共鳴腔の「長さ」と「広さ」。


いろいろと思うところあってしばらくブログを寝かせてみたけど、これと言って自分の中で何かが変わる気配がないので再開。
これといって深刻な何かがあったわけじゃなく、ただの気まぐれさ。


共鳴腔に関する基本


最近ずっと書いていることのなのですが、
「思い通りの声を出すには、共鳴腔を思い通りの形にすることが必要」
なわけです。


・共鳴に関するイントロダクション。


共鳴腔を広くしたり狭くしたり、長くしたり短くしたりすることで、共鳴の様子を変えることによって、
「高音域や低音域を響かせやすくしたり」
「声の印象を変えたり」
することができます。


共鳴腔に関する基本2


で、その「共鳴の様子を変える」というのはどうやったらできるかというと、共鳴腔の「長さ」を変えるか、共鳴腔の「広さ」を変えるか、という2つが主な方法になってきます。


共鳴腔の「長さ」とは、声帯が収まっている喉頭から、声の出口である唇の先端までの距離ということになりますね。
喉頭(のどぼとけ)を下げ、唇を突き出すようにしたときには共鳴腔の「長さ」は最大となります。
逆に、喉頭を上げて唇を引くように口を開けば、共鳴腔の「長さ」は最小となります。


共鳴腔の「広さ」は、概ね3つに分けることができて、
喉頭腔の広さ…喉頭を下げるほど広がり、上げるほど狭まる
咽頭腔の広さ…基本的に「力を抜く」と広がり、「何かを飲み込むような力」が入ると狭まる
口腔の広さ…下あごを下すと広がり、上げると狭まる。また、舌の位置によっても広さが変わる
という感じになっています。


過去記事だとこの記事の一番下の雑な図参照。
・雑な図で見る「喉」の仕組みの話


共鳴腔のコントロール


で、共鳴腔をコントロールする上で大切なのは、
「ほどよく変化させる」
ことになります。
共鳴腔をできるだけ変化させないように発声すると、音域によって「音量」や「出しやすさ」が大きく変わってしまって、「声楽的に使い物にならない音域」というのが広くなってしまいます。
また、「母音の変化」は必ず「共鳴腔の変化」を伴いますので、共鳴腔をほどよく変化させないと、「滑舌が悪い」「言葉にならない」という状態になってしまいがちです。
かといって、変化をつけれるだけつければそれでよいかというとそうでもなく、共鳴腔の変化の「つけ過ぎ」は、「声が一音一音、別人みたいに分離しちゃって気持ち悪い、逆に聞きづらい」という状態につながってしまいます。


なので、「ほどよい変化」を探っていくのが大切なのですが、そのために比較的楽なやり方が、
共鳴腔の「長さ」はあまり変化させず、共鳴腔の「広さ」(主に「口腔」だけを)を変化させる
という方法になるかと思います。
一般的な楽器は「共鳴管の太さは変えられないので、共鳴管の長さを伸び縮みさせて共鳴を変化させる」ってのがほとんどだと思いますが、人間の場合は逆になってしまいますね。


共鳴腔の「長さ」、つまり「喉頭をどのくらいの高さにするか」と「唇の先をどれくらい前に出すか」をあまり変えないで、
共鳴腔の「広さ」、つまり「口腔内をどのくらい開けるか」と「舌の位置を動かして母音をどうするか」を変える
というやり方が基本になります。


こうすることで、
「長さ」の方を変えないことで、声にほどよい統一感が出やすい
口腔内の広さはどうせ母音に伴って変わってしまうので、柔軟に変えてやったほうが自然
喉頭を変に上下させないことで、不要な喉の力みを予防しやすい
などの利点があります。


実践的な話


クラシック的な発声では、「喉頭を下げ、唇を(軽く)突き出すようにする」という形が基本になるでしょう。
つまり、共鳴腔の「長さ」をできるだけ長くすることで、俗にいう「深い響き」とか「豊かな響き」(≒低〜中音域の倍音)を響かせるようにするわけです。
その状態で、母音(口内の開きと舌の位置)を状況に応じてコントロールすることで、声にほどよい変化を持たせることができるわけですね。


マチュア似非クラシックでありがちな失敗例が、口腔内の「広さ」の方も最大で固めてしまおうとして、結局
「高音で吠えるような発声になってしまう(高音でも口開けすぎ)」
「高音やi、e母音で喉頭が上がってきてしまう(どこかを狭めないと鳴らない音なので)」
「母音の変化に乏しく、何言ってるかさっぱりわかんない」
みたいな感じになってしまうこと。
マチュア似非クラシック界ではときどき「共鳴腔は大きければ大きいほどエライ!」みたいな発想になってしまいがちなので仕方ないのですが、共鳴腔の「長さ」の方を確保できていれば(特に高音域では)「広さ」はそんなに必要ではないので注意しましょう。


ポップス的な発声では、この辺を気にしすぎると逆に「自然さ」や「面白味」がなくなってしまいがちなのですが、やっぱり「高音域と低音域で声が違いすぎる」とか「滑らかに歌えない、なんか歌がガクガクする」とか「高音域や低音域が苦しい」という状態なら、検討の余地はあるかもしれません。
やはり「あんまり喉頭の位置を変えないこと」「低音域ではややオープンな(a母音交じりの)母音で出し、高音域ではややクローズな(u、о母音交じりの)母音で出してみる」くらいは意識しとくと楽になることがありますね。