「記憶」の仕組みを知って効率よく学習したい…その1、感覚記憶→短期記憶→長期記憶


○前書き


今回からは、以下の4本立てで「記憶のメカニズム」を紹介していきたいと思います。
記憶のメカニズムを知ることで、より効率のよい学習をするための手助けにしていただけたら良いなあ…というのが、今回のテーマ。

・感覚記憶→短期記憶→長期記憶


・感覚記憶を有効に使うには


・短期記憶の特徴と容量について


・長期記憶を「想起」しやすく保つために


参考資料は、「教育心理学」関係の参考書やらウェブサイトやら。
基本的に、超初心者向けに砕きまくって語りますので「専門的に見たら大間違い」な内容もたぶん含みます。
まあ、ライフハック(笑)と思って読んでいただければ。



○感覚記憶→短期記憶→長期記憶


「記憶」には、3つの段階があります。
「感覚記憶」「短期記憶」「長期記憶」の3段階です。


その段階がどう進むかを簡単に書くと…
・感覚記憶
↓ 選択
・短期記憶
↓ 転送
・長期記憶
→ 記銘 → 貯蔵 → 想起


・感覚記憶
目や耳などの感覚器官で受け取った感覚を、「とりあえず」「なんとなく」保持するための記憶、それが「感覚記憶」です。
見るもの聞くもの全てを記憶…なんてことをしていたら凄まじい容量になってしまいますので、「特に注意を引かなかったもの」「特に重要でないと判断されたもの」の記憶は、数秒で消えてしまいます。
そして、膨大な量の情報が入っては消えていく感覚記憶の中で、意味がある情報だと「選択」された情報だけが短期記憶に送られます。


・短期記憶
そうして選択された情報を意識的に扱い、記憶しておくための領域が「短期記憶」です。
例えば誰かに何かを言われたときに、忘れないように相手の言ったことを何度もつぶやいて情報を保とうとすることがありますよね?その時に情報を保持している領域が短期記憶です。
そういった記憶は繰り返しをちょっとでも中断したり、他に余計な情報が入ってしまったりするとサッパリと忘れてしまいがちですが、そのくらい短期記憶の容量・保持時間は小さく短いものです。
短期記憶で情報を、ある程度の時間、ある程度の質(強度)で記憶することができると、その情報は「長期記憶」に転送されます。


・長期記憶
感覚記憶で選択され、短期記憶で保持・強化した情報を、長期に渡って貯蔵していく記憶領域が「長期記憶」です。
…普通、ものごとを「記憶した」と言えるのは、この段階に入ってからですね。
容量は非常に大きく、「ほぼ無制限に情報を溜め込める」と言う人さえいるほどです。
また、長期記憶の維持期間も「ほぼ半永久的」と言われています。
情報を記憶として取り込むことを「記銘」、それを保存することを「貯蔵」、貯蔵された記憶を思い出すことを「想起」と言います。
…つまり、「貯蔵」したらあとで「想起」、つまり情報を「検索」して見つけ出さなくては、記憶した意味が無くなってしまいます。
「きっちり覚えたはずなのに、いつの間にか忘れていた!」というのは、記憶が消えて失われたわけではなく、「想起」「記憶の検索」に失敗している場合が多い…というのが定説です。



○記憶の段階を知ると…


上の3段階を知ると、例えば…
・自分はどの段階が得意で、どの段階が苦手なのか
・どの段階でつまづいたか、どの段階で壁にぶつかっているのか
などがわかり、「学習法の改善」が図れますね!


例えば、「短期記憶から長期記憶に至るプロセス」に問題を抱えている人がどんなに「記憶の想起をしやすくする記憶術」を頑張っても意味が無いですし、「整理された、想起しやすい、使える記憶のまとまりが必要」な人がひたすら「繰り返し短期記憶から長期記憶へと使えない情報の断片を流しこむ」という様子をよく見るんですがこれも無駄です。
あとは、「教科書にアンダーライン引く(感覚記憶→短期記憶への補助?)だけで終了(当然、長期記憶には残らない)」とか。
「(短期→長期への移行の手段である)一時的に何度も繰り返す行為だけで満足(したせいで、長期記憶には貯蔵されたが、想起がしにくい状態)」とか。


記憶の段階に関する知識を活かせば、こういった我武者羅な勉強法より、遥かに効率的な学習ができます。


また、最近「メモを使って記憶術!」とか「Evernoteで記憶をアウトソースしよう!」とか流行ってますが、その外部メモを「短期記憶の拡張として使うのか、長期記憶の拡張として使うのか」によって、使い方だとか、使うときに注意すべきことって全然違ってきますよねー…。
「短期記憶の拡張」として使うなら短期記憶が容量的・時間的限界を超える前に急いでメモしなきゃならないとか、「長期記憶の拡張」として使うならある程度の「検索可能性」や「情報体系の整理」がないと使えるメモにならないとか。
「長期記憶の拡張」として使うにしても「外付けドライブ(情報置き場)」として使うのか、「想起のためのキー置き場(リマインダー保管所)」にするのか、とか。
…今はあんまり思いつかないけど、他にもけっこうあると思う。
そういう意味でも、この記憶の段階を意識してみるといいと思います。



○余談


余談ですが、ライフハッカーの皆様は騙されたと思って「教育心理学入門」とか「教育学概論」の本とか読んでみるといいですよー。


例えばこの人気ライフハック書評記事とか、言ってることはかなり教育心理学の内容ですし↓
これは凄い!『上達の技術』を便利にする7つのツール:マインドマップ的読書感想文


あんまりこの辺の専門知識を活用しているように見える先生が少ないせいか、最近教師の社会的信用が下がってきているせいか、「教育学なんて役に立つの?そもそもそれって何?教師になるために特別な勉強なんて要るの?教員にならない私に何の関係があるの?」って感じの社会人様が多いので…私は教師ではないですが教育大卒なので、たまに悲しくなります。
みんなもっと教育学に触れてほしいなあ、と。