5−1 発声と身体の各部位の関係

1 目次


5 全身を使った発声とは
5−1 発声と身体の各部位の関係
 ・なぜ「全身を使った発声」が必要になるのか
 ・身体の各部位と声の関係
5−2 発声と姿勢


○なぜ「全身を使った発声」が必要になるのか


発声において、声という音を鳴らすのに「直接」関わる器官は「声帯だけ」です。
なのに、なぜ「発声は全身運動である!」とよく言われるかと言うと…


1.呼吸をコントロールするために、全身の筋肉の運動が必要である
声の元となる「息」「呼吸」をコントロールするには、まずは腹筋・背筋のコントールが大切になってきます。
さらに、腹筋・背筋の動きを支え、サポートするためには「下半身」の筋肉や「体幹」の筋肉を使う必要がありますし、呼吸を邪魔する筋肉(首とか肩とか…)の力みをおこさないように注意する必要もあります。


2.声帯をコントロールするために、全身の筋肉の運動が必要である
声帯自体は独立した器官ですが、まわりの筋肉を使ってその動きをサポートすることができます。
表情筋や背筋などを使うことで、声帯を引き伸ばすなど、声帯に影響を与えることができます。
また、声帯のスムーズな動きを妨げる首や肩の力みを抑えるために、全身の筋肉を使ってしっかり姿勢を保ったりする必要もあります。


3.共鳴をコントロールするために、全身の筋肉の運動が必要である
共鳴腔を広げたり、コントロールするためには表情筋を中心とした様々な筋肉を使う必要があります。
また、共鳴腔を上手く使うには、余計な力を抜いたり、姿勢を保ったりする必要もあり、そういう意味でも「全身」を使ってやる必要がありますね。



○身体の各部位と声の関係


最初に、これを書く上で参考にさせてもらった記事を紹介。
1 身体と声との関連 - ヴォイストレーナー チャトラ猫の原稿倉庫 - Yahoo!ブログ
…とりあえず、こっち読んでもらった方がわかりやすいかも(笑)。


1.足、脚
立って歌う場合、身体を支える部分であり、声の安定感や力強さに大きな影響を与えます。
また、太ももの筋肉を中心として脚全体の力を使うことによって、腹筋・背筋の動きをサポートすることができます。
さらに、膝の動きなどによって「重心」をコントロールすることによって、声の印象を大きく変えることができます。


2.尻、腰
腹筋・背筋と脚を繋ぐ部位であり、また、腹筋・背筋を使って呼吸をするための「動きの起点」となります。
お尻や腰が力んで固まってしまったり、逆に必要なときに力を入れられないような状態になっていると、腹筋・背筋が上手く働けなくなり、発声に大きな問題が生じます。
お尻の筋肉をキュッと締めるようにすると、うまい具合に力加減ができるようになり、かつ骨盤の角度も適正になるので、発声に非常に良い影響がでます。


3.腹
発声に非常に重要な「腹式呼吸」をコントロールする腹筋群があり、とても大事な部位であることは広く知られています。
ただ、「腹筋」と言われて一番に思いつく「腹直筋(お腹の真ん中を縦に走る筋肉)」よりも、むしろ「脇腹」や「へその下」の筋肉の方が重要ですので、「腹から声を出せ!腹に力入れろ!」と言われても「腹直筋を固めない」ことが大切。
それと、腹式呼吸というと「お腹が大きく膨らんだりへこんだりする」というイメージを持たれがちですが、中級者以上は「腹の前面だけでなく、脇腹や背中も含め、360度全方位に膨らませる」イメージを目指すべき。


4.背中
背筋は非常に大きな筋肉で、身体中の様々な筋肉と繋がっており、あらゆる動きの起点になるのですが、発声においても同様です。
姿勢をコントロールしたり、呼吸時に腹筋と連動してバランスをとったり、首や喉まわりや表情筋などの筋肉と連動して声帯を引き伸ばしたり、共鳴腔をコントロールしたり…などなど、発声のあらゆる局面で背筋が使われています。
なので、発声において背筋は非常に大切な部分であり、背筋をリラックスさせ、ときに力強く使ってやることが重要です。
「背筋(せすじ)を伸ばしながらの発声」「身体を後ろに引きながらの発声」をすることで背筋を力強く使い、力強い発声をすることができますが、そのときは「腰が反ってしまわないように」「下顎を力ませてしまわないように」注意する必要があります。


5.胸、肩
胸式呼吸によって肩や胸郭が大きく上下してしまうと喉が力んで発声の邪魔になるので、胸部の脱力が重要です。
また、胸に響かせるつもりで発声すると「太く柔らかい声」になりやすいので、そういう声を目指したい場合はしっかり胸を張ってやることも必要です。
それと、「胸式呼吸はダメ!」という意識で「胸や肩を下げきったところで固めてしまう」という人がいますが、これはこれで問題ありです。
下げきったところで固めてしまうと、力みによって喉が力んでしまいやすいですし、胸郭が狭まって肺活量や共鳴が少なくなってしまいがちです。


6.腕、手
一見発声に関係なさそうな部分ですが、手を動かしながら発声すると「背筋と連動して呼吸や声帯や共鳴をコントロールできる」「発声のイメージを具現化することで、思い通りの発声をする手助けになる」という効果があります。
なので、「発声がなんだか思い通りにならない」「音程がいまいち定まらない」「もっとエモーショナルな表現がしたい」…などというときには、「手で出したい声のイメージを表現してみる」のも一つの手です。
ただ、それによって肩や胸が力んでしまっては逆効果なので、そこは注意。


7.首、喉
声帯の収まっている部分であり、とにかくここに「無駄な力」を入れないことが非常に重要です。
とにかくこの部分が柔軟であることを心がける必要がありますが、それを実現するためには「姿勢」だとか「口の開け方」だとかの見直しなども必要になってきます。
その上で、発声に伴う力みを抜くこと、力ませない発声の仕方を身につけていく必要があります。


8.頭、顔
表情筋と頭皮の下の筋肉は、共鳴腔のコントロールに非常に強い影響を及ぼす筋肉ですし、声帯のコントロールにも強く影響します。
「表情どおりの声が出る」というは発声の基本ですので、声による表現を行うにはとにかく表情が重要です。
また、「感情表現」などだけでなく「音程」や「音量」といったものにも表情筋は強く関わるので、「眉を上げる筋肉」「頭皮を引き絞る筋肉」「口角を引き上げる筋肉」などを中心に、表情筋を自由に使えると良いですね。



○関連エントリ
とりあえず、今まであんまり触れてこなかった「首から下」を中心に。


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