あなたにとってのクリアボイスを見つけよう

「クリアボイス 出し方」とかで検索してくる人が多いようなのですが、なんだか「クリアボイスになりたい!」という想いでこのブログに辿り着く人が結構いるみたいなんですよね。
で、今回はその「クリアボイスなるもの」について少々書いていこうかな、と。


クリアボイスってなによ


とりあえず「クリアボイス」の定義をググってみたが…よくわかんねえ。
まあ、普通は「俺が(抽象的な意味で)クリアだと思うから、この声はクリアボイス!」って感じだよね。
声の表現・ボイトレ用語には「色々な意味を含みすぎてて実態の無い言葉」があるんですが、「クリアボイス」もその一種かと…。
「おばけ単語」とか「ジャーゴン」とか、そういう類のフレーズなので、「クリアボイス」という言葉に惑わされちゃだめです。



よく、「ハスキーボイス」の対義語として使われていることもあるけど、それもちょっと違うと思います。
例えば声優さんだと、坂本真綾さんとか能登麻美子さんとか小清水亜美さんとか、「ハスキー」ってほどじゃないけどかなり「エアリー」な発声をしてますよね。
でも、世間ではみんな「クリアボイス」「澄んだ声」というイメージを持たれているんじゃないかと思います。
あんまり「エアリーな発声」をしない声優さんだと…釘宮理恵さんとか?
このあたりの人もクリアボイスと言えばクリアボイスだし、「これこそクリアボイスだ!」と言う人もいるだろうし、「これはクリアボイスじゃない」と言う人もいるだろうし。
(声優さん、あんまり詳しくないので頭に浮かぶのはペルソナ関係ばっかり…)


声帯と声質の関係について、

声帯の間の距離が狭いほど(閉じようとする力が強いほど)エッジーで鋭く厚い音になり、声帯の間の距離が広いほど(閉じようとする力が弱いほど)エアリー・ハスキーで丸く柔らかい音になります。

…という関係がありますが、いわゆる「クリアボイス」ってのは
・ハスキーになりすぎてもだめ
・エッジーになりすぎてもだめ
・聞いていて、出していて気持の良いバランスこそが「クリアボイス」
ということなのかな、と。


はい、大事なことなのでもう一度言いますが、
・聞いていて、出していて気持の良いバランスこそが「クリアボイス」
です。


あなたにとっての最良のバランスを探そう


で、重要なのは、「最適なバランスは、人によって違う」ということです。
人によって、「クリアボイス」の在り方は違うんじゃないかな、と思います。


ハスキーさを治した方が「クリアボイス」に近づく人もいるだろうし、ハスキーさをむしろ温存して個性として生かした方が良い場合もあります。
同様に、エッジーさを和らげた方が「クリアボイス」に近づく人もいるだろうし、エッジーさをむしろ温存して個性として生かした方が良い場合もあります。
と言うのも、ハスキーさにしろエッジーさにしろ、ノイズを消そう消そうと不自然な発声をしてしまえば、それは「不自然な発声」になってしまい、「クリアボイス」から遠ざかってしまうと私は考えるからです。
声帯のタイプや状態、経験やそれによる変質によって、声の在り方は大きく違ってきます。
なので、エッジの立った明るくハッキリしたクリアボイスが向いているのか、エアリーで透明感のある澄んだ声が向いているのか、そのど真ん中の無難でクリアな声が向いているのか…というのは、個人差によって全く違って、無限のバリエーションがあるわけです。


「クリアボイス」についての先入観にとらわれず、自分の個性を活かしながら、色々な声を試してみて「自分にあった」「楽に出せる」「きれいに響く」…そんな声のバランスを探して行きましょう。


ノイズの少ない声が理想ではあるけれど


ノイズの少ない声ってのはやっぱり一つの理想であって、「クリアボイスになりたい!」という人のけっこうな割合が、本当のところはクリアボイスになりたいのではなく「自分の声のノイズ・嫌な部分を無くしたい…」という想いなんじゃないかな、と。


でも、「ノイズ」もある程度なら「個性」のうちの一つなんですよね。


上手いことノイズを「声の特長」に変換している人の声ってとても印象深くて素敵です。
また、ノイズをあまり気にせず他の長所を存分に伸ばして、ノイズをいいスパイス程度の分量にしてしまうのもいい方法ですね。


逆に、ノイズを無くそう無くそう…ということばかり考えると、発声のバランスを崩してしまったり、抑制した発声になってしまったり、後ろ向きなメンタル状態になってしまって、そうなるとなんというか「鮮度」の低い声になってしまって、面白みも魅力も無い声になってしまいがちです。


いつも読んでるボイストレーナーさんの記事から引用すると…
9 もしもあなたが指揮者なら(承前) - ヴォイストレーナー チャトラ猫の原稿倉庫 - Yahoo!ブログ

合唱はブロック塀ではありません。生け垣です。同じ風土で育ったように見えて、一本一本の木は日当たりも違えば成長曲線も違います。骨格・肉付き・遺伝・生活習慣等々すべて異なった生き物なのです。だからこの問題の私の結論は「鮮度を上げれば音色は自然にそろいます!」なのです。極論すれば、音程のぶら下がりもリズムの曖昧さも、全部鮮度の問題です。


小学校で使い始める12色の水彩絵の具。なつかしいですねぇ。プロの絵描きは赤だけでいったい何種類持っているのかしら? 子供達はそれぞれがミドリだったりキイロだったりアカだったりします。アオちゃんがムラサキ君に「いいなぁそれ…」とあこがれることは自然です。ヒトはしばしば自分に無いものを欲しがるからです。でも…


「なんとか音色をそろえたい」とよばれた合唱団で私がすることは、まず一人一人の色を際立たせることなのです。真水に真水を混ぜたって「解け合う」とは申しません。ちがうもの、異なった色、それが融け合って一幅の絵画がうまれます。唯一の共通点は鮮度です。


合唱に限らず、声の「素材」と「鮮度」を大事にすること。
それが、「あなたにとってのクリアボイス」を実現するためにもっとも必要なことだと思います。


関係あるんだか無いんだか動画




好きな、個性的な声の、個性を前面に押し出す歌い方の、歌い手を一人。