お前らみんな、もっとIPAを勉強するべきです。(副題:発音関係のホッテントリに便乗しよう。)


はてブホッテントリ経由でこんな記事をみました。


無駄な知識などない:日本人は3種類の「ん」を発音してるらしい


ボイトレとか歌とか、たぶん芝居とかアナウンスやっていると、「常識的な話」だと思ってしまうところなんですが、ブックマークの反応見る限り、そうでもないみたいなんですね。


なので、今日は発音に関する基本的な話をしてみましょうか。
ちょうど私も勉強しなおしているところなんで。


そもそも、私達が「ことばを発音(調音)」する仕組み


声は、みなさんご存知の通り、喉の中にある声帯という器官を肺からの気流によって振動させることによって生まれます。
しかしこれだけでは、「声」や「言葉」というよりは、単なる「音」に過ぎません。
声帯で生まれた音を、ちょうどよく共鳴させたり、声帯以外の部分で生まれるノイズとミックスしてやることで、はじめて「声」で「言葉」を表現できるのです。


声帯で音が生まれ、共鳴によって大きくなった音を、「言葉」にする工程を専門用語では「調音」と言います。
舌や唇などの「調音器官」によって共鳴の様子を変えたり、気流を阻害したりすることで、「母音」や「子音」が生まれます。


普段喋るときに、いちいち「前舌で硬口蓋を弾いたあと、顎を軽く閉じつつ、前舌で軽く声道を狭めて…」みたいに意識はしてないけど、注意深く観察してみるとすごく複雑な作業が行われていて、人体ってすごい!と思える。


「正しい調音の仕方」を知るメリット


さて、その「調音」ですが、普段意識していないだけあって、「我流」「てきとう」に行なってしまいがちです。
そもそも、日本で暮らしていると、「正しい調音の仕方」を習うことってそもそもほとんどないのかもしれない。
まあ、知らなくてもおおむね不自由なく生きていけるからこうなっているとも言えますが。
しかし、習慣で「誤った調音方法(舌の動きとか、唇の動きとか…)」をしてしまえば、他人とはちょっと違う、伝わりにくい発音になってしまいがちです。
そしてそもそも、「どうやったら正しいのか」を知らない限り、自分の何がどう間違っているのかには気づけませんよね。
だから、「正しい調音の仕方」について勉強してみるのも、役に立つ経験ではないかと思います。


特に、「正しく適切な発音」「より伝わりやすい発音」というものが求められる「声を使った趣味や仕事(歌、芝居、アナウンス、電話…)」をしている人にとっては、「正しい調音の仕方」というのは是非とも知っておくべきことですね。
特に、合唱とかクラシック系声楽やってる人はよく「深い母音」を出しなさいと言われるけど、何がどう深いのか説明してくれる先生って少ないでしょ?これも結局、舌とかの使い方なんだけどね。


さらに、外国語の発音を勉強するときには、是非とも「正しい調音の仕方」を知っておくべきです。
「耳で学ぶ」とか、「日本語の○と△の中間的な感じで出す」とか、そういう勉強の仕方だとどうしても限界があるので、
「正しい舌の動き」
「正しい口の動き」
「正しい唇の動き」

などを理論的、視覚的に知っておいてから勉強した方がずっと効率が良いと思うのですよね。


IPA国際音声記号 (International Phonetic Alphabet)


そこで、「正しい調音方法」というものを考える上で、非常に有効なのが、IPAを学ぶこと。


国際音声記号 - Wikipedia

国際音声記号(こくさいおんせいきごう、IPA: International Phonetic Alphabet)は、あらゆる言語の音声を文字で表記すべく、国際音声学会が定めた音声記号である。国際音声字母(こくさいおんせいじぼ)、万国音標文字(ばんこくおんぴょうもじ)とも言う。


非常にシステマチックに「発音」と「調音器官(舌、唇、あご…)」との関係が示されています。
Wikipedia眺めるだけで結構勉強になりますね…。


自分にとって「発音しにくい音」「どうやって発音したらいいかわからない音」や、他人から「発音が違う言われる音」「聞き取りにくいと言われる音」については、なぜそうなってしまうかと言うと、正しい調音器官の動かし方ができていないからということになります。
そういった発音の「正しい出し方」について学ぶのに、非常に具体的かつ詳細に「発音」を分類したIPAは非常に役立ちます。


とは言え、そんなに大それたものでもなく、英語の辞書や教科書にのってる、[ ]書きの発音記号なんですけどねえ…。
あれをしっかり教えてくれる先生が少ない(個人的な体感なので保証は無い)のは、けっこう大きな損失な気も。
あと、この理論を知らずに発音についてボイトレ受けちゃうと、特に母音については酷い目に遭いかねない気がするので、もっと普及して欲しい。


関連エントリ


・似たような内容の過去記事
「明瞭な発音」を手に入れるためのボイストレーニング - 烏は歌う


・歌の発声にIPAを生かす方法、「深い発声」に悩んでいる人はぜひ読んでみて
「深い発声」ってなんなんだろう…母音と舌の形 - 烏は歌う