発声時の息のコントロールをするために、地味に大切なポイント。

さて、前回の記事では、姿勢について書いたわけですが…。
この「発声に適した姿勢」が、不意に崩れてしまいやすい瞬間というものがあります。
それは…。



○呼吸の度に姿勢を崩してしまわないように気をつける


呼吸によって空気が出入りすると、身体の各所の体積・容積、形や角度が変わってしまいますが、それによって姿勢が崩れてしまいやすいので要注意です。


呼吸をすることによって、身体の状態が変わってしまうことは当然です。
空気が出たり入ったりすれば、当然それに伴って身体の形も変わります。
しかし、それによって姿勢が崩れてしまっては、良い発声ができません。
なので、力を入れないほうがいい場所からは力を抜き、力を入れたほうがいい場所にはしっかり力を入れ、呼吸に伴う身体の状態の変化を上手く受け流して、「姿勢」というか「身体の軸」や「発声に適した身体のバランス」を守ってやる必要があります。


具体例としては、
・息を吐くにつれて胸が下がり、しぼみ、いつの間にか猫背に!
・息を大きく吸おうとし過ぎて、腰が反り返ってしまう!
…など。
非常にありがちな失敗です。
こうなってしまうと、良い姿勢で声を出せるのは最初だけで、後はどんどん「喉に負担のかかる声」や「身体を使えず、喉だけで出す声」などになってしまいます。


前者のように「胸がしぼむ」と、ブレスも共鳴も声帯の鳴りも弱くなり、さらに視線が落ちて精神的にもテンションが落ち、声が「小さく、頼りない、弱々しい…」という印象になってしまいがちです。
後者のように「腰が反り返ってしまう」と、深い呼吸が妨げられ、胸や喉が固まり、浅い呼吸で喉を力ませて発声する「不快な攻撃的がなり声」になりがち。



○こうなってたら要注意


実際に、話し始め・歌い始めと終わりの姿勢の差を見比べてみて、「違い」が生じていないか、「悪い姿勢」になっていないか、ときどき確かめてみましょう。


また、
「話や歌の終盤や長いフレーズの最後の方が、急に小さく弱々しい声になったり、喉に引っかかったような力んだ声になる。」
という症状が出ていたら、「発声・呼吸による姿勢の悪化」を疑ってみるといいです。



○対処法


解決法としては、まず「発声時に余計な部分を力ませないこと」
これは発声の全てにおいて基本となりますが。


また、「途中途中で区切りごとに姿勢を正したり力を抜いたりする」というのも効果あり。
なかなか「姿勢を崩さない」というのは習得するのが難しいです。
なので、ときどきこまめに姿勢を直してやったり力を抜いてやるのが重要ですね。
こういう意識をもって継続的に練習していくと、どんどん「姿勢を維持できる時間」が伸びていきます。


「胸がしぼむ」については、声を伸ばすほど、言葉を続けるほど、息をたっぷり使うほど、声を大きく出すほど、むしろ胸が膨らんでいくイメージをもつといいです。
…イメージだけで説明するのはあまり好きではないのですが、
「マヨネーズや山葵の入ったチューブ」
を想像してください。
あれって、「たくさんを勢いよく出す」ときや「残りを搾り出す」ときは、チューブの真ん中あたりは凹むけど、口のあたりは圧力がかかってむしろ張って膨らみますよね?
あんな感じを想像しつつ、
「圧力がかかってパンパンに膨らむ口付近」→胸
「凹んで中身を搾り出される真ん中部分」→腹
「圧力が逃げないように、きっちり折り返される底部分」→お尻
というイメージを身体に当てはめて発声しましょう。


「腰が反り返ってしまう」については、
・お腹の力で息を吐き、お腹の力を抜くと「自然と」空気が入ってくる
(息を吸うときに「吸おうとする力」は要らない、ただ力を抜けばいい)
・お腹の「前面」だけでなく、「脇腹」や「背中」も膨らむような息の吸い方をする
(地面に水平な方向に360°身体が広がるように)
…という、ブレスの基本を徹底してもらえば改善できると思います。
・関連エントリ
腹から声を出す! - 烏は歌う