発声のせいで微妙に音痴になってしまう理由を3つ挙げる。

前書き


俺のはてなブックマークの「あとで書く」タグが火を噴くぜ!
…ってことで、今日も前回同様に永井千佳氏の記事を紹介というか整理する、私用メモみたいなもんです。


さて、「正しい音で歌えるかどうか」「音痴かそうじゃないか」って、「音感」の問題で、「ボイトレしてもどうにもならないんじゃ?」ということをよく言われるんですね。
「音感」さえあれば正しい音で歌えて、音感が悪ければ何やっても無駄、みたいな。
それも一面では正しい部分もある。


でも実際は、たとえ「絶対音感」を持っている人であろうが、発声に問題があれば、歌ってみると意外に「音痴」になってしまうことは多々あります。
それに、ある程度ボイトレをすれば「自分の音感に応じたレベルの音程感覚で歌うことはできる」ようになるので、一般的な音感を持っている人なら、他の一般的な音感の人に「音痴」とは言われない程度には歌えるはずなんですよ。


というわけで、発声の仕方によって音痴になってしまう状態の代表例を、最近テーマにしている「呼吸・声帯・共鳴」の3通りから紹介したいと思います。


ちなみに


ちなみに、「ボイトレで音痴は治るの?」というストレートな質問に直球で答えると、
・素人レベルで「音痴」と言われない程度には、かなり高い確立で治るよ!
・ただし、脳の問題で音の高さを正しく把握できない、という音痴な人は、ボイトレじゃ無理だね!
(一種の学習障害みたいなものなので、一桁前半%の割合でそういう人も存在するそう)
・音楽やってて優れた音感を持っている人に認められるくらいに「正しく」歌うには、やっぱり音感「も」鍛える必要があるね!
(ただ、プロを目指すにしてもいわゆる「絶対音感」は要らないというのがジャンルにもよるけど普通だし、広い意味での「音感」は別に特別な資質がなくても鍛えられます。)
…という感じ。


呼吸


まずは呼吸。
普通にロングトーンをしているだけでは同じ音を出しているつもりでも音がだんだん下がってしまう:永井千佳の音楽ブログ:ITmedia オルタナティブ・ブログ

力量のない人がロングトーンをすると、自分では同じ音を出しているつもりでも、なぜかだんだん音が下がって変化してしまいます。
これが不思議と「上がって」しまう人はほとんどいません。合唱の場合は他の音につられて上がってしまうということはあるのかもしれませんが、シンプルにロングトーンを行っている場合においては大抵は下がります。
 
それはなぜでしょうか。
 
それは、のばしているうちに横隔膜でのささえがなくなり息が足りなくなるからです。
レーニングをしている人であれば、支えがしっかりとして、息も長いため、音程を保ちやすいのです。
 
息が足りなくなれば、張っていた弦が緩むように、音が下がります。
弱音で音が高く長い音ほど下がりやすく難しいというわけです。


ロングトーンに限らず、ボイトレ不足の人が歌っていると、いわゆる「息の支え」が無くなって、音程がどんどん落ちてくるのはよくあることですね。
これは、どんなに「音感」があっても、なってしまうときはなってしまうものです。
そして、「声を出すほどに下がって、気づかずにそれを基準に次のフレーズを歌いだしてダダ下がり」「下がって、それに気づいて上がって、また息が足りなくなって下がって…の繰り返しで気持ち悪い不安定さ」になってしまう、と。
また、長く出してて息が足りなくなってくる…ってだけじゃなく、「出し始め」だけデカイとか、「息の立ち上がり」が遅くて意図しない「しゃくり」とか「ずり上げ・ずり下げ」が入ってしまって音痴に聞こえてしまうとかさ。


「息の支え」…って何なのかというと、なかなか抽象的な言葉なので説明しにくいのですが、端的に言えば「発声にとって最適な、多すぎず少なすぎずの息を吐いたり吸ったりし続けること」ですね。
発声の「支え」ってなんなんだ - 烏は歌う
こう言ってしまうと簡単そうですが、ボイトレが足りないと「息の量」って全然安定しないし、それを維持するなんてもっと難しいんですよね。
で、息が乱れれば当然音程も乱れて、たとえどんなに音感が良くったって「音痴」になってしまいます。


声帯


タイトルそのまんまですが。
音痴ではない 音程を調節するための筋肉に気が付いていないだけ 筋肉を開発する簡単なボイストレーニング:永井千佳の音楽ブログ:ITmedia オルタナティブ・ブログ

音程をとろうと思っても、どうしても微妙にはずしてしまうということがあります。
それは「音痴」だからではなく、筋肉が上手くストレッチできていないことに原因があります。
「自分は音痴だ」と諦めていたり、「音程がとれなくていつも不満を抱えながら歌っている」人が多いと思いますが、原因のほとんどは筋肉にあることに気が付いていないのです。
 
音を出す声帯も筋肉の一つです。
耳で音をキャッチし、その音にあわせて筋肉をストレッチしながら音程を調整しているのですね。
耳では正しくキャッチできていても、声帯の筋肉が上手くストレッチできなければ、音程は不安定になります。
それは一見「音痴」に聴こえますが、そうではない場合が多いのです。


だから、「耳」もとても大事だし、「声を出しながら声帯の微調整をできる技術」もとても大切。
声帯をコントロールして音程を上げ下げする筋肉が目覚めていない状態で歌おうとすると、当然、音程を思い通りに出すことはできません。
どんなに音感が良くても、整備されてない楽器では正しい音が出せないのが当たり前です。


そして、「出しながら微調整する」必要があるから、まず楽器(声帯)の方を整備しないと、いつまで経っても「正しい音」に合わせることができないわけですね。
どんなに耳が良くて音感があっても、「正しい音」に辿りつけないので。
逆に、「音を問題なく滑らかに上げ下げできる」ように声帯を整備できていれば、音をしっかり聞きながら合わせようとしていけばほとんどの人はいつか必ず「正しい高さの音」が出せるわけです。
で、そういう練習をしていけば、微調整もあまり要らなくなってきますし、耳や音感もどんどん鍛えられて徐々に「正しい音程」が身についていくわけです。
…というか、そういうやり方をしないと、「歌における音感」「自分の声に対する音感」ってのは身につかないというか。
「音感を鍛えてから、声を出そう」ではダメで、「声を出さないと、音感は(歌の場合)鍛えられない」という意識が必要かと思います。


「ボイトレで音痴は治るの?」っていう質問の答えを、この観点から答えると、
「つべこべ言わずに練習しやがれ!!」
という身も蓋もない結論になります(笑)。
いやさー、こういう記事を書くと結構な確率で「ボイトレしたって音感が無ければダメだ、ボイトレなんかより音感の方が大事だ」みたいなコメントが書き込まれるんですよー。
そうじゃないんだよ!ボイトレやらないと「歌に必要な音感」は身につかないんだよ!と声を大にして言いたいのです。
「耳で正しく音の高さを聞き分けることができない人」ってのは、確かに一定数存在しますが、「ちなみに」で書いた通りその数は少数です。
(もちろん、音楽を長くやっている人とちょっとボイトレしただけの人では音感の「精度」が全然違うんだけど、そもそも「音痴」ってそういうレベルでのズレの話じゃあないでしょう。)
音程がグダグダな楽器でどれだけ練習したって、音感よくなるわけがないでしょう、という話なんです。


共鳴


これもタイトルのまんま。
音程は正しいのに「音が下がっている」「音が低い」と言われるのは声のポジションが落ちているから ポジションを上げるためにはどうすればいいの?:永井千佳の音楽ブログ:ITmedia オルタナティブ・ブログ

頑張ってキーボードで音を正しく合わせて練習していったのに、いつも「音が下がっている」と言われてしまう。
実際正しい音なのに、上手な人と一緒に歌うとピッチが低く聴こえる。
 
これは、声のポジションが落ちている場合がほとんどです。
 
歌は音が高くても低くても同じポジションで歌うのが大事なのです。
例えば、初心者の方の歌で、高音になったら「ア”〜ッ」と喉を締め上げてしまい、低音になったら「ウゥ〜」と苦しそうにおしつけたような声で歌っているのをよく見かけます。
また、母音の「アイウエオ」で、それぞれ暗くなったり明るくなったり・・・・音色もバラバラになってしまうことも多いですね。そうすると音程も不安定に聴こえてしまいます。


例え正しい音程を出していたとしても、その声の「出し方」というか「響かせ方」が変わってしまうと、音が本来より高く聞こえたり低く聞こえたりしてしまったりして、「音痴」に聞こえてしまうことがあるんです。
基本、「明るい声」は実際の音より高めに聞こえますし、「暗い声」は低めに聞こえます。
また、「鼻に響かせたような声」は高めに聞こえますし、「胸や口の下の方に響かせたような声」は低めに聞こえます。
他にも「口を横長に開いたiとeの音」はかん高く聞こえますし、「口角の下がったuとoの音」はこもって低く聞こえます。
とか、その他色々な要素があるんですが、とにかく、その声の「出し方」というか「響かせ方」が変わってしまうと、音が本来より高く聞こえたり低く聞こえたりするのです。
また、上記の通り「耳」で自分の声を聞きながら微調整というかフィードバックがかかりますので、聞こえ方が違ってくると、出してる人の音程も狂ってきます。


なので、ボイトレで、ある程度「声の出し方・響かせ方」を安定させた状態で歌えるようにならないと、声も音程も相乗効果でぶれまくって音痴になってしまいます。
基本的には、舌や顎や喉に「どんなときも」変な力が入らなければ「自然で最小の幅の、滑らかな声質や響きの変化」で歌えるはずなんですが、それができたら苦労はしないですわ、ということですのでボイトレしましょう。


「響き」ってのはなかなか魔性の言葉で、範囲が広すぎて何が何だかわからなくなりがちなのですが、とりあえず今回紹介したボイトレのように
「どの高さの音で、どの母音を出すときも、常にハミングをしているときの声の出し方で」
ってのがまあ一番手っ取り早いかな、と思います(もちろん、表現の幅をつけるために敢えて崩すのもありですが、基本はこれってことで)。


あとがき


よく、歌における音感の話について、私は「車の運転」に喩えるんですよね。


まず、バックで駐車とか、大半の人は最初は「こんなの無理だよー絶対にできるわけないよー」と思いますよね。
歌でも、はじめは「ちょっと高いとか低いとか、わかんねーよ!」って、そりゃなるさ。
この段階で、どんなに「感覚」を鍛えようとしたって、無理です。
実際に運転しながら、慣れていくしかないし、車から下りて白線をじっと見たって意味があまり無い。
実際に発声しながら、慣れていくしかないし、声を出さずにただ音の高さを把握しようと思ったってあまり意味が無い。


そんな中でも、手順を確認しながら根気強くやれば、何度もやり直しが入ったりもするけどなんとか白線内に車を収めることができるようになるんですよね。
歌でも、しっかり集中して根気強く声を出していると、大半の人は許容範囲内に音を収めることができるんです、何度もやると。
そのときに、ハンドルやペダル(に相当する息や声帯)の使い方を知らなければ、「許容範囲内」に入れるのは非常に困難なので、しっかりトレーニングする必要がありますね。
また、ハンドルやペダル(に相当する息や声帯)がガタガタだと、「許容範囲内」に入れるのが非常に困難になるので、しっかり「整備」してやらなきゃならないのです、車(歌の場合、自分自身)を。


そして、それで免許を貰って一年も運転すれば、腕の差はあれどだいたい問題なく一発で白線内に収められるようになるわけです。
歌でも、練習すれば練習しただけ、正確に確実に正しい音が問題なく一発で出せるようになります。
そして、そのくらいになってくると、ものの見え方やその精度が、最初の頃とは全然変わってきますよね。


たまに才能ある人や、子供のころから特別な訓練を積んだ人は「絶対車幅感覚を持ってて、ガイドの白線とかが無くても数ミリ・数°単位で調整可能」とかそういう人もいますが、まあそんなの相当特別な環境で無い限りは必要ないですよね。
また、「それができないからお前は運転下手!」とは言われない。
歌でも、それと同様に、「絶対音感」があれば便利なんだろうなーと思うことは非常によくありますが、プロでも絶対音感の無い人は多いですし(擬似絶対音感とでも言うべき人は非常に多いけど)。
大概、ガイドの何かはあるのが普通だし、無ければいくらだって用意できるのが世の中ですから。