声帯に関するイントロダクション。

ちょうどよい、声帯の閉じ具合。


声帯は、前の記事で書いたように、「声帯には左右のひだがあって」、それが「開閉する」ことによって「空気の圧力の波」をつくることで音を鳴らします。
で、声帯の左右のひだをどの程度近づけるかによって、声というのは大きく変わってきます。


左右のひだが離れた状態だと、あまり「声帯を閉じようとする力(ベルヌーイ効果)」が生まれず、左右の声帯のひだが閉じている時間が短くなり、あまり「空気の圧力の波」が発生しません。
つまり、音量があまり出ませんし、息を声にする効率がすごく悪い状態であると言えます。
また、息漏れっぽいノイズも混ざりやすく、声質的にもあまり美しくないとされる。
また、高音を出すときに、声帯が完全に閉鎖しなくなってしまい、「ファルセット」と呼ばれる状態になりがち。


では、近づければ近づけるほど良いかというと、やっぱり限度があります。
近づけ過ぎると、「エッジボイス」的なノイズ(ガラガラというか、ギギギというか、バチバチというか…そんな音)が混ざってあまり美しくないです。
また、声帯を近づけようと力んでしまうと、力んだ声帯は上手く振動しませんので、やっぱり効率が悪いです。
そして、高音でむりやり声帯を力ませて近づけ過ぎた状態で発声しようとすると、いわゆる「引っ張りすぎ」な「地声」になってしまい、音程が乱れてしまったり、怒鳴り声状態でしか高音が出せなくなってしまったり、声帯がコントロールを失っていきなり裏返ってしまったりします。


もちろん、わざと「エアリー、ハスキーな声が出したい!」という場合は声帯を緩めに閉じればいいですし、敢えて「エッジーな声が出したい!」というときは声帯を固く閉じればいいです。
あくまで一般論ね。
あと、「声帯がきっちり閉じずにハスキーな感じなのに、エッジーなノイズもすごく鳴る!」とかいう場合は、声帯にポリープができているなどの問題が起きている可能性もあるので、病院で診てもらうことも考えましょう。


「ちょうどよい」声帯の閉じ具合になっているかどうかチェックするには…
ブレスの時と全く同じで、とりあえず無難な目安としては「3オクターブ前後の声域を、できる限り滑らかに繋げて出せるようになること(ミックスボイスの実現)」ができていれば、とりあえず「ほどよく閉じる」バランスは取れていると言えるかな、と。
ミックスできずにどっかで「声帯を閉じれてない」「声帯を閉じようとしすぎ」の症状が出るようなら、そこで声帯を近づけたり離したりすると良い。


とりあえず王道の練習法としては、
「とりあえず、色々な出し方で色々な音域の声を出してみる」
「それを先生に聞いてもらう」
「どこでどうなってるのか教えてもらう」
「修正する」
というステップを踏まないといけない。
先生がいなければ自分で判断するしかないけれど、自己診断というのは非常にとても大変スーパー難しいので、できる限り信頼できる人についてやったほうがいい。


声帯を強く閉じたり、軽く閉じるトレーニン


声帯を閉じたり開いたりするトレーニングは色々なところで紹介されていると思うけれど、けっこう色々混乱してるので、やる前に一回「そのトレーニングで本当に狙っている効果が出せるのか?」というのは考えてみた方がいいですね。
例えば「腹圧を上げる」系のトレーニングは、どちらかと言えば「声帯をより近づける」系の効果があります。
起点である腹で力をかけるだけじゃなく、出口である声帯の方も閉じないと「圧力が高まる」ことはないですからね。
なのに、この「腹圧を上げる」系のトレーニングを「声帯の力を抜くトレーニング」として紹介してるのをちょくちょく見ますし。


とりあえず普段の発声練習で知っておくと便利なのは、


・音の幅が狭い発声練習
(ドレミファソファミレドーとかの隣り合った音を使うメロディーや、グリッサンドとか)
→声帯をしっかり近づけ、強く閉じる発声になりやすい


・音の幅が広い発声練習
(ドミソドソミドーとかの離れた音を使うメロディーとか、オクターブ跳躍とか、無理に力まない本来の意味でのスタッカートとか)
→声帯の力を抜き、軽く閉じる発声になりやすい


という関係になっているので、これを意識しておくと調節がしやすくなります。


声帯の上下動


声帯の前端は、「喉頭(のどぼとけ)」にくっついています。
なので、喉頭を上下させると、声帯の前端が上下に引っ張られます。



で、この喉頭のように喉頭が上下することで、声帯が軽く引き伸ばされます。
軽く引き伸ばされることによって、声帯という「弦」にほどよい張力がかかり、振動しやすくなる、と言われている。


また、「声帯の上がった状態」というのは、「ものを飲み込むときに声帯が強く閉じ、気管を閉鎖して食道への道を開き、声帯にものが入らないようにする」ときの動きです。
なので、
・あまり「発声」には向かない状態であるとされる
・声帯が固く閉鎖されてしまいやすい
・声帯を閉じる感覚がぜんぜんわからない人は、喉頭上げた状態で発声して感覚だけおぼえるのもいいかもね
…という感じ。


なので、発声時には「喉頭がちょっと下がった状態」が最適と言われている。
ただ、やっぱりやり過ぎはいけないというか、「下げれば下げるほど良い声になる」というわけではないし、「適度」な状態を探すべき。