4−1 調音についての概論

1 目次


4 人間が「言葉」を喋る仕組み…調音


4−1 調音についての概論
 ・母音を出しわける仕組み
 ・子音を出す仕組み
 ・調音器官…唇、あご、舌、喉


4−2 調音についての補足


○母音を出しわける仕組み


声における「母音の違い」はどこでどのように起こるかというと、普通は「口の中」で「響き具合を変えること」によって母音の出し分けがされます。


過去に「音色」の話をしたときに、

倍音が少ないと、「丸く、輪郭のぼけたような、暗い、こもったような音色」になる
倍音が多いと、「鋭く、輪郭のはっきりした、明るい、よく通る音色」になる

声の場合、共鳴のさせ方を変えることによって倍音の分布を操作し、声の音色をある程度変えることができます。

と書きましたが、この「音色の違い」が「母音の違い」の元になります。


具体的に説明すると…
あ→声帯で鳴った音をそのまま響かせた感じ
い→声に含まれる「低音成分」をカットした感じ
う→声に含まれる「高音成分」をカットした感じ
え→「あ」と「い」の中間的な響き
お→「あ」と「う」の中間的な響き
…という風に聞こえますよね?
言い方を変えると…
「ぴー」という音と「ぽー」という音をそれぞれ想像してもらうと、「ぴー」の方が「高い響き」「明るい音」、「ぽー」の方が「低い響き」「暗い音」であるようにイメージしてしまいませんかね?
人間の耳、というか脳では、高い倍音を多く含んだ音が「い」母音っぽい音であると感じるはずなので。


こんな感じで、
倍音を自然に響かせることで「あ」系統の母音
・唇をすぼめたり口を小さく開けることで倍音を全体的に(特に高音域を)カットすることで「う」系統の母音
・口を縦に狭く横に平べったく開くことで高音域の倍音を強調し低音域の倍音を低減させることで「い」系統の母音
というような仕組みで母音の出し分けは行われます。


具体的な各母音の発音の仕方、そのときの唇や舌などの動きについては、下記の外部リンクが詳しいです。
合唱講座 第45回「OCM式日本語50音」発音



○子音を出す仕組み


では、子音はどのように発声されるかと言えば…
「肺→口への空気の流れを、口の中などで妨げること」によります。
空気の流れを妨げることによって、そこで摩擦音が鳴ったり、堰き止められた空気が急に流れることで破裂音が鳴ったりします。


具体的には…

「破裂音」=バ行、パ行、カ行「タ・テ・ト」、ガ行「ダ・デ・ド」、の子音。唇どうしや舌のある部分が歯や口蓋のある部分にいったんついたあと、直ぐ離れて出す音。
「摩擦音」=サ行、ハ行の子音。狭いすき間を息が通るときの摩擦音。
「弾き音」=ラ行の子音。舌先が軽く歯茎を打って(はじいて)出す音。「あら!」
「破擦音」(はさつおん)=日本語での「チ・ツ・ジ・ズ」の子音。「ツ」のように、まず、歯茎に舌先を付け「t」の位置からすぐさま「s」を発して出す音。破裂音+摩擦音ということでこの名が付く。
(*現在、「ズ」と「ヅ」、「ジ」と「ヂ」の区別はありません。しかし歴史的には区別がありました。「ジ」と「ズ」は「摩擦音」、「ヅ」と「ヂ」は「破裂音」であったようです)

via-合唱講座
http://www.collegium.or.jp/~sagitta/ocm_homepage/html/kouza_backnumber/kbn45.html

それと、「鼻音」=マ行、ナ行の子音、なんかもありますね。唇や舌などで口腔を閉鎖し、鼻腔に共鳴させることで鳴る子音。これは性質が他の子音とはちょっと違いますね。


このような仕組みで鳴る音が「子音」です。


それと、子音には
・「有声音」=声帯の振動を伴う子音
・「無声音」=声帯の振動を伴わない子音
があります。

要するに、「s」と「z」の違い。
声帯を振動させつつ(→有声音)歯の間で摩擦音を鳴らすと「z」、声帯を振動させずに(→無声音)歯の間で摩擦音を鳴らすと「s」になりますね。



○調音器官…唇、あご、舌、喉


このように、母音を出し分けたり、子音を出したりするには、唇、あご、舌、喉…といった部位を上手く使ってやる必要があります。
この「唇、あご、舌、喉」を、調音器官と呼びます。
(まあ、「喉」は普通は調音器官として数えないんだけど、このブログでは普通よりちょっと広めにとって「喉」も入れちゃいます。)


で、詳しくは次回書いていきますが、この調音器官は「発音、滑舌の良さ」だけでなく、「色々な声質を使えるかどうか」「スムーズに発声できるかどうか」「身体や声帯に負担をかけずに発声できるかどうか」…など、様々なことに関わっています。
調音器官を適度なリラックス感を持ってバランス良く使えることが、良い発声のためには必ず必要になってくるものだと思います。