「鼻声」って言葉はあんまり使わないほうがいい。


最近なんだかやたらと「鼻声」の過去記事が参照されているようなので。
まず、「鼻声」っていう言葉が、曖昧過ぎて、真剣にボイストレーニングを考える上ではあまり使えない言葉であることに注意。


タイトルのこころですが、あんまりに色々な症状が「鼻声」という言葉でくくられてしまっているので、「鼻声」の治し方を聞かれても応えようがないんですね。
「鼻声」と言われても本当に症状は人それぞれですし、だから治し方もばらばらなんです。
「鼻声」というところで思考停止してしまっては何にも解決しないですし、だから「鼻声」って言葉はあんまり使いたくないんですよ、本当は。
もう一歩掘ったところで考えたい。


「鼻声」とは、その1


過去記事でも書いたのですが、
「鼻腔共鳴が全然足りなくて、鼻が詰まったような声になってしまう」
「鼻腔共鳴以外の共鳴が足りなさすぎて、鼻にかかった嫌味な声になってしまう」
…という、原因も結果も対処方法も真逆なものが、同じ「鼻声」という名前で呼ばれているのです。
だから、ただ「私、鼻声なんです!」「君、鼻声だからなんとかして!」と言われても、正直どうしようもありません。
だって、どう対処するかは人それぞれ、症状次第なんで。
「鼻声だったら、こうすれば必ず良くなる!」って方法はなかなか提示しにくい。


こういう場合は、自分の症状に合わせて、共鳴のバランスを整えるトレーニングをしていく必要がありますね。
鼻腔の共鳴が弱い場合は、こんなトレーニングとか。
伝わる声はよく響く 共鳴を得るための簡単な方法 「ngトレーニング」:永井千佳の音楽ブログ:ITmedia オルタナティブ・ブログ
鼻腔以外の共鳴が弱い場合は、こんなトレーニングとか。
胸一杯に声を響かせて、「魅力的な深い声」を目指そう! - 烏は歌う
こういったトレーニングを行いながら、声の「バランス」をとっていくことが大切。


「鼻声」とは、その2


また、
「声を出すときに、鼻から過剰な息が抜けてしまう」
ことによって、声質が軽くなりすぎてしまったり、滑舌が悪くなってしまう状態も、やっぱり「鼻声」と言われていますので、めんどくさい。


鼻から過剰な息が抜けてしまう場合、軟口蓋(口の奥の、鼻と喉の分かれるところ)の筋肉が緩みきっているのが原因の場合が多いですね。
他にも、口が必要最低限の大きささえ開いていないとか、唇が全く動いていないとか、そういうとき。
なので、改善するには、その辺の筋肉を動かすトレーニングが効果的ですね。
軟口蓋を動かすとなると、いわゆる、「喉を開く」トレーニングになります。
久々に合唱やるので、初心に帰って、喉を開いてみる - 烏は歌う


それと、「鼻から息漏れしちゃだめ」という指導と、「鼻にしっかり共鳴させないといけない」という指導って、矛盾してませんか!?とよく聞かれますが、矛盾してません。
息の流れと、音波は、全く別物です。
また、鼻腔共鳴と言っても、共鳴させる場所は鼻の穴近辺ではなく、もっと奥の方です。
なので、鼻から「息」を漏らさずに、「音」だけを共鳴させることは可能です。


「鼻声」とは、その3


あとは、
「単純に滑舌が悪い」
場合も、「鼻声」と判定されてしまうことが多いですね。


滑舌が悪く、例えば「n→舌を口蓋にべったりつけて、音を鼻に抜くことで出す子音」を完全に出せず、「r」や「d」になってしまう症状。
逆に、「r」や「d」が「n」になってしまう症状。
どっちにせよ、そういった状態で、子音が不明瞭になってしまう状態。
こういった滑舌の悪さも、「鼻声」と言われてしまいがちですね。


あとは、やっぱり舌の動きが悪く、舌が常に「口蓋(上顎)」の近くにあって、声が常に鼻に抜け、口に響かない状態も「鼻声」と言われがち。
とりあえず、
「ちゃんと口が開いているか」
「母音を発声するとき、舌が上がっていないか(舌の先端が舌の前歯についているとよい)」
あたりをチェックしてみましょう。


こういう時は、鼻云々はあまり関係なく、「舌」をしっかり使うトレーニングが必要となりますね。
舌を鍛えるトレーニング。 - 烏は歌う
滑舌を鍛えるための、ちょっとしたトレーニング - 烏は歌う
エリック兄さんのボイストレーニング。 - 烏は歌う