母音についての大雑把なまとめ。

母音ってそもそもどのように作られるのか


声の元になる音は声帯で生まれるが、声帯で生まれた音自体には、子音も母音もついていない。
声帯原音を口や喉で共鳴させて、その共鳴をコントロールすることによって、声帯で鳴っている「単なる音」が「母音」となって言葉になる。
子音は、「息の流れ」か「音の流れ」を止めたり遮ったり邪魔したりすることによって鳴る。


母音の違いについて


共鳴のさせ方を変えることによって、音に含まれる倍音構成を変え、母音の違いを生み出すことができる。


原理的には、
「あ」→倍音を特別いじらず、自然に鳴らした音
「え、い」→高い倍音を多め、低い倍音を少なめにした音
「お、う」→低い倍音を多め、高い倍音を少なめにした音
という感じ。
(厳密にはもっと複雑。)


具体的には、
「口の開き具合を変える」
…狭い母音は高い倍音が鳴りやすく、広い母音は低い倍音が鳴りやすい。
「舌の前後位置を変える」
…前舌母音(舌の前が上がる母音)は、高い倍音が鳴りやすい。後舌母音(舌の後ろの方が上がる母音)は、低い倍音が鳴りやすい。
「唇をすぼめる(前に突き出す)具合を変える」
…非円唇母音(唇をすぼめない母音)は、高い倍音が鳴りやすい。円唇母音(唇をすぼめて前に突き出した母音)は、低い倍音が鳴りやすい。
という感じで、母音の変更を行う。
(これもやや大雑把な説明。「高い・低い倍音が鳴りやすい」というよりは「低い・高い倍音を吸収する」という場合も多いけど、結果的にはそんなに変わらないかな。)


さらに具体的に理解するには、IPAって概念を使うとよい。

画像はWikipediaより切り貼り。


実際に聞いてみたい人はこんなサイトも。
母音 - IPA 国際音声字母


さらに日本人向けに私がペイントで描くとこうなる。

うーん、雑。
日本語には(絶対ではないが)「前舌の円唇母音」と「後舌の非円唇母音」は無いのでこういう感じに省略したけど、一応意識はする必要がある。
前の方、上の方で鳴らすと「い」母音になり、そこからやや口を開いていくと「え」母音。
(唇をすぼめつつ)口内の後ろの方かつ上の方で鳴らすと「う」母音になり、そこからやや口を開いていくと「お」母音。


図表の見方


縦軸→口の開き、舌と硬口蓋(上顎)の距離
口を開けば開くほど(下顎を下げれば下げるほど)図表では下に描かれている母音(広い母音)になり、口を閉じるほど図表の上側に描かれている母音(狭い母音)になっていく。
また、口が大きく開いていても、舌の位置が高いと母音は「狭い母音(上の母音)」寄りの響きになる。


横軸→舌の形、母音のできる前後位置
図の前舌、後舌というのがどういう状態かというと…
前舌とは、「舌を前に出した状態」「舌を前に出していなくても、舌の前部がやや高くなっている状態」「舌の前側に力が入った状態(力が入るとだいたいそこが盛り上がるので)」というような状態のこと。
後舌とは、「舌を後ろに引っ込めた状態」「舌の後部が高くなり、舌の前部が低くなっている状態」「舌の後ろ側に力が入っている状態」のことです。


エクササイズ1


・上の図を意識しながら
・口をだらしなく開き
・あえいえあ、あおうおあ、いえあおう、うおあえい…などと発音してみて
・口の開き具合、舌の動き、唇の動きと、母音や声の響きの変化を観察してみる


余談1


実際の日本語話者の発音だと、「う」の扱いが、私の単純図とはちょっと違う。
日本語の口語の「う」の位置は実際はここ。

例えば、「おはよう」と言ってみると、「う」は「よ(お)」よりも響く位置(母音のできる位置)が「前」に来ると思われます。


けど、この「う」を歌とかで使おうとすると、どうしても変な力が入りがちになってしまったり、滑らかな母音変化の妨げになったり、浅くて美しくないとされる響きになりがちなので、ボイトレでは「う」母音をやや深めに作ることが多いかもしれません。
特にクラシック系では確実に後ろの(日本語では使わない)「う」を使うことが多くなるでしょう。


もちろんこの「う」が絶対ダメというわけではなく、ナチュラルな日本語とかにこだわりたいときは後舌ではなく中舌の「う」を使うべきだと思います。


次回に続く


以降、
・母音のコントロールについて
・母音と喉まわりの筋肉の関係
あたりについて書いていく予定。