いま購入するかどうか迷っているボイトレ本。

更新感覚が開き過ぎないように、メモ程度の記事。
身内でのボイトレ勉強会も終わったので、更新頻度もそろそろ戻ってくる…はず。


ボイトレ本って、なかなかお高いものも多いですし、何冊も買っていると内容が被って被って「これ買った意味あったのかなあ…」となってしまいがちなのですが。
しかしながら、やっぱり買って1冊通してじっくり読み込んでみないと、筆者の意図がわからなかったりして、新しい「観点」が身につかないので、ある程度は買わないといけないものでもあって。
非常に難しいところなんですが、今のところ私の脳内購入リストの上位の2冊をメモしておきます。


だいぶんマニア向けな内容なので、あんまり「発声の勉強をはじめたばっかりです!」みたいな人には向かない、とは思う。


ボーカリストのためのフースラーメソード 驚異の声域拡大をもたらすアンザッツとは?


立ち読みしてて衝撃を受けた、なんというか「怪書」(良い意味で)。


過去にこのブログでも、
声を○○に響かせるとか、当てるとか。 - 烏は歌う
という記事で、
・「声を○○に当てる」という指導法がなんとなく曖昧なまま蔓延しているよ!
・実際に声が頭だとか胸だとかに特別に声が当たったり、特別に共鳴したりするわけじゃないよ!
・声帯を取り巻く筋肉のバランスが変わることで、声が特定の場所に「当たる感じ」がするんだよ!
・それを解明したのは、「フースラー」って人だよ!
…という記事を書きましたが、その「フースラー」のメソードについての本です。


前半は、そのフースラーのメソードである「アンザッツ理論」について。
いわゆる、「七つの声」(フースラーは、声帯まわりの筋肉の使い方によって声を七つに分類した)で、具体的にどのような筋肉が使われるのか、どのような筋肉が鍛えられるのかが書かれています。
筋肉モデル図などは、そこそこ詳細ながらも見やすくて、なかなか素敵。
声を出すための器官について、解剖学・生理学的に知りたい人にとっては、よい入門書になるのではないだろうか。


後半は、怒涛のトレーニングなわけですが、「民謡」とか、ほぼ奇声に近い感じの「原始的な声」が主体で、なかなかカルトというか電波な感じが漂っていて素敵です。
というか、電波な感じの文体や図は全体を通じてところどころに見られて、なかなかスリリングな1冊なわけですが。
その独特の雰囲気と、科学的なメソードの融合感がまた素敵。
…「YUBAメソッド」とか、あんまりボイトレ慣れしてない人にやらすと、「あ↓ーーーwwwほ↑ーーーwwwなにこれwww」みたいなリアクションがでてきたりするんですが、YUBAメソッドの本の数倍は「ゆんゆん」してるぞ。
高度に発達したボイトレは、奇行と区別がつかないのである。
だから、合わない人にはとことん合わないだろうけど、読んでみる価値はあるのではないだろうか。


上手に歌うためのQ&A -歌い手と教師のための手引書-

上手に歌うためのQ&A -歌い手と教師のための手引書- (単行本)

上手に歌うためのQ&A -歌い手と教師のための手引書- (単行本)


いわゆる「ベルカント唱法」と、現代的な発声知識の融合。


Q&A形式で、「声楽的に歌う上で大切なこと」が網羅されています。
そして、回答の元になる「発声についての考え方」が、かなり現代的なのもポイント。
伝統的な発声法・指導法だと、どうしても「感覚的で曖昧な指導」になってしまったり、「科学に基づかない・事実に反する指導」になってしまったりしがちなのですが、この本ではそんなことはなく、最近の発声科学に基づいた具体的な指導が多いですね。
むしろ、伝統的なメソッドにつきものの「感覚的で曖昧な指導」が、それって具体的にどういうことなのか、現代的な発声科学ではどういう位置づけになるのか、という解説が非常にわかりやすくて便利。
ボイトレやってて、「感覚的で曖昧な指導」に出遭って混乱してしまったとき、この本があると助かるなあ…と思います。
あとは、ボイトレ指導してるとき、「感覚的で曖昧な指導」でしか説明できねえ!けど、それじゃいまいち伝わらねえ!ってときとか。


伝統的な声楽メソッドと、現代的な発声科学の「橋渡し」に成り得る本なので、うちの合唱団に1冊置いておきたいなあーと思っているのですが、4,000円もするのでポケットマネーではちょっと気軽に買えず…。
予算が下りるか交渉してみようか。


そんな感じの本なので、「伝統的なベルカント唱法を伝統的に学びたい!」って人には、あんまり向かないとも言えますね。
まあ、「ベルカント」って言葉自体がそもそも曖昧だって話も云々(→Wikipedia「ベルカント」)。
特に日本では、言葉だけが先行しちゃって激しくバズワード化しちゃってる気がするなあ。