音痴はボイトレでなおりますか?



音痴ではない 音程を調節するための筋肉に気が付いていないだけ 筋肉を開発する簡単なボイストレーニング:永井千佳の音楽ブログ:ITmedia オルタナティブ・ブログ
という記事がだいぶ前に話題になりました。
これに関係する記事を書こう書こうと思ってたんだけど、いまいちまとまらずこんな時期に…。


発声の問題?音感の問題?


私も過去にこういう記事がホッテントリ入りしたのですが…
声帯のストレッチ…音程を微調整する筋肉を目覚めさせる方法 - 烏は歌う


こういう「ボイトレで音痴を治そう!」という感じの記事を書くと、
「すごいな!やってみよう!」
という嬉しい反応と同時に、
「いくら発声を鍛えても、音感がアレだったら意味ないんじゃないのー…」
という意見をだいたい必ずいただくんですよね。


いつもそういうご意見をいただくと、「そりゃそうですよねー(^_^;)」という反応をしつつ、「そうじゃねえんだよ!わかってねえな!ヽ( `皿´ )ノ」と内心思うのですが(笑)、なんでそう思っているかというと…というお話を今日は。


まず発声練習をやってみるべき理由


1.「声の出し方はだれでも知ってて、音感は普通の人には無い」…というふうに思われがちですが、これは誤解です。むしろ逆です。


現状、この国で学校〜色々な学習機会において、まともなボイストレーニングや歌唱指導に出会えることはなかなか稀と言ってしまっていいんじゃないかと思います。
まあ、他に大事なことを教えなきゃならないから、仕方ないんだけどね!
幼児〜小学校低学年でよく見られる「とにかく元気に!」と声を無理に張り上げさせるだけの指導とか悪影響しかないですからねー…中学校くらいにもなるとまともに歌う人なんて数少なく「先生、男子が歌いません!」状態になったり(笑)…。
そんなこんなで、「良い声の出し方・歌の歌い方」を忘れてしまった人、開花していない人が非常に多いのです。


逆に、音感に関しては…これだけ音楽にあふれたこの国で生活をしているので、音痴と言われない程度に歌うのに必要な、最低限の音感は持っている人がほとんどです。
「音感」と聞くと、絶対音感持ってなきゃダメ?みたいに身構えられがちですが、全くそんな必要は無くて、曲を何度も聞いたらそれなりになんとなくメロディーラインを覚えられる程度の音感があれば、少なくとも「音痴」と呼ばれるような歌にはならないはずです。


まあ、だいたいの人は「短調だとなんか寂しい響き!長調はなんか明るい響き!」「曲の最中で転調したら、あれっ?」「不協和音が鳴ったら、気持ち悪っ!」…などと聞き分ける程度の音感は持っているわけです。
あとは、「耳馴染みのある童謡をだれかが歌っているのを聞いてて、どっかで一音外したら気づく」程度の音感くらいは。
そのくらいの音感があれば、「音痴」と呼ばれるほどにはならないはずなんですが、実際にはそんなありえない外し方をしてしまう…ということは、音感じゃなく発声、音程をコントロールする筋肉をまともに使えてないってことですね。


もちろん、「(ある程度以上のレベルで)合唱をしたい!」とか「バンドで即興で合わせたい!」とかになってくると音感を鍛えていく必要がありますが、まあそのレベルで音楽したい人は、言われんでも音感トレーニングするでしょう(笑)。
とりあえず素人レベルでは、「発声力」が「音感」に追いついていない人が非常に多いので、ボイストレーニングが非常に効果的です。



2.「まずは正しい音をしっかりおぼえることが大事で、それに合わせて声を出せるようにボイトレもしていけばいい」というふうに思われがちですが、これも逆です。


「出したい音が思った通りに出せる状態・声のコントロールをある程度自由にできる状態」を上で紹介したようなボイトレで作ってからでないと、正しい音を出すことができないからです。
ある歌を歌えるようになる、というときには「声を出してちょっとずつ調整しながら、歌うときの正しい音の高さを身体におぼえさせていく」のが普通ですし、「頭の中でイメージされた音が正しいかどうかは、声に出してみてはじめてわかる」わけです。
「出したい音が思った通りに出せる状態・声のコントロールをある程度自由にできる状態」になってないと、いつまで経っても正しい音を出すことができないので、正しい音をおぼえること・正しいかどうか確認することもできないわけですね。


歌の練習では、録音したらちょっと音程がずれてるー!とか、指導者に「それちょっと上!ちょっと下!」と言われたりとか、微妙に音が外れ続けてしまう場合がありますが、声帯の音程をコントロールする筋肉が目覚めていない状態では「音程をちょっと上げ下げする」ことがそもそもできないので、直しようがないんです。
で、上で紹介したようなトレーニングをすると「音程を無段階に上げ下げ調整できる」ようになるので、ようやくスタートラインに立てるわけです。
そして、「音程を無段階に上げ下げ調整できる」わけですから、じっくり音を聞きながら音を上げ下げして合わせていけば、いつか必ず「正しい音」がでるはず…と。
一度「正しい音」が出せれば、その感覚を再現することは、ちょっと難しいけれど繰り返せば決して無理じゃないレベルの話です。


もちろん、「音痴と呼ばれない程度」を超えて「常に正しい音が続けられる」とか「まわりの音を一切聞かないでも正しい音が出せるべき」とかいうレベルを目指す人なら、言われんでも以下略。


あとがき


自分の経験としては…
楽経験があまりないのに何故か合唱をはじめて、非常に困ったのが、
「その音、ちょっと低い!」
と言われ続けたことです。
合唱経験者ならほとんどの人が経験あると思いますが(笑)。


このときの私は、「音程を調節する筋肉」の存在なんてものは当然知らず、上げてるつもりなんだけど指揮者に「まだ低い!ってか、上がってない!」と怒られたり。


そんな中で、この「グリッサンド」トレーニングに出会い、「常に微妙に外れている」状態から、「たまにピッタリ正しい音がでることもある」レベルまで、わずかな、しかし劇的な進歩を果たしました(笑)。


そんな理由もあって、非常におすすめできるトレーニングです。


音が外れるのは「発声」のせいか「音感」のせいか…というのはよく紛糾する話題で、だいたい「発声」に一家言ある人は発声のせいにしたがるし「音感」に一家言ある人は音感のせいにしたがるし、それによって集団内での政治力を巡って争いが起こることも…(笑)。
まあ、上2つのような理由があるので、絶対に発声をおろそかにしてはならない!…と、発声側の人間は思っています、と言っておきましょう。