便乗企画、その2。

ボイトレ関連のホッテントリに便乗しよう企画。 - 烏は歌う
…前回に引き続き。


過去にホッテントリになってたものについて


歌が普通以下の奴、これ読めば速攻で上手くなるぜいぇい? BIPブログ


内容も「?」もの、かつ口調もなんかあれなので、ブログの方のコメント欄では燃え上がってるが、はてブ的には特に何もなく平穏にホッテントリになってた記事。
かつて

予想通りコメ欄が「ぜんぜん違うだろ」で埋まっているぞ、と。実際色々おかしいんだけど。でもはてブコメは現状割と好意的な不思議。あとでブログに書こうと思ったが気が変わってやめた。

と私もブクマしてたんですが、再度気が変わったので、ぼちぼち書いてみます。


大雑把に解説する


私の感想:とりあえず、理論は根本的に間違っとるが、やってることはところどころあってる。(だから余計めんどくさいんだけどさ。)


1.

歌が上手い=声量が多い=肺活量が多い

「肺活量が大事!」と自信満々に書いとるが、大切なのは、「肺活量」じゃなく、前の記事でもちらっとで書いた「息の支え」(腹筋を使って、一定の量の息を安定して吐くこと)ってやつなのよ。
「肺活量」ってのは単に使える空気の容量の話であって、それの使い方を覚えないと発声には効果ないからね。
だから、単に有酸素運動しても意味ない(ってほどじゃないが、効果は薄いかも)。安定して強く長い息を吐く練習が何より大事である。
声を大きくするために知っておきたいこと…その1、「息」と「声帯」について - 烏は歌う


あと、腹筋についても、一般に言うところの腹筋とはちょっと使うところが違うので、単に「腹筋運動」では効果があまり無いかもしれない。
足上げ腹筋は(やり方によっては)そこそこ有効なんだけどね。()の中身が超重要なのでなんとも。
それと、「腹直筋」は固めちゃだめだよ。
歌いまくって腹が筋肉痛になったことは、まあ大学時代に一日中合唱の練習やったときには数回経験があるが、どっちかと言うと「腹筋」というよりは、インナーマッスル系のよくわからない腹?腰?的な部分がなる感じかな。
それと、腹筋が筋肉痛になるほど歌うというのは、オーバーワークな可能性があるので、「筋肉痛になるまで歌おう!」ってのは、ちょっと問題ありかも。
腹から声を出す! - 烏は歌う


2.

短期的な方法はただ一つ

ながーーーーーーく息を全部吐いて
一瞬で満タンまで吸う!
これを1分〜3分程度繰り返すだけ

理論は間違っとるが、このトレーニングは非常に正しい。


3.

2.「歌の抑揚を無視する」
3.「息をたくさん吸う事を意識する」
4.「腹筋以外はリラックス」

まあ、「歌の抑揚を無視する」ってのも、「息を安定して一定量吐き続けられないレベル」の初心者には効果的っちゃ効果的。
と、言うのも、「音量を出して歌う」のの難しさもあるけど、それ以上に「音量を抑えて歌う」のってものすごく難しいですし。
変に抑揚つけてところどころ破綻するよりは、音量は抑揚つけずに、感情とか表情だけ動かして歌うほうがいいかもしれんレベルの人はいる。
ただまあ、そこまでするくらいなら、小さな音量でも大きな音量でも安定して歌えるように練習しようよ、とも思う。
「ピアノ」を制するものは… - 烏は歌う


息を大きく吸うか吸わないか、ってのは、ボイトレ界隈でも賛否両論なもので、少々難しい。
最近のボイトレの常識では、「あんまり意識して息吸わないほうがいい」というのがやや多数派かな、って気がする。
ただ、本当に初心者レベルで、そもそも「大きな声を出すこと自体になれていない」ような人を想定すれば、「大きく息を吸ってー」という指導もしないことはない。
けれど、「2」のブレストレーニングをしたなら、自然と深く息ができる状態になってるはずなので、大きく息を吸う必要ないよな…という疑問が。
発声の前に、息はしっかり吸うべき? - 烏は歌う


「腹筋以外はリラックス」ってのもまあ間違っちゃいないんだけど。
上で書いた通り、「発声で使う腹筋」は、一般に「腹筋」と言って意識されがちな「腹直筋」ではなく、斜腹筋とかインナーマッスル系とかなので、「腹筋に力を入れろ!」ってのは少々誤解を招きやすいと思う。
腹直筋は固めちゃだめよ(本日二回目)。


4.
コメ欄。

「歌が上手い=声量が多い=肺活量が多い」のところでもう見る気うせそうになったわ

まあ、ほぼ同意。単純化するにしても雑すぎるかな。
よく読んでみるとわりといいこと書いてあるんだけどね。

肺活量ってw
うまいやつは大きな声出すときも小さな声出すときも常に吐く量は一定だよ。
でかい声出す時いっぱい息はいたり、小さな声出す時息を抑えようとするからしんどいんだ。
これみたやつは勘違いしない方がいいぞ、半分あってるけど半分間違ってる知識ばっか

贔屓目でスレ主の意図を読めば、「ブレストレーニング」+「下手に抑揚をつけない(常にある程度の息の量を保つ)」というのを実践すれば、この「うまいやつは大きな声出すときも小さな声出すときも常に吐く量は一定だよ。」ということになるんじゃないかと思うのだが。
まあ、これに限らず、スレ主が思いつきで書いてんのかなんなのか、ある程度ボイトレやってる人から見たら全体的に「矛盾」に見える部分が多すぎて、「半分あってるけど半分間違ってる」ように見える感じですわな。
根気よくスレ主の真意を考えていけば、わりといいこと書いてあるんだけどね。
ただし、そういう文章力・構成力で「初心者」に伝わる内容が書けるかというと…。


あと、

肺活量はあった方が良いかも知れんが、声は出せても音程が狂ってたら話にならんじゃないか・・・。リズム感も必要だし。

こんなことよりも音程の方が遥かに大切。
ドの音を聞いてドの音を出す。
インプットとアウトプットを合わせること。
これが基礎中の基礎。
ここをすっ飛ばした先に得られるものなどない。
回り道するだけだ。

という感じのコメントが多々見られるところだけど、この問題に関してはこのブログでも何度も考えてきた問題。
音痴はボイトレでなおりますか? - 烏は歌う
ブレスがしっかり安定してなかったら、音程もリズムも安定するわけがないので、「まず発声がしっかりしてないと、音感なんていくらあっても無駄」という順番の方が多いんじゃねー?と思うことも多々ある。
本文中でスレ主は、

正直、音感オンチに関しては俺の出る幕はないんだが歌が下手な奴の9割は「肺活量が少ない」か「声の出し方が下手」だ

と書いてるけど、これには実は私もかなり同意してるんですよね。
ただし、「自分の声を聞き取る能力」が無いと、フィードバックが得られなくて大変な目にあいがちなので、それくらいはちょっと意識して練習してみた方がいいかもしれない。
耳を鍛える方法と、音程がわからなくなってしまったときのリカバリー法。 - 烏は歌う
…ただ、なんでこういう「自分の声を聞き取る練習」のやり方や重要性がそんなに語られていないかと言うと、「ちょっとやってりゃ、だいたい身につく」ものだからであって、特別「耳を鍛えるぞ!」ってのは、相当「厳密な音楽」でもやらない限りはあんまり必要なのかもしれない、とも思う。