音量は(そんなに)いらない。

又聞きの又聞きをブログに書くのはそんなによろしくないのですが。


◆コブクロと桑田さんの言葉だと、ガゼン説得力が(笑)|★上手く歌うより、旨く歌おう!「歌の魔法」ブログ

先日、レッスンで生徒さんが、


「先生!この前、Mステで
 コブクロの小渕さんが言ってました!」



Mステで、コブクロとサザンがゲストトークしていたそうですが、
そこでコブクロの小渕さんが・・・


桑田さんの歌い方は、本当に小さく歌っていて、
あんなに小さく歌っているからこそ、
力強いパワフルな声を出せるし、
声帯に負担をかけずにずっと長い間
歌っていけるんですよね。


自分もついつい声の負担をかけて
スランプに陥っちゃったときは、
桑田さんの、あの <いかに小さく声を使うか>
って事を見習っている



・・・というようなことをお話しされていたそうです。


桑田佳祐と言えば、それこそ「力強い声の歌手」の代表例として出てくるような人物。


でも、実際にはそんなに「大きな声」というものでは歌っていないそうなんです。
むしろ、「小さく」「本当に小さく歌っている」とのこと。


私達はなんとなく「声量があるとすごいんだ!」「プロの歌手ならものすごい大きな声で歌っているはずだ!」みたいに思いがちですが、実はそうでもないことも多いんですね。


そもそも声量とは


声量ってのは、「声の大きさ」のことである、ってのが第一義。
「声の物理的な大きさ」は物理的に言えば音波の振幅の大きさで、デシベルという単位で示されます。
※やや大雑把な説明。


しかし、人間には「物理的な音の大きさ」と「耳や脳で感じる音の大きさ」が必ずしも一致しない、という性質があります。
例えば、音の高さ(周波数)によっても、音の聞こえ方が違います。
この周波数と音圧(音の大きさ)の兼ね合いで、実際に人間が感じる「音の大きさ」に近い指標になるのが「ホン」という単位。
※やや大雑把な説明。
他にも、「声質」だとか、「声の安定感」などによっても、全然「どのくらいの声量かという『印象』」は変わってきますし、声量のあるなしってのは実は非常に判断しにくい。


さらに、オンマイクの歌なんかだと、「マイクの使い方の上手さ」や「PAの音量調節の上手さ」なんかが、歌い手の声量よりずっとずっと大事だったりすることもありますし。


あとこれ完全に余談ですが、例えば「テレビの某カラオケ番組」とか、「声量がすごい!」とか「圧倒的な声量が!」とか言ってることが多いですが、なんでそういう言葉を多用しているかというと、
「声量という概念って実は非常にあやふやで、具体的かつ正確な判断がしにくい」
からなんですねー。
中身の無い言葉なんで、とりあえず言っておけばそれっぽくなるというか。
実際に「何デシベル」の声量が出てるかなんてマイク通してしまえばわからないし、そもそもそんなこと調べたところでなんの意味もないというか。
でもまあ、「声量がすごい!」と言っておけばなんとなくすごいんだろうなーという雰囲気を醸し出せて便利、みたいな、ね。


あと、こういうことを書くと、
「歌における『声量』とは、単なる音量の大小ではない!」
的な批判をたいてい必ず受けるのですが、じゃあなんなのでしょうか、という話になるわけで。
「単なる音量だけじゃなく、声質とか声の安定感とかPAの工夫とか会場の使い方とか色々な要素が組み合わさって『声量』というものになるんだよー」という話なら、全くそうだと思う、というか「そういうもの」だと私も書いているわけですが。
「○○だったら声量があると言える」「○○だったら声量がないと言える」みたいな判断基準が実は全く一定じゃなく、いくらでも主観や後出しじゃんけんで語れるから、「声量」って「単純に言ってしまう」のは、あんまり歌を「評価」「批評」するには向いてないですよーという話なんですがね。


「声量」が足りないと思ったら


などなどとグダグダ書いてきましたが、「声量」って実はそんなに具体的・絶対的なものではないので、
「声量が足りない気がする」→「もっと声を大きくしなきゃ!」
みたいな感じでトレーニングに向かうと、失敗することが多い。


特に、闇雲に「喉に力を入れたり」「吐く息の量を増やす」のは基本的にやらないほうがいい確率がものすごく高いので注意してください。


その上で、じゃあどうすればいいのか。
上に紹介したブログでは、例えばこんな解決法が示されています。

Q:「いつも声が聞こえないと言われる私は
 どうしたらいいですか?」



A:おそらく、声が小さくて聴こえにくい原因は、
声帯がちゃんと張っていないため、息がたくさん漏れてしまう
事が考えられます。


なので、声帯のフォームをもっと小さくして、
ちゃんと圧力がかかるようにすればいいワケです。


まずは、声帯のフォームを小さく出来なければ
いくら頑張って声を出してもムダになってしまいます。


ですから、息が漏れないように声を使っていく事ですね。


要するに、「息漏れのしない声なら、たとえ小さい声でもしっかり聞こえるし、大きな音量を出すことにもつながる」ということですね。
で、そのためには、むしろ「小さく、小さく…」という気持ちの持ち方でトレーニングした方がいい場合が多いんです。
小さく、「効率の良い」声を出す練習をすることが、「声量」を上げるにはとても大切。


マイク無しの環境を想定するにしても、有りの環境を想定するにしても、声帯が息漏れなしで上手く振動する状態を作ってやらないと、音量は上がりません。
また、息漏れの多い状態で気合で声を張り上げたり、スピーカーの音量を上げたとしても、聞きやすい声にはならず結局「どれほど音量が大きくても、声量が無いと思われてしまう状態」になってしまいがちです。
そして、その状態で「腹から声を出す」だの「喉をひらく」だの、抽象的なイメージにもとづいて身体に変な力を入れちゃうと、最悪。


なので、まずは「小さくても息漏れのない、効率の良い声を作っていくこと」が大切かと思います。
そうすれば、「小さく出しているはずなのに、普段より声量が出てる!?」「小さく出しているはずなのに、いつもより全然伝わってる!?」みたいなことが起きるかも。


その他


あとは、オンマイクなら「ちゃんと口とマイクを近づける」とか、大切。
たまに聞くのが、「マイクと口の距離が5mm離れるごとに音量が半分になる」という言い方ですね。
どのくらい正確な話なのかは知らないけれど、だいたいそんな意識でいるといいと思います。


オフマイクなら、ちゃんと「よく響く場所、位置」で歌えてるか、とか、「よく響く方向、角度」を向いて歌えてるか、とかを気にする必要がありますね。


あとは、歌とかの悩みではなく日常生活で「声が小さい」という悩みを持っている場合、
・声量が足りないのではなく「早口」
・声量が足りないのではなく「相手が聞く準備ができてないのに話し始める」
・声量が足りないのではなく「相手を見て話せていない」
・声量が足りないのではなく「最初から最後までしっかり言葉にできていない」
(おはようございます→…ぅあようござっ…)
…みたいな感じがほとんどですので、そういうところを改善して「相手を見て、しっかり最初から最後までゆっくり丁寧に声を出す」というところから始めたほうが良い場合が多いですね。