声量が小さいと感じたとき。


声量というのは、具体的に計測したり比較することが非常に難しいものです。
これが「声の高さ」とかだと、「キーボードと比べてどうだった」「チューナーで計ったらこうだった」とか、具体的にどうだったかというのがわかりやすいことがほとんどなんですが。
声量の場合、「計ったら◯◯デシベルしか出てないんです!」とか、そういう話はまず聞かないですよね。


というのも、声量というのは
・距離や環境によって大きく増減する
・マイクなどを使う場合は、音響機器の使い方によって、とてもとても大きく変化する
・純粋な声量(空気の振動の振幅)だけではなく、声質(含まれる倍音やノイズ)や声の高さによって、「印象的に」大きく聞こえたり小さく聞こえたりする
…という性質があるからです。


なので単純に「Aさんは◯◯デシベル出てるから声量がありますね!」とか、そういうことってあんまり言わない。


「何と比べて」声量が小さいのですか?


なので、「何と比べて」声量が大きいとか小さいとか言っているのか、そこをまず考えなければなりません。


「憧れの歌手と比べて」声量が小さいように感じる…とかだと、本当にその歌手より声量が小さい場合もあるし、自分の声質が大人しくて歌手より声量が小さめに聞こえているだけかもしれないし、そもそもスピーカー通したりホールで増幅された歌手の声量がセルフイメージよりものすごく大きく聞こえているだけかもしれない。


なので、声量が大きいか小さいかなんて、できれば同じくらいの体格、声の高さ、トレーニング経験…を持った人と、同条件で比べてみないと本当のところはわからないものです。
そして、自分の声についての評価ってどうしても「思い込み」によって大きく左右されがちなので、できれば三者に比べてもらわないと本当のところはわからないものです。
できる限り、一度は信頼できる人に聞いてもらって、「実際にはどのくらい声量が出ているのか」を聞いてもらわないことには、「声量が小さい気がする」という悩みはなかなか解決しないです。


「常に」声量が足りないのですか?それとも「特定のシチュエーションで」声量の小ささを感じるのですか?


声量について考えるときに、「どんなときに」声量が足りないと感じるのか考えてみることは非常に大切です。


例えば…
・どの音域、どの高さの声でも一定して声量が小さいのか、特定の音域で声量を出すのが苦手なのか
・早いフレーズや遅いフレーズなどでも等しく声量が小さいのか、特定の速さのフレーズで声量が小さくなってしまうのか
・その他、特定のフレーズ(上昇下降、タメの有無、感情表現、母音…)などで声量が小さくなってしまうのか、常に声量が小さいのか
・一人で声を出すときにだけ小さく感じるのか、逆に大勢で声を出しているときに小ささを感じるのか、その両方か
・マイクを使ったときほど強く声量の足りなさを感じるのか、マイクを使えば大丈夫なのに生声だと声量が小さいと感じているのか、両方とも小さいと言われるのか
…などなど、できるだけ詳しく「どんなときに」声量が足りないと感じるのかを掘り下げることが、「声量が小さい気がする」という悩みを解決する方法です。
で、できれば第三者の意見をもらうこと。


掘り下げてみると、声量が足りないと感じる原因が「純粋に声量が足りない」ことがわかるかもしれないし、「特定の何かが苦手なだけ」ということがわかるかもしれない。
だいたいの場合は後者なので、そっちの問題を解決することがなによりの解決策になります。


「◯◯すればするほど声が大きくなる」と思ってませんか?


「純粋に声量を上げるべき」ということになったとしても、「何か特定の苦手を克服する」ということになったとしても、最終的にやるべきことってのは
・息の量をコントロールする(最も声量が出せる息の強さを探す)
・声帯の閉じ方をコントロールする(最も声量が出せる声帯の閉じ具合を探す)
・共鳴のさせ方をコントロールする(最も声量が出せる喉や口の状態を探す)
に尽きるわけです。
あとメンタル的な問題ならメンタル的な解決法と。
セッティング的な問題(マイクやスピーカーの入力出力の調整、立ち位置や聴衆との位置調整、伴奏や環境音と音域や倍音が被ってて消されがちなら音域ずらしたりまわりの音量下げる、などなど)なら、そっちの解消を。


で、こういうブログを見てしまうほどに探求心や向上心が強く、かつ我流が過ぎるようなタイプの人の場合、ありがちなのが「やりすぎ」。
「息をもっともっと強く吐かなきゃ!」とか「もっともっと口を大きく、喉を開いて共鳴をとことん広く!」みたいな感じでやりすぎて、逆に声量を出せなくなってしまうパターンね。
いつも言っていますが、大切なのはバランスで、やりすぎもやらなさすぎもよろしくない。


一番大きな声を出しやすい音域(自分の声域の真ん中〜ちょっと高め)くらいで、最も大きく声を出せるバランスを探ってみること。
そのバランスを、他の音域でも維持できるよう心掛けること。
特定の何かでバランスが崩れてしまうなら、その原因をしっかり見極めて、解消すること。
それに尽きます。