ブレスについてのイントロダクション。

随分と間が空きましたが、最近なんでもスマホPS4とVitaで済ますようになっちゃって、なかなかPC開かなくなっちゃっててさー。
でもブログ書くにはやっぱりPCですな。


最近ネタに困っているので、前回の記事に引き続き、超基本的なところを復習してみる。


発声とブレス


声帯の二枚の「ひだ」の間を呼気が通り抜けると、空気の流れによって声帯が開閉し、空気の流れに疎密波が起こり、声の元になる音(声帯原音)が鳴る。
という仕組みになっています。


ここで注意しなきゃならないのが、声ってのは「声帯の開閉によって起こる空気の疎密波」だってことね。
声帯が閉じれば声帯直下の空気の圧力は一時的に高まり(密)、声帯が開くと声帯直下の空気の圧力は相対的に低くなる(疎)。
そうして、声帯の開閉に伴って、疎→密→疎→密→…という風に空気の流れに「ムラ」ができて、このムラ=波・振動が「音」なのです。
大きな声を出すには、声帯の開閉のスムーズさが必要だし、息の量それ自体よりも「疎」「密」時の「圧力の差」が重要なわけです。


なので「単純に、大量の息を声帯にぶつければ、大きな声が出る!」と思ってしまうのは大間違い。
大量過ぎる息を声帯の隙間に通してしまうと、声帯が耐えられずに開きっぱなしになってしまったり、逆に身体が「この量はヤバイ!」と思って声帯をガチガチに力ませて閉じっぱなしの状態にしてしまったりして、むしろ声が出にくくなったり声量が出せなくなってしまったりする。
こうなってしまうと、「疎」「密」時の圧力の差が作れなくなってるので、どんなに息を強く流し込んでも、余計に声は出なくなります。


もちろん息の量が少なすぎても良い音や大きな音は出せないので、常に「多すぎず、少なすぎない息の量」を追求していく必要があります。


ちょうどよい息の量について


では、その「多すぎず、少なすぎない息の量」ってのは、どうやって身につければいいのか。


前回の記事で書いたけど、「その時と場合による」ので一概には言えないけれど、とりあえず無難な目安としては「3オクターブ前後の声域を、できる限り滑らかに繋げて出せるようになること(ミックスボイスの実現)」ができていれば、とりあえず「多すぎず、少なすぎない」バランスは取れていると言えるかな、と。
ミックスできずにどっかで「息多すぎ」「息少なすぎ」の症状が出るようなら、そこで息を少なくしたり多くしたりすると良い。
その上で、「敢えてもっと息を多く/少なくした声にしたい!」と思うなら、そうすればよろしい。


とりあえず王道の練習法としては、
「とりあえず、色々な出し方で色々な音域の声を出してみる」
「それを先生に聞いてもらう」
「どこでどうなってるのか教えてもらう」
「修正する」
というステップを踏まないといけない。
先生がいなければ自分で判断するしかないけれど、自己診断というのは非常にとても大変スーパー難しいので、できる限り信頼できる人についてやったほうがいい。


また、いきなりミックスボイス出せと言われてもできる人とできない人がいる(できない人が大半)なので、準備運動的なトレーニングとしては
「リップロール(唇をプルプルさせながら声出すやつ)」
が一般的。
息が少なすぎても、多すぎても唇は安定しなくなるので、このトレーニングをすると「ほどよい量、ほどよい圧力の息を保ち続ける感じ」を習得しやすい。
ついでに口まわりの脱力の練習にもなるし、声帯の「準備運動」にもなる。


似たようなのでは「できる限り長くSH子音を出し続ける」とかあるけど、SHでやると上半身が力みやすくなってしまうので注意。
良くも悪くも「筋トレ」的な要素が強い。


筋力や肺活量は必要なのか


何度も書いてる通り、「呼吸の単純な強さ」にはあんまり意味がなく、「ほどよい息の量」が重要なので、筋力や肺活量は極論すればあんまり必要ない。
もちろん、あったらあったで何かと便利ではある。


「この歌手は常人の二倍の肺活量がある!」「二倍の腹筋がある!」みたいな場合でも、常人の二倍の量や強さのブレスで歌っているかと言えば、そうではないことが多い。
プロといえど、そんなことしたら喉が壊れちゃうので。
むしろプロの歌手って「息を声に変換し、その声を響かせて増幅する効率」がものすごいから、常人より少ない量の息で発声してることがほとんどじゃないかな。


なので常人を超えた肺活量や腹筋は「必須」ではないのだけれど、その辺は毎日歌ってればそれなりに成長していくものだし、歌の上手い人にはその練習の「結果」としてすごい肺活量や腹筋が備わっている人が多くはある。
また、常人の二倍の肺活量や腹筋があると、「(いろんな意味での)余裕」は常人の二倍以上あるとも言えるので、そういう意味では必要なこともあるかもね。
「余裕」って大事。


腹式呼吸と胸式呼吸について


腹式呼吸が大切」とはよく言われているけれど、なぜ大事かというと、腹式呼吸は「ゆっくりじっくり呼吸する」のに向いているから。
腹式呼吸なら強い息、たくさんの息が吐けるからだ!…というのは少々まちがい。
「息を吐く量をコントロールしやすい」ってのが特に大事で、「腹式呼吸なら多くも吐けるし、少なく細い息も吐ける」のが重要だし、呼吸のトレーニングをするならそうなるようにするべき。


「胸式呼吸」ってのは緊急時(運動時や酸欠時)にむりやり換気するための動きなので、「多すぎず、少なすぎない息の量」なんてやってられないから、あんまり発声には向かないとされている。
ただし、POPSでは表現上「敢えて」胸式呼吸で歌うことも多いよ。


あとは、腹式呼吸をさも特別な技能のように考えている人も多いかと思うけれど、そんなことはない。
声を出すことに「身構えて」しまうと、身体が「緊急モード」に入ってしまって胸式呼吸主体になってしまうだけであって、普通にしてれば腹式呼吸で声出してると思うんだよね。
まあその「普通に出す」ってのが一番難しいんだけど。


吸気について


吸気については、あんまり書かれることがないけれど、「息を吐いて、力を抜いたら反動で自然と入ってくる分だけ吸え」とか「意識するな」とか言われることが多い。


というのも、先ほどから書いているように「単純に大量の息を使えば良い声が出るわけではなく、むしろそんなに息の量は必要ない」ので、息を吸い過ぎることにメリットはあんまり無い。
しかし息を吸い過ぎることのデメリットは、「胸部や肩が力み、連動して喉にも変な力が入りやすい」など、重大なのがたくさんある。
なので、「意識して多く吸おうとしない」「脱力して入ってきた分だけでなんとかする」のが主流。