3−3 音色について

1 目次


3 声を形作る3要素、音量・音高・音色


3−1 音量(声量)について
3−2 音高(声の高さ)について
3−3 音色について
 ・音色とは何か
 ・倍音による声の印象の違い
 ・共鳴と音色の関係
 ・声帯原音と音色


○音色とは何か


音色とは何か…と言われると、意外と答えづらいですね。

音色(おんしょく、ねいろ)とは、さまざまな音の聞こえ方のことである。楽器毎にそれぞれ異なった音色を持ち、例えばトランペットは「プー」などといった音色の音を出し、ピアノは「ポロロン」などといった音色の音が出る。

via-音色 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9F%B3%E8%89%B2

とりあえず、「同じ音量」「同じ音高(例えば440ヘルツのラ)」をトランペット、ピアノ、バイオリン…などで音を鳴らしてみても、「全く違う音」として認識されますよね。
それを「音色」の違いと言います。


音色の違いが何故生じるかというと、音に含まれる成分が違うからです。
例えば、「440ヘルツのラ」を声で出した場合…440ヘルツの振動だけが起こっているかと言えば、そうではありません。
声帯自体の振動の様子や音の共鳴によって、「倍音」と呼ばれる「880・1320・1760…」ヘルツの音が発生します。
他にも、息漏れ音とか、息が声帯とは別の部分に当たって鳴る音とか…、「440ヘルツのラ」ととは異なる周波数を持った様々な「ノイズ」「雑音」も鳴ります。


つまり、感覚としては「一つの音」と感じても、実際は「様々な音(周波数)の混ざり合った音」を私たちは普段聞いたり出したりしているわけです。
その「音の混ざり具合」が「音色」であると言えます。



倍音による声の印象の違い


で、先ほど説明した「倍音」ですが、これが音色の印象、声の印象を大きく左右します。


基本的に、
倍音が少ないと、「丸く、輪郭のぼけたような、暗い、こもったような音色」になる
倍音が多いと、「鋭く、輪郭のはっきりした、明るい、よく通る音色」になる
と言われています。
例えば、金管楽器木管楽器では、金管楽器の方が「明るく、はっきりした音」に、木管楽器の方が「穏やかな、こもったような音」に聞こえますよね?
これは、金管楽器の方が構造上多くの倍音を含んだ音が出るからです。


また、音色は倍音が多いか少ないかだけでなく、「どんな倍音が多いか」によっても変わってきます。
高い倍音が特に強ければ「硬くはっきりした音」「キンキンした音」になりますし、高い倍音に対して低めの倍音が強ければ「柔らかいけれど強い音」「強いけれど抜けの悪い音」になったりします。
他にも、特定の倍音だけが他の倍音に比べて飛び抜けて強かったりすると独特の雰囲気のある音になったり…とか。


参考に、音楽で良く使われる音の形容表現と倍音について他のブログから引用すると…

硬い音、華やかな音、柔らかい音ってなんだろう?ハッキリものはないだろうか?  
ピアノの調律師に言わせれば簡単である。  


硬い音:高次倍音が多いと硬い音
柔らかい音:基音が強く 高次倍音が少ないと柔らかい音
華やかな硬い音:倍音が多い
こもった音:倍音が少ない

via-音質と倍音構成 - ピアノの医学:おかしいぞ!そのピアノ練習法 - Yahoo!ブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/pianononeirotokurasu/36524894.html

○共鳴と音色の関係


倍音などの「音の成分」の様子によって「音色」が違うということを今まで書いてきましたが、声の場合、共鳴のさせ方を変えることによって倍音の分布を操作し、声の音色をある程度変えることができます。


共鳴について書いた記事では「咽喉腔」「口腔」「鼻腔」の3つの共鳴腔を紹介しましたが、「どれにどの程度響かせるか」を変えることによって声の音色を変えることができます。
声の共鳴腔は、狭い空間(鼻腔など上の方にある共鳴腔)では高い倍音が、広い空間(咽喉腔など低いところにある共鳴腔)では低い倍音が響きやすいと言われています。
なので、「胸に響かせるイメージ」で下部咽喉腔を特に広げた発声をすれば「低めの倍音が強調された声」になりますし、「高いところ、硬いところに響かせるイメージ」で発声すると「高めの倍音が強調された声」になりやすいです。
なので、「バランスよく倍音の響いた自然な声」を出したければバランスよく共鳴腔を使ってやる必要がありますし、「個性的な声」が作りたければ共鳴腔に響かせるバランスを無理のない範囲で意図的に崩してやるといいです。
詳しくは、
「良い声」の正体…倍音とは - 烏は歌う
倍音と声質の関係 - 烏は歌う


それと、口腔は比較的自由に「大きさ」や「形」を変えることができるので、「口の開け方」によっても共鳴の様子を変え、音色を変えることができます。
口を「横に平べったく」開けば共鳴するスペースが非常に狭くなるので「高めの倍音が特に強調された声」になりますし、口を「縦長に」開けば「低めの倍音が強調された声」になります。
さらに、「唇」は倍音を吸収しますので、「唇の開きかた」によっても音色は変わります。
詳しくは、
「口の形」と「声質」の相関を、藤澤ノリマサの動画を見ながら学ぶ。 - 烏は歌う



○声帯原音と音色


共鳴だけでなく、声帯自体が出す音によっても、音色は若干変わってきます。


「声帯をしっかり閉じて、強く出した音」は、倍音の強い「明るい音色」になりやすいです。
また、「声帯をゆるく閉じて、柔らかく出した音」は、倍音の弱い「柔らかい音色」になりやすいです。
元になる音自体が強ければ多くの倍音が含まれやすくなるので、完成品の声も明るい声になる…というのはある意味当たり前ですね。


ただ、「声帯をきっちり閉めよう!」と力み過ぎてしまうと、声帯のスムーズな振動が妨げられる上に共鳴も弱くなりがちなので、「不協和な倍音とか雑音ばかりが強い声」になってしまうので、それには注意。
例えば「怒鳴り声」は、音の輪郭は強い(=倍音が強い)けど、「明るい」とか「心地良い」とかそういう印象は受けませんよね…そうならないように気をつけましょう。


それと、「ハスキーボイス」の存在があるので、「声帯を弱く閉じた声は倍音が弱い」とはちょっと言い切れなかったりします。
ハスキーボイス状態だと、声帯が微妙な振動をして様々な音が微妙に混ざった音を出すので、倍音成分が多く、倍音の構成が非常に複雑な音になります。
さらに、基音が相対的に弱いので倍音(不協和なものも含む)が相対的に強く感じられる状態となります。
なので、ハスキーボイスは「声帯閉鎖の弱い声」でありながら「とても強く倍音を感じさせる声」となります。



○余談


さらに詳しい話をすると、その「様々な音」が「時間的に見てどのように含まれるか」…例えば「音の立ち上がりは様々な噪音が鳴るが、伸ばすほど純音に近づく」とか、そういった特徴も「音色」を決定するのに重要だったりします。
ただ、その辺の話まで広げるとなかなか収集がつかなくなるので、今回の記事ではあえて詳しくは書きませんでした。