「良い姿勢」をとるために、あごは引くべき?…姿勢について図解してみた。

○「猫背」と「あごを引くこと」について


姿勢について「一般論」を申しますと、日本人は骨格、筋肉、頭身…などの問題から、非常に「猫背」になりやすいと言われています。
胸板の薄さとか、肩幅の狭さとか、頭のデカさとか、体幹・バネの筋肉の弱さとか…そういった黄色人種的な身体的特徴が、ことごとく「猫背」になりがちな方向に働きがち。
さらに、デスクワークの多さなどの生活習慣の問題とか、いわゆる国民性の問題とかも…。


で、この「猫背」の状態であごが上がってしまうと…



この姿勢、首や喉に力が入ってしまって、声にとっては最悪な姿勢なんですね。
声帯の収まっている首に無理な力が入ってしまうので「声帯の動き」も「息の流れ」も阻害されがちですし、「共鳴」も上手くできません。
さらに、「下顎を突き出す」状態というのが最悪です。
「ものを飲み込む筋肉」が活発化し、「歌う・呼吸する筋肉」の動きが阻害されますので、この状態ではなかなかまともに発声することができません。


なので、「発声時にはあごを引きなさい!」という指導が一般的です。
では、この状態で単に「あごを引く」と全てが上手く行くかというと…



ただ「あごを引く」だけでは、やっぱり首や喉に力が入ってしまうのです。
特に、下あごが窮屈になってしまいがちで、「無理に力を入れて口を開ける」か「口を半開き程度しか開けない」かの2択になりがち。
さらに視線が下がりがちというのも、あまりよくないですね。
視線が下がると「暗い声」になってしまいがちですし、音程やその他諸々も下がりがちになりますので。



○頭頂部(つむじ)を真上から引っ張られるイメージ


大切なのは、顎を突き出さず、喉も窮屈にさせない姿勢です。
そのために意識すべきは…
「頭頂部(つむじ)を真上から引っ張られるイメージ」
ですね。
あごを引くとか引かないとか、実は「そこじゃない」んじゃないかな…と、最近思っています。


図で書くとこんな感じ。



右図の黒太矢印で示したように頭頂部を真上方向に引っ張り上げると…
図のように、身体が起き、頭の位置をはじめとして身体の各部位が最適の位置になります。
こうなれば、あごも首も喉もストレスフリーな状態になります。
あごについては…「結果として軽くあごを引いた状態になる」のです。
あごを引いた姿勢というのは良い姿勢になった「結果」であって、「手段」や「目的」では無いのです!


で、このような状態から、
・軽く顎を引く…喉仏が低い位置で固定され、声楽家のような深く力強い声になる
・軽く顔を上げる…ロック歌手のような、明るく開放的でややハスキーな声になる
という感じで、声をコントロールすることができます。
(あくまで「軽く」だからね!)
だからまあ、声楽なりボイトレなりの「基本的な声の使い方」を教える上で「あごを引いて!」というのは間違いでは無いのですが。


…どっちにせよ、大事なのは、首が前に出ずに真っ直ぐになって、その上に頭がのっていること。
この状態にさえなっていれば、姿勢のせいで変な声になったり喉を痛めてしまったりはしないでしょう。



○腰や背中も「真上から引っ張られるイメージ」で!


発声時の姿勢について、「頭の位置」以外で注意しなきゃならないのは「腰や背中が反ってしまっていないか」というポイントです。

「背筋を伸ばして!」
「胸を張らなきゃ!」
…という意識が強すぎると、左図のように「反り返ってしまう」危険性があります。
こうなってしまうと、結局あごや喉に力が入ってしまいます。
さらに、腹式呼吸をしても脇腹や背中がふくらまなくなって呼吸も浅くなってしまいますし、腰が固まってしまって声の自由度も減るし、最悪「腰痛」に繋がります。


これもやはり、右図のように「上から引っ張られているイメージ」で姿勢を整えてやるといいでしょう。
胸も張るし、背中や腰も自然に伸ばす。
…そのためには、身体を「真上」に伸ばしてやる必要がありますね。



○「真上から引っ張られる姿勢」の実現のために


この方法で良い姿勢をつくるためには…「イメージするだけ」でもかなり違いますし、実際に髪の毛をつまんで引っ張り上げてみてもいいです(笑)。


過去記事だと、こんな方法もあり。
姿勢を良くする簡単エクササイズ2つ - 烏は歌う


また、この「真上に引っ張られている」感じをしっかり「維持」するためには…
・必要最低限の背筋力
・肩甲骨付近の筋肉の柔軟性と強さ
・「眉を上げる筋肉」や「頭皮の下の筋肉」や「口角引き上げ筋」などの表情筋のはたらき
・足腰、特に「おしり」と「丹田」の支え
などが必要です。


姿勢の維持に背筋力が必要なのは言うまでもないと思いますが、その他にも色々と必要です。
肩甲骨まわりの柔らかさがないと、肩がどうしても在るべき位置に定まらなくて、ナチュラルな姿勢がとれません。
表情筋の筋肉をしっかり使うことは発声の基本ですし、「上へ上へ」という意識を保つサポートとなります。
足腰の支えがない状態で「上へ上へ」という意識を持ってしまうと身体がふらついてしまうので、お尻に力を入れて支えてやる必要があります。
最後のポイントはとても大事なんだけどなかなか触れられなかったので、下に関連エントリを紹介しておきます。


広瀬香美流「お尻の穴歌唱法」 - 烏は歌う