声の「表現力」のひとつ、「声のバリエーション」を簡単に増やす講座。

今回は、前回に引き続き、「表現力」について。
具体的な声質の要素を2つ選んで、2×2の表を作ってみよう!
という発声、というよりはいかに声を「演出」するかについての講座を。


2×2=4通りの声で歌い分け・語り分け


ここはどういう風に声をだそうかな…と原稿やら楽譜やらを見ながら考えるときに、「ここは明るく!ここは暗く!」…とかの2分法だとどうしても歌い分けが難しくなってしまいますし、かと言ってあんまり多くの要素を思いつくままに絡めていくと収集がつかなくなります。
前回も書いた通り、あんまりイメージだけふくらませても具体的にどうするかにつながってこないこともありますし、無数にある声のパラメータを片っ端からごちゃごちゃいじっても何にもならないこともありますし。
なので、2×2=4通りの声で歌い分け・語り分ける…くらいから始めるのがいいのかなあ、と思います。


4パターンの声、というと少なく感じますが、意外と4パターンあれば何とかなってしまうことが多いんですよねー。
例えば、「息を多く混ぜるか混ぜないか」「音量を大きく出すか小さく出すか」という要素を選んで、2×2のマトリックスを作ってみます。


この場合…
例えば普通のJ-POPなら「Aメロは息をあまり混ぜない&小さめの『普通の声』で歌って、Bメロは息をたっぷり混ぜて&小さめの『思わせぶりな声』で歌おう。そして、サビは基本的に息をあまり混ぜない&大きめの『力強い声』で歌って、ところどころピンポイントで息をたっぷり混ぜて&大きな『切ない叫びのような声』を入れよう!で、あとの細部は雰囲気というか流れで。」とか、そんな感じの組み立てをすると、割と簡単に実行できる割に、すごく歌い分けができているように聞こえます。
…というかこれ、私がカラオケやる時の定番なんですけど(笑)。
まあ、曲によって各パターンの役割や順番は変えますので、あしからず。


例えばスピーチなら、「あいさつ部分や気持ちについて話す部分は息をたっぷり混ぜて&小さめの『ソフトな声』で、数値や要確認事項などのキッチリ間違えずに伝えないといけないことは息をあまり混ぜない&小さめの『マジメな声』で、決意表明や戦意高揚部分は息をあまり混ぜない&大きめの『力強い声』で語りかけ、強く感情に訴えたいときは息をたっぷり混ぜて&大きな『感極まって溢れ出す声』で!」というふうに組み立てるとかね。
これもあくまで一例なので、使える場合と使えない場合があるので注意。


…意外と4パターンあればなんとかなるでしょ?
この方法は、割と簡単にできて、やるとやらないとでは大きな違いが出て、なかなかおすすめです。


おまけ


上の図に出した「音量」「息の混ぜ具合」という以外の要素には…
例えば、「明るい/暗い」「かたい発音/やわらかい発音」「溶けこませる声/浮き上がる声」という感じで「音色をどうするか」とか、
「なめらかに(レガートで)/一音一音はっきりと(マルカートで)」「大きく間をとって溜めて出す/あっさりと矢継ぎ早に出す」という感じで「言葉やリズムをどう立てるか」とか、
「遠くに語りかけるように/自分に言い聞かせるように」といった「声をどこに・だれに飛ばすのか」とか、
「音程が高め/低め」「リズムがハシリ気味/モタリ気味」といった「音楽的、旋律的にどうすんのか」とか
前回の要領だと「無表情で/表情豊かに」とか「前のめりに/後ろ体重で」とか「手の力を抜いて/拳を握りしめて」とか…
まあ本当に色々とあると思いますので、「その時と場合応じて最大限の効果を発揮できる組み合わせ」「自分にとってぴったりな組み合わせ」を探してみるのもいいでしょう。


さらに慣れてきたら、片方の要素を「大・中・小」の3つに分けて3×2=6パターンのマトリックスにしてみたり、もう一つ要素を掛けて2×2×2=8通りを書き出してみたり。


おまけ2


音楽や語り口について考えるとき、音が大きくなったり、高くなったりしたとき、それが何故そうなったのかを考えることがとても大事です。
ただなんとなく…ってことはほぼ無くて、「何か」が「高まってきた」から、音が大きくなったり、高くなったりするわけですね。
音が小さくなったり、低くなったりした場合も同じで、この場合は「表現したい何か」が「落ち着いたり、小さくなったり、深くにいった」場合に、その結果として音が小さくなったり、低くなったりするわけですね。


だからそんなときに、ただただ音量や音程を上げ下げするだけでなく、+αがあると、そこに感動が生まれたりするわけです。
そんな+αを考える上でも、この2×2マトリックスはなかなかに有効ではないかと思います。