酒を飲みつつ考えてた、「官能表現」のこと(ただし後半はほぼビールの話)。


残念ながら、エロい話は一切でてこない。


「辛口」日本酒の話。


たまに日本酒を飲むと、この記事を思い出す。


辛い日本酒は無い!日本酒はみんな甘いんだ! 〜日本酒講座開催の記録〜 - デイリーポータルZ:@nifty

日本酒では「日本酒度」と言われる数値があります。
ラベルのどこかに書かれています。書いてない事も多い。
ラベルのどこかに書かれています。書いてない事も多い。


この数値がプラスに行くほど日本酒業界としては辛口。マイナスに行くほど甘口とされています。算出方法は日本酒度計とよばれる比重計を使って日本酒の中に残る糖分を測っています。
3種を飲み比べて自分が一番辛口の日本酒だという物を挙げてもらいます。
3種を飲み比べて自分が一番辛口の日本酒だという物を挙げてもらいます。
試飲では日本酒度±0、+4、+12の3種をラベルが隠された状態で飲み比べてもらい、自分が一番辛口だと思うものを挙げてもらいます。


結果は3つそれぞれに票が集まりバラける。辛口のとらえ方は人それぞれなのです。
結果としては+12の物を選んだ人が7、+4が5、±0が4人。日本酒度の高い物に票が多く集まりましたが割とバラけました。

米から作られる日本酒は全部甘いのです。
日本酒は米のデンプンを糖に変えて、糖をアルコールにして作られます。つまり、味覚としてはかならず甘味が感じられる事になるのです。人間の舌には辛さを感じる部分がありません。味覚で言う所の辛いという感覚は、カプサイシンなどの辛味成分が舌の粘膜を刺激することによって起こります。

アルコールや含まれる酸の刺激で日本酒でも辛味を感じる可能性はありますが、基本的に日本酒は全部甘いのです。

日本酒業界でいう所の日本酒度が高く糖分の少ないスッキリとした辛口の日本酒がうまい酒ともてはやされたのは、流通の関係だとか、CMの関係だとか諸説あります。

しかし、それがいつの日か「うまい酒=辛口の酒」となり、日本酒度でいう所の辛口とは異なる、米の旨味や甘味の多いしっかりとした味わいの酒をうまい酒と思う人はそのような酒を「辛口の酒」と思う。吟醸酒の様に果物や花のような香りの高い酒をうまいと思う人は、そういう感じの酒を「辛口の酒」と思う。

本来の味を表す意味を離れ「自分のうまいと思う酒=辛口の酒」というような現象が出てきたのです。人の味の感じ方は違うのに言葉は一緒。実にややこしい。


私のまわりだと、「甘口」「辛口」に関する評価軸に関して、
「単純な糖分の多さ(多いほど甘口)」と「アルコールなどの刺激の強さ(多いほど辛口)」
で語ることが多いかなー、と思っている。
なので、
「糖分控えめで刺激が強い→辛口」
「糖分多めで刺激が控えめ→甘口」
ってのには迷いがないんだけど、
「糖分も強いが刺激も強い超濃厚系→???」
「糖分は控えめだし刺激も控えめな水のようなやつ→???」
って感じで、「甘口か辛口か」で言われると迷うよなー…ってことがよくあります。


ここでもう一つ軸を加えて、「淡麗⇔濃厚」みたいな表現が入ってくると、
「糖分も強いが刺激も強い超濃厚系→濃厚辛口?」
「糖分は控えめだし刺激も控えめな水のようなやつ→淡麗甘口?」
みたいに、少し味が想像しやすくなるかも。
(ただしこれは「糖分の濃い薄い」を「濃厚⇔淡麗」と置いた場合なので、もちろん別の概念を当てればまた評価は変わってくる。)


しかし、酒の味は糖分とアルコール分だけで決まるわけではないので、大雑把な傾向はわかっても、やはり当たり外れは色々なベクトルである。


声に関する表現の話


このブログでも何度も話しているんだけれど、「声質に関する表現」について言葉にする際も、「一つの軸では判断できない」ことが本当に多い。


あなたにとってのクリアボイスを見つけよう - 烏は歌う


「丸い響き」とか「柔らかい響き」とか。 - 烏は歌う


一つの軸で、本当は一緒にできない要素を図ろうとしてないか、とか、たまに考える必要がある。


よくアマチュア声楽界隈で言われている、良いとされている「深い声」ってやつも、
「深さを感じさせる成分の多寡×浅さを感じさせる成分の寡多」
で話さないと意味がないだろうし、それぞれの成分について定義・検証することが大事だなーって思っている。


他にも、歌の評価をするときに素人はついつい「声量が〜」みたいに言っちゃいがちだけど、じゃあ音量計を口元に持って行ってデシベル出てれば声量があると言える!出て無ければ声量がないと言える!みたいな評価基準を持っている人間が果たして存在するか、と。
そうでないなら、「声量」ってやつはたぶん単純な話ではなく、色々な要素の絡み合ったものであって、それを解きほぐさないことには語れないよなあ、と思ったりする。


余談


軸が多ければじゃあわかりやすいのか?って話だけど、そういうものでもない。


CRAFT SELECT <クラフトセレクト> サントリー


この前これを店頭で見かけたわけですが、評価軸が
・旨味
・香り
・苦味
・ボディ
の4つでして、
「一番上のスコアは旨味ではなく『甘み』ではないか…?人間にとって一番基本的な味覚である甘味がないのはおかしくない…?」
「旨味と苦味が強ければ一般的に『ボディが強い』ということになるので、別口でボディ軸を入れる意味がわからんし、旨味も苦味も強いのにボディ弱めの表記されてるやつの味が想像つかない」
などなど見れば見るほど混乱した記憶がある。
あくまで、私の場合だけど。


適切な軸が何か、ってのも、ときどき考えないといけないなーと思ってる。


余談2


基本的にビールの味は、
・原料の穀物
・副原料の香料
・発酵の方法
で決まると思っている。



・原料の穀物


原料の穀物については、基本は大麦麦芽モルト)100%である。
大麦麦芽100%だと、「いかにもビール」という感じの素朴で深い味わいになる。
ドイツの「ビール純粋令(ビールは、麦芽・ホップ・水・酵母のみを原料とする)」なんかは、歴史ネタとしてビール飲みの間では有名な話。


そこに、別の穀物を混ぜるとちょっと変わった味わいになる。
例えば、日本の有名ビールなんかは原料表示見てもらえばわかりますが、麦芽の他にだいたい「米・コーン・スターチ」が入ってますね。
(決してそれは「悪いこと」ではないのですが。)
それらを加えることで、「日本の食卓との相性の良さ」や「日本人好みのキレとコク(この用語も若干意味不明)」を生み出しているわけです。
その辺の違いを感じたければ、例えばSAPPOROの「黒ラベル(米コーンスターチ入り)」と「ヱビス麦芽100%)」や「サッポロクラシック麦芽100%)」を飲み比べてみるといいんじゃないかと思います。


コーン入りと言えば、海外ビールだと「コロナ」が有名。
明らかにコーンの、焼きもろこしのような甘さと香ばしさが一口目から口の中に広がって、これはこれで美味い!という感じで好き。
暑い日にはやっぱりこれですよねー、焼きもろこしをなによりの楽しみにしていた夏休みを思い出して童心に帰るわ。
カットしたライムを瓶に突っ込んでラッパ飲みするのが流儀です。


あとは、大麦じゃなく小麦を多用したビールも、ベルギーやドイツでは定番。
白ビールヴァイツェンなどと呼ばれる。
基本的に上面発酵で作られるせいでもあるのだが、かなり苦味が少なく甘口で、バナナとかヨーグルトっぽい甘い香りがすることが多い。
苦い!甘くない!炭酸キツイ!…みたいなオッサン好みのビールが嫌いだった女子がクラフトビールに目覚めた!とかいう話を聞くと原因はだいたいこれ系なので、一度試して欲しいものです。
私的には白ビールだと、「エーデルワイス スノーフレッシュ」が最高に好き。
白ビールにありがちな「甘ったるくてくどい」感じがなく、白ビールらしさがしっかりありつつもゴクゴク飲める、まさに新雪のような爽やかさ!
夏も冬もこれが飲みたくなる日がしょっちゅうある。


あとは大麦麦芽メインのビールであっても、麦を「どのくらい焙煎するか」によっても、ビールの味は変わってきます。
焙煎するほど色は濃くなり、味も「甘みも」「苦味も」両方とも強くなります。
コーヒーとかチョコレートとか燻製とか、そういったものが好きな人は絶対に好きになるので試して見て欲しいのが、ブラウンビールや黒ビールです。
私的には、ドイツのドゥンケルやシュヴァルツより、イギリスのブラウンエールとかスタウトの方が、苦味がマイルドで好きだなあ。
素朴でどこか懐かしい、「焼きたての黒パンのような香り」が口に広がるビールが多くて、イギリスビールは素敵。
あの辺のビールだと、バスやギネスが有名だけど、あれはちょっと気取ってる感がある味なので、もっとマイナー銘柄取り扱う店増えてほしい。



・副原料の香料


基本的には、ビールには「ホップ」という薬草を入れて、香りと苦味をつけることになっている。
ホップは柑橘系っぽい香りと苦味がする。
「ビールは苦い」というのが一般的な感覚のようだが、麦の焙煎(焦げ)以外の要素で苦くなるのは、ほぼこの「ホップ」のせいである。
(あとは、炭酸とアルコールの刺激Wアタックを「辛い」ではなく「苦い」と誤認してしまう人も多くいる模様。)
ホップが強ければ強いほどオレンジの皮のように苦く、あんまり入れなければ「麦の味」しかしないので大麦とか入りのパンっぽい味になる。


「ビール飲んでも柑橘系の味なんてしないよ!」って思う人は、一度IPA(インディアン・ペールエール)っていう、ホップを通常の3倍くらい突っ込んだビールを飲んでみよう。
3倍ってのは適当に言った数字だけど、とにかく強烈にホップが香るこの手のビールを飲んでみると、色々とビールに関しての認識が変わるよ。
もうなんというか「ほんのりビールのかかったオレンジの皮を噛み締めながら吸ってる」くらいの味わいで、字面だけみると「なんの拷問だよ」という感じだけど、これが癖になる美味さでさあ。
苦さが一線通り越すと快感になるんだよねー…。

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あとは、ホップにも種類があって、「オレンジというよりグレープフルーツっぽい」やつとか、「レモンっぽいやつ」とか色々あるんだけど、日本の「富良野ホップ」は、「グレープフルーツ通り越して、もはや葡萄っぽささえある」と言われている。
ホップにも色々あるんだなーというのを味わいたければ、これもなかなかおすすめである。
はてなの商品紹介じゃ今ちょっと紹介できないけれど、サッポロクラシックは年に一回だけ「富良野ホップ」仕様を出すんだけど、これが非常に美味い。
今年も秋が楽しみである。


ホップ以外の香料だと、ベルギーの一部のビールで「コリアンダーオレンジピール」が使われているのも有名である。
最近は日本の「第三のビール」でもこういう副原料を使ってくるようになりましたねー。
ホップ単体よりも、複雑で柔らかで上品な香りと苦味がすると言われている。
やっぱり、苦い!甘くない!炭酸キツイ!…みたいなオッサン好みのビールが嫌いだった女子がクラフトビールに目覚めた!とかいう話を聞くと原因はだいたいこれ系なので、一度試して欲しいものです。



・発酵の方法


ビールの発酵方法については、
「下面発酵」「上面発酵」「自然発酵」
の三種類が、大雑把に分けるとある。


基本的に、日本で「ビール」と呼ばれているもののほとんどは「下面発酵」(の中のピルスナーという種類)である。
スーパードライ黒ラベル麒麟ビールもすべて下面発酵。
バドワイザーハイネケンレーベンブロイも下面発酵。


○○エールと呼ばれるものは、「上面発酵」であることが多い。
「自然発酵」は、ベルギーの「ランビック」くらいしか見たことない。


基本的に、「下面発酵」は「上面発酵」と比べて、
・味が淡白、淡麗で雑味が少ない
・炭酸やアルコールの刺激強め→辛口
などといった特徴がある。


逆に言ったら、「上面発酵」は
・複雑で雑味の多い発酵食品的な味が強い
・炭酸がそれほど強くなく濃厚甘口(ただしアルコール度数が強いものも多い)
って感じ。
「自然発酵」は「上面発酵」をさらに癖強くした感じかな。


「お酒は好きだけど、ビールって全然味がしない、ただ苦くてシュワシュワするだけ」
「ビールには喉越しの良さしかないし、一口目しか美味くない」
と思っている人は、やっぱりエールを飲んでみてほしいなーと思います。

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