2−3 声と共鳴について

1 目次


2 発声の3要素、息・声帯・共鳴
2−1 発声に必要な息のコントロールとは - 烏は歌う
2−2 声帯についての基本的な知識
2−3 声と共鳴について
 ・声は共鳴によって作られる
 ・共鳴腔について
 ・「全身を響かせる」イメージ

○声は共鳴によって作られる


共鳴とは…
wikipediaによれば

あらゆる物体には固有振動数(その物体にとって振動し易い振動数)がある。外部から振動が与えられるとき、与えられる振動が固有振動数に近づくにつれ物体の振幅が急激に増大する。この現象を「共鳴」または「共振」という。 遊具の「ブランコ」の、動きの調子に合わせて力を加えると次第に揺れが大きくなる様子が参考になる。


楽器や発声にあっては、発音体(発音物質、弦やリードなど)の振動がより大きな物体(筐体、共鳴腔)に伝わり共鳴することで、より人間が聞きやすい音に変化する。すなわち、発音体単独の時よりも、聴覚上大きな音が得られる。これは音色の変化でもある。楽器によっては共鳴によって安定した音高を得ている。

via-共鳴 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%B1%E9%B3%B4

とのこと。


声の場合、声帯の振動によって生じた音を、口や鼻や喉の空間(共鳴腔)などで共鳴させることによって、音量を大きくしたり、音色を整えたりします。


音量が大きくなる…というのは、体験的にわかりやすいかと。
トンネルの中だとか音楽ホールのような「よく音の響く場所」だと、足音のような普段聞こえないような音であっても非常に大きく聞こえますよね。


音色を整える…というのは、少々わかりにくいかもしれません。
共鳴が起こると、特定の振動数を持った振動は強めあい、そうでないものは弱めあいます。
それによって、色々な雑音とも言える成分を含んだ元の音が、特定の振動数(基音、倍音)の強調された「楽音」になるのです。


また、共鳴させるもの、共鳴させる空間の材質、形、大きさ…などの性質によって、共鳴の仕方は変わります。
その違いが、「音の個性」として現れてきます。
発声の場合は、共鳴させるもの・空間が色々とあり、しかも力の入れ加減によってそれらの「硬さ」や「形」を変えたりできるために、「どこに、どの程度、どのように響かせるか」を調整することで声を調整することができます。



○共鳴腔について


声の共鳴について特に重要な共鳴腔は、「咽頭腔」「口腔」「鼻腔」の3つです。
この3つの空間をしっかり使うことができると「声を使いこなす」ことができるようになりますし、この3つの空間の共鳴のバランスが崩れてしまうと「喉声」「鼻声」「がなり声」「通らない声」…などの悪声になりがちです。


咽頭
いわゆる「喉」の空間。
3つの中では一番体験的にわかりにくいところですが、発声のために非常に重要な空間です。
なにしろ、声帯に一番近い共鳴腔ですので、ここが良く響いてくれないと他の共鳴腔が有効に使えません。
この共鳴腔をうまく使うために必要なのが、「良い姿勢を維持すること」「喉頭(のどぼとけ)を下げること」「軟口蓋を上げること」…つまり、いわゆる「喉を開いて声を出す」ってやつですね。
軟口蓋をしっかり上げられるようになると、咽頭腔の共鳴が強くなるだけでなく、鼻腔など高いところの共鳴部位を使いやすくなります。
ある程度この空間が使えるようになったら、「舌の下部(付け根、舌根)で、この空間を塞いでしまう」ことが無いように注意する必要があります。
喉頭を下げるために舌の下部を思い切り力ませてしまう人はとても多いのですが、その状態ではいわゆる「喉声」になってしまうことがありますので。
詳しくは↓
「喉を開く」について、再度まとめ - 烏は歌う


・口腔
「口の中」の空間です。
ここが一番、響きを体感しやすい空間だと思います。
しかし、この空間の響きだけに頼ってしまっては、色々と問題があるので、しっかり他の共鳴腔も使うように心がけましょう。
と、言うのも、口腔の空間(特に前の方の空間)では母音の出し分けなどのために頻繁に形が変わるので、共鳴を主にこの空間で行う意識でいると、「一文字ごとに響き方・声質が変わってしまう」「安定しない声になる」などの問題が生じます。
また、口腔の響きを中心に意識すると、口腔を大きく広げるためにフォームが崩れてしまったり、意識が前のめりになってしまって姿勢が崩れたりして、他の共鳴腔が使えなくなってしまいがちになり、「がなり声」「キンキン声」になってしまいやすいです。
日本語はなんだか「口先だけで出せる」と俗に言われるくらい、口腔共鳴主体というか「響き」の少ない言語らしいので、意識して口腔共鳴以外の共鳴を使っていく必要があるかもしれませんね。
ここまでちょと「口腔共鳴ばかり強い声」の問題点ばかりになってしまいましたが、もちろん、口腔共鳴をしっかり使うことも大切です。
口腔共鳴をしっかり使うには、口を正しく大きく開けることが必要ですね。
「口を大きく開ける」というと「上前歯と下前歯の間の距離」(口腔の前の方)に注目してしまいがちですが、本当に大切なのは「上奥歯と下奥歯の間の距離」(口腔の後ろの方、顎の付け根)です。
「脱力した下顎が真下に落ちてきてぶら下がってるイメージ」「あくびをする寸前の状態」…くらいの口の開け方が発声には良いとされています。
詳しくは↓
いい声が出せる「口の開け方」 - 烏は歌う
図解「良い発声のできる口の開け方」…その1 - 烏は歌う


・鼻腔
「鼻の奥の方」の空間です。
ここも割と意識しやすい空間ですが、狙った通りに使いこなすのはなかなか難しいのではないかと思います。
特に高音域をクリアに出すためには、咽頭腔上部での共鳴に加えて、ここでの共鳴が重要であると言われています。
また、声をどの程度「鼻にかける」かによって、印象が大きく変わってきますね。
音量が出しづらい上に独特の印象を与えてしまう「鼻にかけすぎた声」はあまりおすすめできませんが、「鼻腔の共鳴のない声」も喉への負担が大きくなってしまったりするのであまり良くはありません。
何か特別な声を出さなければならないような目的が無い場合は、「声を出しながら鼻をつまむと、ちょっと声質が変わるかな?」くらいの鼻のかけ具合が調度良い、とのこと。
鼻をつまんで全く声が変わらない…では鼻腔共鳴が足りなさすぎるし、鼻をつまむと大きく変わるとかそもそも声が出ないとか…そういう場合は鼻腔共鳴に頼りすぎ。
詳しくは↓
典型的なダメ声、「鼻声」とは? - 烏は歌う
余談として、「極端に鼻にかける発声」の使い道は…
代表例としては、役者さんや声優さんが「役作り」のために使ったり。
あとは、電車やバスのアナウンスとかが「極端に鼻にかける発声」だったりしますが、これは「普通の声だと雑音に混じりやすい」から「特定の周波数だけ強調した声」を出すことで電車特有の環境でもしっかり情報を伝えるためにこうなった…という説が。



○「全身を響かせる」イメージ


さらに、共鳴腔(空間)以外の部位も共鳴させるイメージも大切だと言われています。
代表例としては、「頭頂部」とか「頭蓋骨」みたいな「骨」「固体」とか、「胸」とか「背中」とかさらには「全身」とかもっと「漠然とした部位・組織・器官」とか…
そういった部分も「響かせる」イメージを持つべき、らしい。
例えばエレキギターなんかは中に「空間」はほとんどありませんがボディの材質や形によって音が変わってきますし、アコギのような「空間」で共鳴させる楽器でも外側の「箱」の材質は音に影響しますよね?
それと同じように、人間の声の場合も、共鳴腔だけではなく全身を楽器・共鳴体として扱うべきである、らしい。


…「らしい」連発な理由は、
「解剖学的・物理学的に、全身が共鳴するはずがない!」
って意見も根強いからです。
まあー、ここでは詳しくは触れず「そういう意見もあるという」ことで。


「全身が響く感じ」を得るためには、
・共鳴腔をしっかり使えている
・声帯がスムーズに振動している
・呼気が適切な力で安定している
・余計な力が抜けて、呼吸や声帯の振動や共鳴を妨げる力が入っていない
・その他色々、心身を発声のためにコントロールできている
…など、様々な要素を「発声に最適な状態」にしてやることが必要です。
逆に言えば、「声が全身に響いている感じがしている、そういう感じが前より強くなっている」→「理想的な発声の状態に近付いている」とも言えるかも。
なので、「全身を響かせるイメージ」「全身を楽器として扱うイメージ」を持って声を出すことは有効である、と言えますね。