを音量で誤魔化せなくなったとき、歌手としての実力がかなり残酷なまでに明らかになってしまいますねえ…。
そういう意味でも、この「ひたすら小声でとことん丁寧に歌うトレーニング」は、声のコントロールを高めるために役に立ちます。
…地味ですが、とても効果は大きいトレーニングです。



○最後に


あんまりにこればっかりやりすぎると、「広い場所で大声を出す方法を忘れた」なんてこともありますが(笑)、基本的には喉にも優しいし、自宅などでも簡単にできるボイトレなので、日常的にやってみるのもいいかもしれません。


どうしてもボイトレに興味があったり歌が好きだったりする人、声を出すことが大好きな人は、常に「もっと大きな声で!」と思ってしまいがちですし…もっと言えば「小声だと練習した気にならん!」「大声出さなきゃストレス溜まるぜ!」という感じになって、この辺のトレーニングをさぼりがちになってしまいがち…。
(と言うか、大変残念なことに、私がそんな残念な感じなんですよ!orz)
なので、たまに思い出したときにはこのトレーニングをやるといいと思います。